2021年2月18日に、ホンダ『新型ヴェゼル』のデザインがついに公開された。
2013年12月にコンパクトSUVの先駆けとして登場し、現在の強力ライバルが乱立するまで、人気車としてその座を築いた『ヴェゼル』。
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今回は現行型ヴェゼルの築いてきたその功績と、強力ライバルが乱立する変化した現状における新型ヴェゼルの期待と不安を考察していきたい。
文/岡本幸一郎
写真/HONDA、編集部
【画像ギャラリー】ついに新型が登場へ!! 写真で現行型ヴェゼルと徹底比較!
■登場から約7年 一度は明け渡したトップの座を奪い返す実力を持っていた人気車
登場は2013年12月と、7年あまり前のこと。
低価格はもとより必要十分な実用性とオシャレな内外装などが受けて一躍人気モデルとなった『ヴェゼル』は、翌2014年から3年連続してSUV新車販売No.1の座に君臨した。
比較的コンパクトながらボリューム感があり飽きの来ないデザイン、フィットベースの良好な使い勝手、購入しやすい価格帯という条件が揃い人気の現行型ヴェゼル
そして2017年にトヨタ『C-HR』が出るや爆売れしたため、その座を明け渡すも、比較的短い期間で下降線をたどり、2019年の上半期にはヴェゼルが再びNo.1の座に返り咲くという快挙を成し遂げたのだ。
C-HRがそうなったのは、トヨタ自身としても長く売れ続けるクルマでないことはもともと織り込み済みのモデルなので、それほど驚くべきことでもないのだが、驚いたのはC-HRの販売が落ち込んで再びNo.1になったのが、その時の別の新しい車種ではなくヴェゼルだったことだ。
実際、その間もずっとコンスタントに一定数を販売していたヴェゼルの売れ行きがあまり衰えていなかったのは添付の表のとおり。
さすがに2019年の下半期以降、2020年にかけては、ロッキー/ライズ、RAV4やヤリスクロス、ハリアーと、トヨタ勢の猛攻撃がはじまり影響を受け失速したことには違いないが、それでも根強く支持されて3万台超を販売したのは立派といってよいかと思う。
C-HRと登場から、ヴェゼル再逆転までの販売台数の比較 競合が追加されてもなお支持は失われず、1.5Lターボが追加された2019年には再び半期3万台の大台に乗った
ヴェゼルは海外にも導入されており、これまで約120の国と地域(台湾を含む)で、約384万台を販売したが(※2020年11月実績。VEZEL/HR-V、中国XR-Vの合計)、そのうち日本では45万5887台(2013年12月~2020年12月の合計)を販売した。
■なぜヴェゼルはこれほどまでに人気となったのか? 日本にフィットしたその要因
こと日本では、とにかく売れる要素が満載だったと筆者も考えている。それはホンダが別の人気車種でも謳っているのと同じで、いろいろなことが「ちょうどよい」からだ。
まずサイズとデザインがちょうどよかった。大きすぎず小さすぎず、街中でも取り回しがよく、見た目も個性の演出を狙って過度に冒険をしていないところがよい。あまりSUV然としていないので、乗用車プラスアルファのつもりで、とっつきやすかったのだろう。
センターに柱を通したインテリアは個性的ながら、やりすぎていないところが巧い。
あるいは、いちはやくSUVにクーペ的な要素を取り入れたクルマでもあり、スタイリッシュに見えながらもクーペしすぎていないおかげで、年代を問わず幅広い層のユーザーに受け入れられたところもちょうどよかった。
しかもクーペライクなフォルムのわりには、そして室内も荷室もしっかり広さが確保されている。後席だって成人男性が座るにも十分ことたりるし、ラゲッジも404リットルとCセグに匹敵する広さがある。さらには、ホンダ得意のセンタータンクレイアウトにより、ラゲッジのフロアが低く、リアシートのアレンジ性が高いといった強みもある。
