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何度も復活を期待されるシルビアはそもそも名車だったか? ならなぜ絶版になったのか??

掲載 更新 35
何度も復活を期待されるシルビアはそもそも名車だったか? ならなぜ絶版になったのか??

 排ガス規制をクリアできず、2002年、S15型を最後にこの世から姿を消した日産「シルビア」。「コンパクトでカッコいいFRクーペ」といえば、真っ先に浮かぶのがこのクルマ、というかたも多いだろう。今でも、30代から40代のクルマ好きや、海外のスポーツカーファンの間で、シルビアの人気は高い。

 中古車オークションでの取引価格も、年々高まっており、走行距離が少ないスペックRのグレード車は、おそらくあと数年のうちに、500万円近い価格にまで昇っていくことだろう。

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 スバルが2代目となる「BRZ」を先行公開した昨年11月には、クルマ系メディアの紙面やWEB媒体には次期型シルビアの予想CGが登場し、「次こそは、シルビアの後継車(小型FR)が出るのでは!?」と、話題になった。

(編集部註/かくいう当サイトも、わずかに伝わってくる情報に願望を込めて「シルビア復活か!!?」という記事を何度かお届けしております。ち、違うんだ、そのように報じる場合は、本当にわずかですが、開発情報は伝わっていたんです!! …わずか……ですが……)

 このように、度々「復活を期待!!」と話題になるシルビアだが、そもそも、ここまで復活を熱望されるほど、名車だったのだろうか。

文:吉川賢一
写真:NISSAN

【画像ギャラリー】あのころはよかった… 歴代シルビア全7代の軌跡を写真でチェック!!

いまのクルマでは味わえない魅力があった

 シルビア全7世代は、どの側面を切り取っても面白いのだが、おそらく多くの方が、より色濃く記憶に残っているのは、最後のシルビアとなった、S15型であろう。

 ボディサイズを大型化したことで不人気となった6代目のS14シルビアの反省から、5ナンバー枠へダウンサイジングし、1999年1月に登場したのが、7代目「S15型シルビア」だ。

 このS15の魅力のひとつは、ボディスタイルであろう。つり目型のヘッドライト、低く構えたノーズ、FRクーペらしいボンネット長とキャビンのバランス、フェンダーのふくらみ、大型のテールランプなど、シルビア好きが好みそうなポイントをしっかりとおさえていた。

 車幅は1695mmと狭いながらも、リアフェンダーや、サイドのボディパネルの造形によって、小さなボディには見えないのも、シルビアの魅力だった。

1999年1月に登場したS15シルビア 2.0リッター NAエンジンのスペックS(MT仕様は165ps/19.6kgm)、2リッターターボのスペックR(MT仕様は250ps/28.0kgm、AT仕様は225ps/28.0kgm)

 そしてもうひとつ、ユーザーが自分の手でカスタマイズしたくなる「スキ」があえて残してある点も、シルビアの魅力だった。

 小型で軽量、FR駆動方式による素性の良さを生かしながら、まずはタイヤをインチアップして、車高調を入れて、エアロパーツを付けて、エンジンのパワーアップをして…と、ユーザーが自分好みにカスタマイズをする、「おもちゃ的な楽しみ」を味わえ、「クルマと共に成長していくカーライフ」が送れるのが、シルビアだったのだ。

 R35型GT-RやZ34型フェアレディZ、A90型GRスープラなど、いまの時代のスポーツカーは、ほとんどユーザーが付け入るスキがないほどによく出来ている。シルビアを失った心の隙間を、現代のクルマでは埋めることができないため、シルビアの復活を求める声が多いのだろう。

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歴代シルビアは、タイヤのインチアップや、サスペンションの交換、エアロパーツの追加など、と自分好みに改造したくなるスキが多くあった

乗り越えられなかったのは、排ガス規制ではなく、コストの壁

 S15シルビアの消滅の直接的な理由は、排ガス規制にあるのだが、エンジンを積み替えて継続させなかったのには理由がある。そのひとつが、衝突安全性だ。

 ある年代から、エンジンフード高の低いクルマが極端に減った。これは、前面衝突時の歩行者頭部保護の安全基準をクリアするため、極端に低くできなくなったからだ。ポップアップエンジンフードなどのデバイスを使うことで、基準をクリアすることはできるのだが、エンジンフードだけクリアしても仕方ない。

 基準に対応すべき範囲は、側面衝突、後部衝突、オフセット衝突、小ラップ衝突など、全方位に及び、ボディに相当な規模の補強と、クラッシャブルゾーンが存在しないと、各国の保安基準を通過できない。

 基準を満たそうとすれば、エンジンフード高も上がり、ドアもぶ厚くなり、ボディは肥大化するか、狭い車内スペースになる。この規制の中で、これぞシルビア、というスタイリングである「低いノーズ」を実現することは難しかった。

 「ロードスターや新型BRZは、できているではないか」と思うだろう。確かに不可能でない。スポーツカーを持つことで、企業のブランド力を高め、他のクルマのイメージを引き上げるような「思惑」があれば、多少コストが高くてもやることに価値はある。

 しかし、それらがなかったとしたら、企業としては、収益が伴わないスポーツカーは「やらない」道を選ばざるを得ない。痛みを伴ってまで、(比較的安くて手軽な)スポーツカーを作り続けるプライドと体力が、当時の日産にはなかったのだろう。

2008年にベストカーがスクープした次期シルビアの予想CG V36スカイラインクーペのようなライトなど、当時の日産のトレンドに則ったデザインだった

復活はやはり厳しい

 シルビアが「名車」であったのは間違いないが、「クルマとしての性能が素晴らしかった」という意味の名車というよりも、ファンに深く愛されたクルマだった、という意味で「名車」であったのだろう。

 日産の中で、フェアレディZ以外の「FRスポーツカー」構想があるのかは分からないが、いまこの時代の流れを考えると、シルビアを復活させたとしても、おそらく出てくるのは「高級なシルビア」だ。安くて手軽なFRスポーツカーをつくることはできても、それをビジネスとして成功させることは難しい。残念ながら、シルビアの復活は期待できない、というのが筆者の考えだ。

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みんなのコメント

35件
  • わかってないな。この記事書いた奴。
    1番記憶に残っているのは大ヒットしたS13だろ。
    そもそもS15は新車販売台数は多くもない。生産中止になって後継モデルが無いから希少価値が出たんじゃないですか。
  • >おそらく多くの方が、より色濃く記憶に残っているのは、最後のシルビアとなった、S15型であろう。

    違うでしょ。シルビア、プレリュードのあれですよ、あれ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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