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欧州車的なスタイリングを得た スバル レオーネ 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

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欧州車的なスタイリングを得た  スバル レオーネ 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

 徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回は、スバル レオーネを取り上げます。1970年代のスバルは、今からは想像できませんが、レオーネと軽自動車のレックスしかラインアップがありませんでした。初代レオーネは、技術的には優れていましたが、スタイリングが古くさく、スバル1000や1300に比べると評価が高いわけではありませんでした。1979年に登場した2代目は、スタイリングを重視し、販売面で成功を収めることを義務づけられたモデル。徳さんも大いに期待した1979年8月号初出の試乗記を振り返ろう。

※本稿は1979年7月に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
ベストカー2016年11月10日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です

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■スバルの傑作の系譜のなかに現れたレオーネ その2代目

 別に判官贔屓というわけではあるまいが、国産自動車メーカーのなかで“はじめ”から独創的かつ、理想主義的なクルマ作りを行っている富士重工を私は気に入っている。

 スバル360までさかのぼらずとも、スバル1000に始まる1300Gまでのシリーズは最近の国産車のなかでは、傑出していたと思う。

 このスバル1000が1100となり、最終的には1300Gとなってややバランスを崩し始めた頃、1971年レオーネが登場した。

 このクルマは私をはじめとする多くのスバルファンを嘆かせたはずである。その一番の理由はボディであり、それはあらずもがなのロングノーズ、ショートデッキでさらに悪いことに窓面積はきわめて小さかったのだ。

 正直いって私は国産車のフルモデルチェンジにあまり大きな期待を抱かない。たしかに旧車よりも新車はリファインされることは事実だが基本的な改良は少なく新車の魅力が薄れると、時を同じくしてクルマ自体も平凡ななんでもないクルマになってしまう。

 そのなかにあってレオーネは期待すること大であり、たのしみなニューカーであった。

■スタイリングはオーソドックス

 ニューレオーネのスタイリングは本当にヨーロッパ調である。最近の国産車のスタイリングの傾向はスクウェアな角張ったものが主流である。ニューカローラやシルビアなどはそれをよく表している。

スバル車として初めてパワーウィンドウ、パワーステアリングを採用したのがこのレオーネ。ちなみにGTSがトップグレードでGTを名乗ったのも2代目レオーネが最初

 ヨーロッパのなかでも特別なシェープを持つ柔らかいフィーリングのフランス車の流れがある。従来フランス車は、シトローエン、ルノーに代表されるごとく、世界の乗用車のデザイン傾向と異なっていたが、最近シトローエンはやや穏やかになり、ルノー18などが現れた。プジョーはもともとピニン・ファリナのデザインということもあり、エキセントリックではなかった。

 このフランス車の新しい流れとBMW5シリーズ、3シリーズあたりをミックスしたスタイリングがニューレオーネである。6ライトボディ(ボディサイドのウィンドウが片側に3分割されているスタイルをいう)はニューアウディ80にも共通するが、むしろレオーネのほうが柔らかい感じである。

 ホイールベースは2460mmと変わらないが、全長は4155mm、全幅は1615mmと少し大きくなっていて、全体のプロポーションは平凡ながら悪くない。特にエンジンフッドが前下がりなのは新しさを感じる。乗り込むと少なくとも旧モデルよりは明るく感じる。ウエストラインを下げてグラスエリアを広げた効果は大きいが、同時に全高を1395mmから1365mmへと30mm低くした。

 これには私はまったく反対である。全高を下げるのは、ひとえにスタイリングのためであることは間違いないが、レオーネのようなファミリーカーでこの手法を使ってはいけない。ニューカローラやニューランサーは全高を高くしながらバランスのいいスタイリングを保っていることを、スタイリスト達は知るべきである。

 ニューレオーネのパワーユニットはもちろん水冷フラット4である。キャパシティは1ランク上がって1.6Lと1.8Lになった。1.8Lはまったくの新デザインでエンジンブロックまで新しい。

(上)EA81型1.8Lエンジンは新型とはいえOHVエンジンでライバル車とのパワー競争から置いて行かれることになる。(下)1.8Lの4WD車には「デュアルレンジ」という副変速機が付き、4MTは前進8速、後進2速となった

 最高出力100psでウェイトは最上級の1800GTSで935kgだから加速はかなりいい。ただし、思ったほどでないこともたしかだ。それはひとつにはギアレシオにある。ファイナルが高すぎて日本の道路に合わないのだ。10モード燃費を上げたいのはわかるが、かったるさが残ってしまっている。

 乗り心地はというとシートそのものの柔らかさもあるがソフトだが、かえって長距離は疲れてしまいそうだ。ハンドリングはというとこちらもロールが大きく、マイルドなものだ。

 スバルのよさはフラット4エンジンを用いての理想的なFWDレイアウト、全輪独立のサスペンションによるよい乗り心地とハンドリング、こういうものがやや硬質ななかに、脈打っていたのがスバルのよさである。ニューレオーネは、その硬さを取り去ってはいるが、その芯になっているものも同時になくしてしまったような気がする。

秋に追加のレオーネスイングバックは1.3L(72ps/10.0kgm)もラインアップ。ツーリングワゴン(バンはあった)の追加は’81年8月のことだ。写真は1.6L SRX

 あえていうが、ニューレオーネは、かなり軟弱になったと思う。しかし、出たばかりの新車だから、細かいところはまだ手を入れられる。ひとつ本来のスバルらしいクルマに仕立てあげてほしいものだ。

試乗を終えた徳さん。その眼差しはいつも厳しく、誠実だった

◎レオーネ 1800 4ドアGTS主要諸元
全長:4270mm
全幅:1615mm
全高:1365mm
ホイールベース:2460mm
エンジン:水平対向4気筒OHV
排気量:1781cc
最高出力:100ps/5600rpm
最大トルク:15.0kgm/3600rpm
10モード燃費:14.5km/L
サスペンション:ストラット/セミトレ
車重:935kg
価格:119万5000円
登場年:1979年
※グロス表記

ベストカー テストデータ
0~400m加速:19.01秒
0~100km/h加速:16.19秒
最高速度:147.09km/h

 

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