現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダと日産がパートナーシップを検討の衝撃ニュース! アジア市場に見える両社の厳しい立ち位置

ここから本文です

ホンダと日産がパートナーシップを検討の衝撃ニュース! アジア市場に見える両社の厳しい立ち位置

掲載 13
ホンダと日産がパートナーシップを検討の衝撃ニュース! アジア市場に見える両社の厳しい立ち位置

 この記事をまとめると

■2024年3月15日に日産とホンダが戦略的パートナーシップの検討を開始することを発表

ダイハツの影響は大きく2月の新車販売は昨年比割れ! 気になるのはホンダの元気のなさ

■会見では「新興EV」や「スケールメリット」といった単語を両社長ともに口にしていた

■いまや各技術に対して自動車メーカー1社では対応しきれないような状況になっている

 衝撃のニュースが舞い込んだ!

 2024年3月15日、日産自動車とホンダは「自動車の電動化・知能化時代にむけた戦略的パートナーシップの検討開始」をする覚書を締結したことを発表した。

 同日午後都内にて、日産自動車株式会社 代表執行役社長 兼 最高経営責任者 内田 誠氏と本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏が出席して記者会見が行われた。その会見中、いくつかの「単語」が両氏の口から活発に出ていた。「新興メーカーのスピード感」、「2030年にいまの立場を維持できるか(途中から生き残っていられるかという表現になっていった)」、「スケールメリット」などがそれである。

「新興メーカー」というのはBEV(バッテリー電気自動車)を念頭にした中国メーカーであると思われる。ある中国メーカーは以前、 「発売間もなくとも、お客さまのメリットになるのならば、迷うことなく改良を行う。登場したばかりだから1年後まで改良しないなどということはない」といったことを語り、スピード感を強調するとともに、筆者個人の受け止めとしては暗に日本メーカーの腰の重い印象を意識した発言のように感じた。

 東南アジアのタイでは中国BYD(比亜迪汽車)のクロスオーバーSUVタイプのBEV「アット3」、そして同クラスのBYD以外の中国メーカーのBEVの価格は、日本におけるアット3の価格とほぼ同水準であり、タイにおける日本メーカーの同クラスHEV(ハイブリッド車)と同レベルとなっている。

 仮に日本メーカーが今後、優秀で魅力的なアット3と同クラスのBEVをタイに市場投入したとしても、アット3などとの価格競争力(つまり同等の価格設定)を維持できるのかといった疑問を呈する声は業界内でも多い。事実は別としても、「価格だけではなく性能も大切」という声もあるが、すでに先んじて市場参入している中国メーカーが価格帯を設定してしまったなかでは、「性能がいいから多少高くても」と多くの消費者が動くかどうかは、タイの様子を見ていると疑問に感じる。

 ましてや前述したように、中国メーカーは短期間でブラッシュアップを進めてきたり、車両開発もスピード感ある対応を進めている。そのようなスピード感に日本メーカーが追いついていけるのかも気になるところである。それは単に「できるかできないか」ではなく、クルマ作りに対する考え方の違いなどもあるからだ。

 東南アジア市場では、ICE(内燃機関)車販売においても、日産やホンダは日本車の販売シェアが極めて高いとはいえ、そのなかでは存在感をいまひとつ見せることができていないように見える。

 日産は新興国ブランドとして立ち上げた「ダットサン」の失敗などもあり、インドネシアでは現地生産から撤退するなど、東南アジアでは苦戦が続いているというか、少し距離を置いているようにも見える。ホンダも、筆者がタイやインドネシアの首都圏だけを訪れており、その首都圏内ではホンダ車をよく見かけるが、地方部では売れるクルマは限定的になっているとも聞いている。

 東南アジアにおいても、日本車のなかでは、各国においてトヨタが販売トップになっていることが多い。しかも、アルファードやフォーチュナー(新興国向けSUV)やイノーバゼニクス(新興国向けMPV)などの高額な、メーカーにとって高収益な車両もよく売れ、販売台数における台当たり利益が抜群に良い商売をしており、タクシーなどのフリート販売でも強みを見せている。

 三菱やスズキが売れまくっている!

