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eKクロススペースより充実装備でお買い得!! 新型デリカミニはタントに勝てるのか!?

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eKクロススペースより充実装備でお買い得!! 新型デリカミニはタントに勝てるのか!?

 2023年1月、東京オートサロン2023にて、三菱デリカミニが世界初公開された。このモデルはSUV風に仕上げた軽自動車だ。大人気スーパーハイトワゴン市場にどう切り込んでいくのか、解説と考察をしていく。

文/渡辺陽一郎、写真/MITSUBISHI、DAIHATSU、池之平昌信、平野 学

eKクロススペースより充実装備でお買い得!! 新型デリカミニはタントに勝てるのか!?

■デリカミニ発売は5月下旬!! なぜ三菱車共通のフロントマスクを採用しなかったのか?

東京オートサロン2023にて初披露された新型デリカミニ。デリカD:5譲りのスクエアで逞しいエクステリア

 外観などが公開された新型車の中で、特に注目度の高い車種が三菱デリカミニだ。コンセプトは文字通り「デリカD:5の軽自動車版」で、全高が1700mmを超える背の高いボディにスライドドアも装着する。スーパーハイトワゴンと呼ばれる軽自動車では人気のカテゴリーだ。外観をデリカD:5と同様、SUV風に仕上げた。

 デリカミニで注意したいのは、eKクロススペースと基本部分を共通化した後継車種になることだ。eKクロススペースは、2023年3月末までに生産を終えて、その後にデリカミニを発売する。販売店では「デリカミニの予約受注は2023年1月13日に開始され、正式な発表は4月6日に行う。納車を伴った発売は5月25日頃の予定だ」と述べた。

 ちなみに今の三菱車は、ボディサイドのパネルがフロントマスクまで回り込むようなダイナミックシールドと呼ばれるデザインを採用している。各種のライトは、フロントバンパーに相当する部分に、縦方向に配置される。デリカD:5やeKクロススペースも、同様のフロントマスクだ。

 ところがデリカミニの顔立ちは違う。ダイナミックシールドの流れに沿った形状だが、ヘッドライト、方向指示機、半円の車幅灯などは、フロントマスクの最上部に装着した。バンパーの部分に、縦に並べる配置ではない。従ってデリカD:5にフロントマスクが似ているのは、デリカミニではなく、廃止されるeKクロススペースだ。

 電気自動車のeKクロスEVからアウトランダーまで、三菱車に共通するフロントマスクをせっかく築いたのに、デリカミニが踏襲しなかった理由は何か。メーカーに尋ねると以下のように返答された。

「従来のダイナミックシールドは、どの車種も同じ顔立ちだったが、今後は各車の個性も尊重する。ダイナミックシールドの基本的な考え方を継承しながら、具体的なデザインは車種ごとに異なる。これは世界共通の取り組み方だ」

 要はダイナミックシールドが、全車共通の段階を過ぎて新しいステップに入ったわけだが、説明されないと「なぜデリカミニだけ顔が違うの?」と不思議に思う。三菱らしさが薄れたようにも受け取られる。それでもデザインの好みはユーザーによって異なるから、デリカミニの新しいフロントマスクが成功したか否かは、今後の売れ行きを見ないと判断できない。

■価格200万円台!! デリカミニには充実したオプションが標準装備になった!!

シート生地は高い通気性を持つはっ水加工が施されており、アウトドアでの使い勝手に優れる

 デリカミニの実用的な機能は、eKクロススペースに近いが、シート生地は柔軟性も含めて独特の仕上がりだ。

 またデリカミニの2WDは、サスペンションとタイヤの設定をeKクロススペースと共通化したが、4WDは異なる。デリカミニの2WDとeKクロススペースの15インチタイヤは165/55R15だが、デリカミニの4WDは同じ15インチでも165/60R15だ。

 扁平率が異なるからタイヤの外周が少し大きく、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)もわずか10mmだが拡大した。このようにデリカミニは、eKクロススペースに比べると、SUVとしての悪路走破力を少し強めた。

 装備と価格のバランスにも注目したい。eKクロススペースでは、ルーフレールは2万7500円のメーカーオプションだが、デリカミニは全車に標準装着した。合成皮革を使ったシート表皮も、eKクロススペースはGプレミアムとTプレミアムに5万5000円でオプション設定したが、デリカミニでは全車が合成皮革を使う。

 価格は正式には発表されていないが、販売店で得た情報によると、デリカミニGプレミアムは198万5500円だ。eKクロススペースのGプレミアムは198万円だから(両車とも2WD)、差額は5500円に収まる。前述の通りデリカミニは価格の割に装備が充実しており、eKクロススペースがデリカミニに刷新されると、買い得度も強まる。

 デリカミニにターボエンジンを搭載したTプレミアムの価格は、デリカミニが207万4600円で、eKクロススペースは206万8000円だ。この価格差も小さく、装備を充実させたデリカミニが割安になる。

