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日産デイズ:「乗ってみれば確かに、自信を持つだけのことはある」 マーケティング目線試乗記

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日産デイズ:「乗ってみれば確かに、自信を持つだけのことはある」 マーケティング目線試乗記

日産が初めて開発した軽自動車、それが新型DAYZ(デイズ)だ。新プラットフォームに新エンジン、新CVT、そしてプロパイロットまで投入した意欲作。今回はジャーナリスト、世良耕太がマーケティング目線でデイズを斬る。TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

 人のこと心配している場合ではないが、新型デイズの装備や機能の充実ぶりを確認するにおよんで、日産自動車が心配になった。商売でやっているんでそんなことはないだろうが、売れれば売れるほど自分の首を絞めることになるんじゃないだろうかと、余計な心配をしたくなるほどに装備・機能が充実している。

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 心配その1は、ちゃんと利益が出るのかどうか(出るんでしょう)。心配その2は、デイズばかり売れて利益率の高い他のクルマが売れなくなるのではないか、という点(やはり、そんなことはないのでしょう)。


 マーケティングを専門とする社員の話によると、軽自動車を選ぶ客は「軽自動車を買う」気でいるので、登録車、日産でいえばマーチやノートやセレナやジュークとは基本的に競合しないのだそう。別のメーカーの軽自動車と比較したうえで、デイズに焦点を絞ることになる。「軽自動車は買い換えの際にメーカーを変えるケースが多いので、新しく日産のファンにもらってもらう入口」にデイズを位置づけ、売り込みを図っている。

150万円を超える場合は、付加価値を説明できなければいけない

「150万円を超える場合は、付加価値を説明できなければいけない」と、くだんの社員は言う。余力のある走りが欲しいなら、ターボエンジン搭載車という選択肢がある。「ハイウェイスターX ターボ」は7万9920円高の154万9800円だ。走りよりも、高速道路での快適性や負担軽減を重視する向きには、「プロパイロット」の用意がある。

 高速道路でアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作を支援してくれるプロパイロットを選択すると、電動パーキングブレーキやアラウンドビューモニター、オートブレーキホールド(ブレーキを踏んで停車すると、ブレーキペダルから足を離しても、クルマがブレーキ力を維持する機能)、ステアリングスイッチなどがセットで付いてくる。「ハイウェイスターX プロパイロットエディション」は、9万7200円高の156万7080円だ。


 他社でも聞いた話だが、最近は事前にパソコンやスマホでクルマのことを調べ、グレードや色まで仮決めしたうえで販売店に説明を求めに来たり、試乗車に乗りに来たりするのだという。公式ホームページのアクセスデータを調べてみると、旧デイズの場合はスマホによるアクセス比率が高かったという。このデータを受け、新型デイズのスペシャルコンテンツを制作するにあたっては、スマホに最適化した。

「インスタグラムを見る感覚で、簡単に商品の特徴が見られる構成になっています。スマホで見ていただくことが前提なので、ビジュアル中心の構成とし、2~3行の文字ですっきり見られる構成にしています」

 スマホと聞くと若い人をイメージしてしまうのがオジサンの悪いところだが、デイズは若い人がターゲットかというとそんなことはなく、購買層は40代~60代が多いのだという。女性の比率は55%で男性を上回っているが、逆にいえば男性が45%を占めていることを意味する。だから、女性に偏ったコミュニケーションや商品開発を行なっているわけではない。幅広い層にウケるのが、新型デイズの使命だ。


 では、デイズを「買おうかな。どうしようかな」と思って販売店にやってきた客に対し、最後に背中を押すポイントは何だろうか。そう質問すると、「乗ってもらうこと」との答えが返ってきた。

「軽に乗っているお客様が(展示会などの)会場に来てくれる。軽だからこんなもんだろうと思って乗ると、静かさやレスポンス、収納や感性品質など、ワンランク上というか、次世代の軽なんだなとわかってもらえるのが勝ちポイントです」


 短時間ながらデイズに試乗した印象でいうと、質感の高さには目を見張るものがある。収納は充実しているし、後席はスライドさせなくても十分広いし、目一杯後ろにスライドさせると、足元に広大なスペースが生まれる。タッチパネル式のエアコンの風量選択は、直感的でわかりやすい。自然吸気/ターボを問わず、振動が少なく静かなのも印象に残った。車両実験側の技術者に話を聞くと、「開発の途中で、もうちょっと良くした方がいいのでは」と、手を入れた部分があるという。

 エンジンマウントだ。遮音材や吸音材はすでに、ワンランク上のレベルで採用しているが、検討の結果、ひとつ上のマウント(液体封入式)を採用することにした。部品単体のコストもさることながら、開発の途中で路線変更すると開発費に響くため、心理的には二の足を踏みたくなる。「そこまで突き詰めてお客様に伝わるか?」という疑問もあったというが、競争力を担保するために欠かせないとして変更を決めたという。

 ワンランク上といえば、電動パワーステアリングに用いているモーターについてもそうで、新型デイズは軽自動車では一般的なブラシ付きモーターではなく、制御性も高いがコストも高いブラシレスモーターを全車採用している。乗ればわかるワンランク上のクオリティの一端は、ブラシレスモーターが生み出すしっかりした操舵フィールにあると断言できる。


 LEDヘッドランプや電動パーキングブレーキも軽自動車にとってはワンランク上を実感させる装備で、それが付いているかどうかは、見ればわかる。一方で、音や振動、操舵フィールといった感性に訴える機能は乗ってみなければわからない。そこに自信を持つのが新型日産デイズで、乗ってみれば確かに、自信を持つだけのことはある。

日産デイズ ハイウェイスターX プロパイロットエディション2WD
車両本体価格○156万7080円

全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1640mm
ホイールベース:2495mm
車重:860kg

エンジン
0.66ℓ直列3気筒DOHC+モーター
エンジン型式:BR06-SM21
排気量:659cc
ボア×ストローク:62.7mm×71.2mm
圧縮比:12.0
最高出力:52ps(38kW)/6400rpm
最大トルク:60Nm/3600rpm
トランスミッション:CVT
サスペンション:Fマクファーソン/Rトーションビーム
JC08モード燃費:28.6km/ℓ


日産デイズ ハイウェイスターGターボプロパイロットエディション2WD
車両本体価格○164万7000円

全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1640mm
ホイールベース:2495mm
車重:880kg

エンジン
0.66ℓ直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:BR06-SM21
排気量:659cc
ボア×ストローク:62.7mm×71.2mm
圧縮比:9.2
最高出力:64ps(47kW)/5600rpm
最大トルク:100Nm/2400-4000rpm

トランスミッション:CVT

サスペンション:Fマクファーソン/Rトーションビーム

JC08モード燃費:25.2km/ℓ

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