いろいろな要素の按配が絶妙にバランスしていて、よく競合車との比較企画に携わった際にも、本当によくできているなと感心したものだ。それでいて200万円台半ばがメインというリーズナブルな価格もちょうどよかった。
現行型のインテリア 派手過ぎず大人し過ぎず、親しみやすい
かくしてヴェゼルは、SUVトレンドに乗ってフィットなどのコンパクトハッチバックからの乗り替えたユーザーや、ミニバンからのダウンサイザーなど幅広い層を取り込むことができだ。
走りもちょうどよかった。実のところ筆者らのように評価する立場からすると、初期型で指摘され、その後に改善したもののそれでも硬めだった乗り心地や、すでにホンダでは廃止の方針を打ち出しているi-DCDのギクシャク感など、気になる点はかなりあったのだが、一般ユーザーにとって許せる範囲の問題であり、むしろその相反として得られる軽快でスポーティな走りがヴェゼルが受け入れられる要因のひとつになったように思う。加えて燃費もまずまずで、十分に期待に応えていた。
そして中身もクルマ自体も7年あまりで大きく進化し、クルマとしての実力を高めてきた。
出た当初と最新版では、先進運転支援装備もぜんぜん違えば、AWDシステムも大きく進化した。最新版の「リアルタイムAWD」を北海道の雪上で試した機会では、Bセグの手ごろな都会派SUVでありながら、これほどまでの走破性能が与えられたことに驚いたものだ。
そんなヴェゼルの人気を尻目に、時間の経過とともに、同カテゴリーに競合SUVの投入が相次いだが、新たな価値を加えるべく、Honda SENSING標準装備のタイプや、「RS」、「TOURING」といった走りを訴求するグレードなどを追加してきた。
■ついに新型が登場!新型ヴェゼルの期待と不安
まもなく登場する2代目も、初代の延長上で大きな進化をはたす。詳細なスペックは明らかにされていないが、持ち前のちょうどよい手ごろなサイズながらも十分に広くて便利に使えて走りもよく経済的という強みには、さらに磨きがかけられることに違いない。
公開された新型『ヴェゼル』 現行型の強みに磨きを掛け、再びBセグSUVのトップに立てるか
パワートレインについては、フィットと同じくハイブリッドがi-DCDにかえてe:HEVとなりメインに位置付けられる。「Honda SENSING」もさらに機能が充実する。
さらに、電動テールゲートのようにライバルが先んじた装備でも追いつくのに加えて、車内WiFiや、デジタルキー、アプリセンター、などといった、時代のニーズにいちはやく応える装備で先に立つことにも注目だ。
そしてなによりデザインがよい。一見すると欧州プレミアムブランドのような雰囲気すらただよわせるほどスタイリッシュになった外見は、車格が上がったかのように感じさせるほど。
それは、実用性だけでなくプラスアルファの体験価値を提供することで、日々の生活の楽しさを増幅させることを目指したという、グランドコンセプトの「AMP UP YOUR LIFE」の表れといえそうだ。
これで価格がどれだけ上がるかが問題だが、前出の「TOURING」にも高額になることを避けるためAWDを設定しなかったぐらいなので、あくまでヴェゼルであることを念頭に、それほど高くならないものと思われる。
現行型に比べ、後席ドアのラインがより後方まで高い位置を保つ様になった ブレーキランプの形状も、CR-V派生的な雰囲気に
初代が世に出た当初は、BセグのSUV自体がまだそう多くはない状況だったところ、いまやそれが激戦区。国内外に有力な競合車が多く存在するようになり、初代のように続けてベストセラーとなるのは難しいかもしれず、とくに現在はトヨタの強敵たちが勢いをあましたまま迎え撃つ状況となっているが、かたやこれまでも人気カテゴリーを象徴する存在であったヴェゼルの新作がはたしてどんな戦いを演じるのか楽しみだ。
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みんなのコメント
新型はどの部分もアレぇ??どこか似てるよねえ、しかもかっこ悪いという。大外しの予感!