■上級グレードをお得に! 販売店での試乗するときの心構えとは

デリカミニのお買い得グレードは装備を充実させたターボのTプレミアム

 最近は原材料費の高騰などによって値上げする車種も増えたが、デリカミニは、充実装備のプレミアムを割安に抑えた。今は軽乗用車の販売総数の内、50%以上をスーパーハイトワゴンが占めるから、競争も激しい。デリカミニは販売競争に勝つためにも、上級グレードのプレミアムを重点的に割安にした。

 ノーマルエンジンのGプレミアムと、ターボのTプレミアムにも触れておきたい。両グレードは使用目的に応じて選べば良いが、機能と価格のバランスでは、ターボのTプレミアムが買い得だ。ターボはノーマルエンジンに比べて駆動力(最大トルク)が1.7倍に高まり、WLTCモード燃費は8%程度しか悪化しない。ターボは動力性能が高く、なおかつ燃費も優れているから効率が優れている。

 そしてTプレミアムの価格はGプレミアムよりも8万円9100高いが、前者にはマニュアル変速操作が行いやすいパドルシフトが備わり、ターボの正味価格は実質的に約7万5000円に収まる。またTプレミアムには、アダプティブLEDヘッドライトがオプションに設定され、ハイビーム状態を維持しながら対向車や先行車の眩惑を抑えられる。

 購入するときは、販売店でまずGプレミアムを試乗する。頻繁に通る近所の登り坂を走り、パワー不足を感じたら、ターボのTプレミアムを積極的に検討したい。いずれにしても、プレミアムが買い得だ。

 なお車内の広い実用的なボディと、SUV感覚を融合させた背の高い軽自動車には、スズキスペーシアギア、ダイハツタントファンクロス、スズキハスラー、ダイハツタフトもある。

■個性豊かなスーパーハイトワゴン市場 気になるライバル車の特長は?

豊富な収納設備や多彩なアレンジができる室内空間が魅力のスペーシアギア

 スペーシアギアとタントファンクロスは、デリカミニと同様、全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンだ。スペーシアギアの特徴は、収納設備が豊富なこと。

 助手席の前側には、フタが上に向けて開くアッパーボックス、その下には引き出し式の収納設備、最下段にグローブボックスも備わる。助手席の下にも大容量のボックスが配置され、ハンドルが装着されているから車外へ持ち出せる。

開放的なBピラーレスのミラクルオープンドアを採用したタントファンクロス

 タントファンクロスは、左側のピラー(柱)をスライドドアに内蔵させた。そのために左側の前後のドアを両方ともに開くと、開口幅が1490mmに広がる。雨天時などはワイドな開口幅を生かしてベビーカーを抱えて車内に入り、子供を後席のチャイルドシートに座らせ、降車しないで運転席まで移動できる。

 このようにタントは便利な機能を備えるが、現行型は後席の背のたれを前側に倒しても、座面が連動して下がらず、床の平らな荷室にならない。荷室床面の後端に装着されたデッキボードを持ち上げると平らになるが、床の位置が高まる。デリカミニやスペーシアギアとは、荷室の使い勝手が異なるので注意したい。

 ハスラーとタフトは全高が少し低く、1600~1700mmに収まる。両車ともスライドドアは装着していない。ハスラーのシートアレンジは、ワゴンRとほぼ同じだ。

 後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、平らで広い荷室に拡大できる。後席には前後スライド機能も備わり、前述の格納操作を含めて左右独立式だ。ハスラーのシートアレンジはワゴンRと同様で、全高が1700mm以下の軽自動車では充実している。

 タフトはハスラーのライバル車だが、重視する機能が異なる。後席のアレンジは単純で、背もたれを前側に倒すだけだ。スライド機能はなく、後席は背もたれを倒して荷室として使うように開発されている。そのために前席と後席では内装の色彩も異なり、居住空間と荷室の違いを明確に表現している。

 その代わりタフトは装備を充実させた。132万円のXにも、ガラスルーフのスカイフィールトップ、電動パーキングブレーキ、LEDヘッドランプ、サイド&カーテンエアバッグなどを標準装着している。価格の割に装備を充実させ、ハスラーとは異なる価値を備えている。

 以上のようにSUV感覚の軽自動車は、機能の特徴に基づいて、好みや用途に合った車種を選びたい。車中泊などを楽しむユーザーは、快適に寝るためのマットなど、ディーラーオプションの内容にも注目したい。楽しいカーライフが待っている。

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みんなのコメント

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  •  三菱は、(アイミーブもそうだが)たまにいい意味でぶっ飛んだモデルを作る。アイミーブもガソリン車とEVの両方に適応できる骨格を用いるという発想はすごかった(今となってはそれが非効率だとわかるが、当時チャレンジすること自体がすごい)。
     私の中で三菱といえばいまだにパジェロであり、砂漠を走るメーカー。ある意味アウトドアはイメージに合うのではないかと思う。三菱の車はどれもそうしたにおいが感じられる。
  • 1枚目のサムネを見るとかっこいいが、2枚目を見ると貧相。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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