 また、東南アジア地域では、日産やホンダより三菱自動車のほうが、ピックアップトラックのトライトンやその派生SUVといえるパジェロ・スポーツなどもラインアップして存在感を見せているし、インドではスズキ車が圧倒的に台数ベースでは売れているのは周知の事実となっている。

 今回の協業についてはおもにBEVのジャンルとしているが、今後の話の進め方次第では、もっと「手前」のレベルでの協業も活発に行われるかもしれない。

 BEV面での協業というとバッテリーなどに目がいってしまいがちだが、今回はコネクティビティ面にも触れる機会が多かった。日本の自動車メーカーがBEVについて遅れを取っているといった報道はいまどき珍しくないが、日本の社会全体を見渡せば、デジタル化の遅れも際立っている。日本メーカーを見るとコネクティビティへの対応も「慎重」な姿勢が目立つ。

 しかし、そのなかでもトヨタはコネクティビティへ積極的な姿勢を見せ、いまでは多くのトヨタ車においてカーナビ機能はコネクティッドサービスのひとつ「センター通信型ナビゲーション」となっており、従来のように見積書に20万円といった高価なカーナビゲーションユニットをオプション計上する必要はない。日産やホンダもコネクティッドサービスは行っているのだが……。

 実際、ディーラーへ行くとディーラーオプションの従来タイプのカーナビゲーションの装着を熱心に勧めてくる(ディーラーとしては儲かるので仕方ない面もある。またコネクティビティは“ご興味があれば”といった程度で積極的には勧めてこない)。日本でも若年層はカーナビ機能のないディスプレイを装着して「グーグルマップ」などを接続させカーナビ代わりに使うケースも多いようだ。

 筆者はデジタルツールを使いこなせているわけではないが、BEVやコネクティビティはそれらに造詣が深い人以外でも、「なんだかよくわからないけどワクワクする」といった気持ちにさせる販売促進効果の高いものと考えているが、販売現場がどのようなものなのか理解しきれていない面も大きいようで、「購入希望者に十分なプレゼンテーションができていないなあ」ということも実感している。

 トヨタが日本国内では圧倒的に高い販売シェアで販売トップになっているだけではなく、世界市場でも世界販売台数トップを獲り、あえて「グループ」と表現するが、資本的なものも含めてさまざまにつながっているブランドも多く、そのスケールメリットはかなり大きいものとなっている。「聞いた話では、スズキではトランスミッションに最近だとアイシン製を使うことも多くなってきたそうです」とは事情通。

 国内における日系乗用車ブランドを見れば、いわゆる「トヨタとかかわりがほぼない」ブランドは日産&三菱とホンダのみとなっている。世界市場ならずとも、国内市場でもこのままそれぞれ個別に動いていれば、技術的な先細り傾向はかなりの懸念材料に見える。ICE車メインのころから安全運転支援デバイスの標準搭載化なども進んできたなか、コスト面などを考えても各メーカー単独で対応するのはもはや困難なレベルになってきているとは、よくいわれた話であった。

 今回の協業がどこまでシナジー効果を生むのかは今後次第となるが、会見での質疑応答でもお互いの企業カラーの違いについての質問も出ていた。本田宗一郎氏がまさに“町工場”レベルで創業し世界的な大企業までに発展したホンダと、日産ではあまりにもお互いのキャラクターが異なるので、協業がうまく進むか不安視する話も出ている。

 今回とは同じ話ではないものの、2024年2月末にかねてより経営統合することで基本合意していたトラック・バスメーカーの日野自動車と三菱ふそうトラック・バスだが、経営統合の延期が発表されている。

 日産とホンダとでは資本提携などは考えていないということであり、経営統合と協業では話は異なるものの、キャラクターの異なる大企業は思惑が同じで、いざ一緒にやっていこうとしても待ち受ける壁が大きいことはあまり変わらないように見える。ぜひそのような壁を乗り越えて両社がWIN-WINになる協業を進めていってもらいたい。

