ロールス・ロイス、アレルギー研究支援のためのチャリティイベントで170万ポンドを集める

ロールス・ロイスならではのノブレス・オブリージュ

ロールス・ロイスは小児アレルギー根絶のために開催したチャリティイベント「Evelina Art for Allergy x Dine on the Line（アレルギーのためのアートと、生産ラインでの晩餐）」を開催。アート作品のオークションなどを行い、一夜で170万ポンド（約2億2700万円）超の寄付金が集まったという。

チャリティイベントが行われたのは2019年9月21日で、会場はウェストサセックス州グッドウッドにあるロールス・ロイスの本社。日々ロールス・ロイスが産み落とされている生産ライン脇でのディナーや、アート作品のオークション、近年注目を集めているアーティストによるインスタレーションなどが行われた。

今回は特別にロールス・ロイス・ファントムをキャンバスとして、英国現代アート界のキーパーソン、マーク・クインがアートワークを施すという世界に一台だけの“ビスポーク”を実施。オークションの目玉として出品された。

落札したのはロールス・ロイスのコレクター。マーク・クインは人の“虹彩（角膜と水晶体の間にあり眼内に入る光の量を調整する部分）”をモチーフにした作品群を手がけており、ビスポークにあたっては落札者の息女の虹彩を用いたアートワークが施されることに。落札価格は88万8000ポンド（約1億1800万円）に達した。

ロールス・ロイスのトルステン・ミュラー-エトヴェシュCEOは説明する。「このような特別なイベントを通じてエヴェリーナ・ロンドン小児病院の活動の一助となれることは、我々にとって大変光栄です。ファントムをキャンバスにしてマーク・クインが彩るアートワークは、我々にとってもすごく楽しみな試みです。エヴェリーナ・ロンドン小児病院のために、恐れ多くも200万ポンド近くの寄付金が今宵集まりました」

ジョン・レノンのファントムVの再来か

エヴェリーナ・ロンドン小児病院のギデオン・ラック教授も語る。「我々のミッションは子供たちのアレルギーを予防し、子供たちをアレルギーから保護し、最終的にはアレルギーを根絶することにあります。みなさまの惜しみない寄付金は、我々の研究プログラムを強く推進する力となるでしょう。我々の研究にスポットライトを当て、資金を募ってくださったロールス・ロイス・モーター・カーズのチームをはじめ、共同主催者のケイト・ストーリー、マーク・クインへ心からの感謝を捧げます。また、ゲストの皆様、アーティスト、オークションの協力者なくして、このようなことは実現不可能でした。心の底からお礼を申し上げます」

今回の競売を担当したのは、世界的なオークションハウス、サイモン ド ピューリー。彼らは今回のファントムを、ジョン・レノンのファントムVに例えた。曰く、あのサイケデリックなカラーリングが施された伝説の一台の再来、と評している。

他にも、ジェイク＆ディノス・チャップマンやデイヴィッド・ヤロウ、ハーランド・ミラー、メリー・マッカートニーなどの作品群がオークションに登場。英国人アーティスト、ジョナサン・ハクスリーによるライブペインティングや、LAを拠点に活動するメディアアーティスト、レフィク・アナドルによるロールス・ロイスのカラーリングをモチーフにしたデジタルアート・インスタレーションも披露された。

アートと自動車、そして料理。すべての最高峰がグッドウッドに集った一夜。当日のゲストは、世界的にも有名なロンドン屈指のシェフ、ジョルジョ・ロカテッリによる繊細なディナーも堪能した。さらに気鋭のシンガーソングライター、ジョン・ニューマン、DJファット・トニーによるプレイも特別な宵を盛り上げた。

イベントで得た収益は、アレルギー研究支援のためにエヴェリーナ・ロンドン小児病院へ寄付される。