■カーナビ&ディスプレイの搭載で車内時計の必要性がなくなった
以前は、当たり前のようにセンターコンソール周辺に鎮座していた車内時計ですが、現代のクルマは一部の高級車を除き、装着されていなくなっています。
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なぜ時計が標準装備されなくなってしまったのでしょうか。
若い人にとっては、車内に時計がないことに違和感を覚える人は少ないでしょう。どうやら2000年代初頭から車内時計を装備しないクルマが徐々に増えてきたようです。
これにはカーナビ搭載を前提としたインテリアデザインと、スマホの普及が大きく関連しています。
カーナビの歴史は、40年以上前の1981年に誕生した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」からスタートしたといわれています。当時は、ヘリウムガスを用いてフィルム化された地図上にマーキングして消す専用のペンを用いたアナログな手法でした。
これが1980年代後半に地図データを光ディスクに収録する方式へと進化。この方式で特許を取得したホンダでしたが、普及が第一と考え無償公開され、トヨタや日産も追随しました。
1980年代後半にはCD-ROMに地図データを収録したタイプのカーナビが搭載されはじめ、1990年には現在でも主流になっているGPSを活用した方式が採用され、精度が飛躍的に向上。
さらに2000年代に入るとiPhoneなどスマホが登場し、地図アプリによってクルマだけでなく、個人が現在位置を把握できる時代になりました。
これによりクルマのインテリアに革命が起きました。それは「液晶ディスプレイ」ありきのデザインが当たり前になったことです。
以前は、センターコンソールには1DINや2DINのオーディオを配置するスペースが設けられていましたが、いまではここにディスプレイを配置。
カーナビ画面だけではなくオーディオやエアコンの操作パネルなども表示されるようになり、これに合わせて時刻表示も盛り込まれました。
そうなると、これまで装着されていた車内時計は不要となり、結果として非装着への道を歩むことになったのです。
そんな車内時計ですが、現在でも装備されているのはレクサスの一部車種や高級輸入車くらいで、インテリアの一部として存続しています。
それ以外のクルマはカーナビなどのディスプレイやメーター内に表示された時刻を見るのが定番になっているのが現状です。
■後付け時計を付けてみた!
装備の進化に合わせて表舞台から消えかけていた車内時計ですが、オプションでは依然として残っており、また社外品で安価なものが数多く出回るなど、実は意外なほど需要が高いようです。
とくに多いのが軽自動車の貨物車両での装着です。軽トラや軽バンなど、働くクルマで意外にも人気だと教えてくれたのは、埼玉県の整備工場に勤務するF整備士です。
「軽トラなど軽の商用車はもっともコストダウンが厳しい車種で、少しでも安くすることいが重視されており、カーナビどころかラジオすら付いていないグレードもあります。
また、最近ではスマホで手軽に時刻を確認できることもあり、コストダウンの関係で車内時計も付いていないんです」
カーナビがなくても道を覚えていれば目的地にたどり着けますが、時計を見ずに時刻を正確に把握できる人はいません。
ましてや運転中のスマホ操作は原則禁止なわけですから、時刻を確認できないことになりかねません。
また、乗用車でも、通電するほどではなくても時刻だけが知りたい場面もあり、そんなときに「車内時計があれば良いのに」と思うわけです。
「とくに仕事でいくつもの場所を回る配送業務などは、時刻を見て予定を立てるために車内時計を購入し装着しているみたいです。
高性能な機能は必要なく、イグニッションのON/OFFにかかわらず、正確な時刻を常に表示してくれれば良いといいます」
車内時計を活用する一般のユーザーもいます。都内在住のNさん(60代・男性)は、車内時計をトヨタ「ノア」に装着しました。
「趣味で野菜づくりをしているのですが、畑のある埼玉県までクルマで通っています。
農作業中は時間が経つのを忘れることがあるのですが、車内時計があると、クルマのエンジンを切っていても時刻を把握できて便利です」
※ ※ ※
筆者(金田ケイスケ)も実際に車内時計を装着してみることにしました。
大手通販サイトで検索するとたくさんの車内時計が販売されており、中心価格帯は1000円から3000円程度。アナログ式よりデジタル式のほうが種類は豊富です。
また、日付・時刻情報(タイムコード)の電波を受信して自動的に正確な時刻に合わせてくれる「電波時計」が多くラインナップされていました。
今回選んだのは、クルマやバイクのミラーなど周辺機器を販売するメーカーの商品。小ぶりながら文字が大きめのデジタル式電波時計で、価格は1500円ほどです。
実際に手元に届いた商品は100円ライター程度の大きさ。アラーム機能や押すと光るバックライトなども標準装備され、ボタン電池を使用しているので配線は一切不要となっています。
ここでひとつ問題が発生。それは、どこに配置したら良いのかということです。
センターコンソール上部はナビをはじめとするさまざまな情報を表示するディスプレイが鎮座しており、インパネ周辺もほかの表示と重なってしまう可能性があり断念。これまでのクルマでセンターに内蔵されていた車内時計が、ベストポジションにあったかがよくわかりました。
結局、センターコンソール下部の灰皿のフラップ上に暫定的に配置。付属のステーを両面テープで固定するだけと簡単に装着できるので、配置場所は今後もう少し検討したいと思います。
そして実際に取り付けてみるとやはり便利です。ドアを開けた瞬間に時刻を把握できるため腕時計やスマホで確認する手間が省け、行動を逆算しやすくなりました。
暗闇ではバックライトを点灯させるために本体上部のボタンを押さなければなりませんが、市街地では街灯の灯りでも十分確認可能。と同時に、改めて車内時計を標準装備として復活してくれればと思いました。
また、車内時計の形状やコンパクトさからすると、クルマよりもバイクなどに搭載するのも良さそうです。
ただでさえ表示スペースが小さいバイクですから、時計表示機能はあってもほかの情報との同時表示ができないことも多いので、走行中に時刻を確認できるのは非常に便利でしょう。
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