こんな記事も読まれています

中国で超絶人気の高級ミニバン「GL8」がPHEVを導入! あえてBEVではなくPHEVで勝負するGMのしたたかな戦略
中国で超絶人気の高級ミニバン「GL8」がPHEVを導入! あえてBEVではなくPHEVで勝負するGMのしたたかな戦略
WEB CARTOP
中国人は長いのがお好き! セダンだけじゃなくSUVまで「L」が付くクルマが登場する事態
中国人は長いのがお好き! セダンだけじゃなくSUVまで「L」が付くクルマが登場する事態
WEB CARTOP
インドから輸入しているホンダWR-Vが大ヒット! 日本市場の「常識」が変わるかもしれない
インドから輸入しているホンダWR-Vが大ヒット! 日本市場の「常識」が変わるかもしれない
WEB CARTOP
EVは普及せずとも日本のEV活用方法は海外よりも進んでいる! 日本の電気自動車が当たり前のように装備する「外部給電機能」がもつ多大なるメリットとは
EVは普及せずとも日本のEV活用方法は海外よりも進んでいる! 日本の電気自動車が当たり前のように装備する「外部給電機能」がもつ多大なるメリットとは
WEB CARTOP
バカ売れしそうな気がするけどナゼ? ロータリーもディーゼルもフルHVの軽自動車も存在しないワケ
バカ売れしそうな気がするけどナゼ? ロータリーもディーゼルもフルHVの軽自動車も存在しないワケ
WEB CARTOP
EV拡大のカギを握る「商用EV」 しかし課題山積! 元ディーラーが“普及の条件”を解説する
EV拡大のカギを握る「商用EV」 しかし課題山積! 元ディーラーが“普及の条件”を解説する
Merkmal
「日本人は高級品への理解深い」 英高級車メーカー・アストンマーチンは日本市場を奪える? F1参戦効果も後押しか
「日本人は高級品への理解深い」 英高級車メーカー・アストンマーチンは日本市場を奪える? F1参戦効果も後押しか
Merkmal
全車種出荷再開のダイハツはどうなる? 2024年4月の新車販売台数を詳細分析した
全車種出荷再開のダイハツはどうなる? 2024年4月の新車販売台数を詳細分析した
WEB CARTOP
お金持ちがこぞって買うのも納得! 新型レクサスLMに乗ったらライバルなんて存在しないことがわかった
お金持ちがこぞって買うのも納得! 新型レクサスLMに乗ったらライバルなんて存在しないことがわかった
WEB CARTOP
テスラ充電器部門「閉鎖」の衝撃! EV市場“需要鈍化”に新たな課題、影響は国内メーカーにも
テスラ充電器部門「閉鎖」の衝撃! EV市場“需要鈍化”に新たな課題、影響は国内メーカーにも
Merkmal
無給油で1000kmオーバーを走行できるクルマがゴロゴロ! 国産ハイブリッド&ディーゼルって改めて考えると凄くないか!?
無給油で1000kmオーバーを走行できるクルマがゴロゴロ! 国産ハイブリッド&ディーゼルって改めて考えると凄くないか!?
WEB CARTOP
【販売店に聞いてみた】海外で新型が発表された日産キックス、ユーザーの反響はどうなのか?
【販売店に聞いてみた】海外で新型が発表された日産キックス、ユーザーの反響はどうなのか?
月刊自家用車WEB
ホンダ「脱ガソリン」本気 中国で希望退職1700人応募も、海外勢へ強まる逆風とは
ホンダ「脱ガソリン」本気 中国で希望退職1700人応募も、海外勢へ強まる逆風とは
Merkmal
日産 新型リーフ、最短で来年3月にも生産開始か 「困難」に直面する英サンダーランド工場
日産 新型リーフ、最短で来年3月にも生産開始か 「困難」に直面する英サンダーランド工場
AUTOCAR JAPAN
超絶人気のランクル250! 指名買いも多いけど「ライバル車」はどんなクルマが存在する?
超絶人気のランクル250! 指名買いも多いけど「ライバル車」はどんなクルマが存在する?
WEB CARTOP
いくら魅力を語れど売れなくなるには理由がある! セダン&ワゴンが日本で衰退しているワケ
いくら魅力を語れど売れなくなるには理由がある! セダン&ワゴンが日本で衰退しているワケ
WEB CARTOP
打倒「モデル3」 ホンダ、軽量化にこだわった次世代EV 6年以内に新型7車種導入
打倒「モデル3」 ホンダ、軽量化にこだわった次世代EV 6年以内に新型7車種導入
AUTOCAR JAPAN
トヨタが「新・凄いエンジン」世界初披露! なぜ“イマ”エンジン開発? 1.5&2Lは「エコからスポーツ」まで!? どんな技術なのか
トヨタが「新・凄いエンジン」世界初披露! なぜ“イマ”エンジン開発? 1.5&2Lは「エコからスポーツ」まで!? どんな技術なのか
くるまのニュース

みんなのコメント

13件
  • jrh********
    出る前から負けること考えるバカいるかよ
  • eh1********
    日産は辞めた方がいいと思うがな?

    もうどの国に行っても日産ルノーは負け組。
    1000万台クラブから年々減る一方。

    魅力のある車もない。往年の名前を知ってる年寄りが未だに指名買いしているだけ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村