この記事をまとめると
■人気車種の派生モデルだからと言って売れるとは限らない
同じ中身なのになんでこんなに差が付いた! 明暗クッキリ兄弟車の勝ち負け4選
■この手のモデルはパッとせずに短命に終わったモデルが多い
■セールスはイマイチでもコンセプトはよかった
人気車種の名前を借りて登場するも撃沈した名車を振り返る
その名前を聞けば、誰もがスタイリングを思い出せるというほどメジャーなモデルであっても、意外に派生車種となるとどんなカタチをしていたのかパッとは思い浮かばないこともある。ここでは、そんな知る人ぞ知る的な有名モデルの派生車種4台をピックアップして紹介しよう。あなたは、いずれも覚えているだろうか。
1)ホンダ・プレリュードインクス(1989年)
デートカーとして一世を風靡したホンダ・プレリュード。その3代目モデルの途中、1989年11月に追加されたのが「inx(インクス)」だ。
プレリュードの特徴ともいえるリトラクタブルヘッドライトを薄型ヘッドライトに変え、フォグランプ付グリルを採用したプレリュードインクスは、当時のインテグラなどにも通じるホンダらしい顔つき。
もっとも、デートカーの座を日産シルビア(S13)に奪われつつあったホンダが、シルビアに似せた顔のバリエーションを追加したというのが当時の市場における受け止め方であったと記憶している。ちなみにプレリュードインクスには2リッターSOHCキャブと2リッターDOHCというふたつのエンジンを搭載。それぞれに5速MTと4速ATを設定していた。
2)スバル・インプレッサアネシス(2008年)
インプレッサといえば1992年の誕生以来、スバルの主力モデルとして存在感を示し続けているが、「アネシス」のサブネームを持つインプレッサの姿をパッと思い浮かべることができる人はどれほどいるだろうか。インプレッサアネシスの登場は2008年10月だ。つまり5ドアハッチバックが主体となっていた3代目インプレッサに追加されたモデルであり、アネシスは3ナンバーサイズの4ドアセダンとして誕生した。
背景としては北米向け4ドアセダンの右ハンドル仕様といったところだが、あくまで日本仕様のターゲットはCセグメントセダンの購入層。トヨタでいえばカローラやコロナを買うようなユーザー層であり、インプレッサアネシスは1.5リッターと2リッターの自然吸気エンジンだけの設定で、それぞれにFFと4WDを用意するグレード構成となっていた。
同じタイミングでWRX STIにも4ドアセダンが設定され、そちらはある程度の支持を集めていたが、インプレッサアネシスについては、どうにも鳴かず飛ばずだった印象が強い。
なお、インプレッサの派生モデルとしては「リトナ」という名前に聞き覚えがある人もいるかもしれないが、リトナは初代インプレッサに用意された2ドアクーペ。これをベースとしたSTiバージョンのクーペボディのほうがよく見かけるといったくらい、リトナも不人気だった。
コンセプトはよかったが個性的すぎて売れなかったモデル
3)三菱ミラージュディンゴ(1999年)
三菱のコンパクトカーとして現在もラインアップされている「ミラージュ」。初代モデルの誕生は1978年と長い歴史を誇るが、その中には変わった派生モデルもあった。
それが1999年1月に発表された「ミラージュディンゴ」だ。全高1600mmを超えるトールワゴン・スタイルは、当時の軽自動車でメインストリームにあったスズキ・ワゴンRを卒業するユーザーにはピッタリといえるもので、デビュー時には非常に可能性を持つ新カテゴリーのニューカマーという印象を受けた業界人も多かったことだろう。
エンジンは、1.3リッター、1.5リッター、1.8リッターを設定。一部グレードにGDI(ガソリン直噴)テクノロジーを搭載したほか、トランスミッションにCVTを採用し、現在でも通用しそうなパワートレインとするなど、メカニズム的にも意欲作となっていた。
とはいえ、見てのとおり縦長の個性的なヘッドライトによるフロントマスクは非常に個性的で、ユーザーを選ぶことになった。つまり人気が出なかったのだ。
そのため、2001年には大幅なマイナーチェンジを実施、オーソドックスなフロントマスクへと変身させたが時すでに遅し。翌年にはディスコンとなり、わずか4年でそのモデルライフを終えてしまった。
4)トヨタ・スプリンターマリノ(1992年)
最後に紹介するのがトヨタ・スプリンターマリノ。「スプリンターといえばマリノじゃなくて『トレノ』でしょう。変換ミスにもほどがある」と思ったかもしれないが、いやいやスプリンターマリノという派生モデルは実在していた。
デビューは1992年5月、サッシュレスドアのスタイリッシュな4ドアハードトップとしてスプリンターのラインナップを充実させる目的で誕生した。カローラ/スプリンターの世代でいえばAE101型で知られる時代の話だ。
そんなスプリンターマリノに搭載されたエンジンは1.5リッターと1.6リッター。トップグレードには20バルブの4A-Gが搭載され、後期型では6速MTが組み合わせられた。全高1315mmと空力に優れたボディは、スポーツドライビングの視点からも高いポテンシャルを持っていた。
なお、兄弟車としてカローラには”セレス”が用意された。カローラセレスについては空力の良さが評価されJTCCに参戦するなどしたが、スプリンターマリノではそうしたモータースポーツでの活躍もなく、それも存在の薄さにつながっているのだろうか。
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マイナーすぎる、なんてーほどじゃあないでしょう、と