スマホ感覚で車両操作が可能 大幅進化の最新ACCも魅力
Tクロス、Tロック、ティグアンという、T三兄弟としてフォルクスワーゲンはSUVラインナップを揃えている。いちばん小さいのがTクロスでポロがベースとなり、Tロックとティグアンはひとクラス上のゴルフをベースに開発されている。Tロックはかなりデザインに振ったスタイリングになっているが、実際の収納力ではTクロスの方が高かったりもするのが面白いところだ。つまりは、Tクロスはかなりの実力派モデルなのである。
ワゴン×SUVの新発想。キュートなスタイルと機能性を両立「スズキ・クロスビー」【最新SUV 車種別解説】
エクステリア
「TSI R-Line」は専用エクステリア、18インチアルミホイールでスポーティな装いとなる。「 TSI Style」が17インチ、「TSI Active」は16インチのアルミホイールを履く。最小回転半径は5.1m。コンパクトSUVということで、完璧に割り切ってFFのみの設定。悪路走破性はあまり考慮されていないと言い切っても良いかもしれない。そのぶん、日常使い+αの性能はしっかりと盛り込まれている。荷室の使い勝手はなかなかのものだ。フル乗車時で455lという大容量を確保しつつ、後席をすべて倒すと1281lまで拡大。自転車が積載できるほどなので、コンパクトSUVとしては期待を裏切らない積載能力をもつ。
乗降性
前席後席SUVとしてはステップが低めな数値が示すとおり、乗降性についてはコンパクトカーに近く、とても自然な姿勢で乗り降りできる。開口形状の良さも好印象に貢献している。パワートレーンはフォルクスワーゲン自慢のTSIエンジンを搭載。 いわゆるダウンサイジングターボで排気量は1.0lとしながら、直噴技術とターボを組み合わせることで、 燃費を向上させながらも力強いパフォーマンスを発揮。中でもTクロスに搭載されているものは、軽量化と効率を極限まで突きつめているのが特徴で、最高出力116ps/最大トルク200Nmを発生する。トランスミッションは7速DCTなので、ダイレクトにパワーを得られるのがポイント。DCTの登場当初は低速域のガタガタ感やシフトショックなどが云々言われたが、年々DCTも進化して、特にシフトショックなどはまったく気にならないレベルまで、完成度を高めている。
インストルメントパネル
フォルクスワーゲンらしいオーソドックスな骨格に、ジェスチャーコントロールに対応したSSDナビやフル液晶のデジタルメーターといった最新のデジタルコックピットをオプションとして用意。スマートフォンの非接触充電機能もセットオプションとなる。コンパクトなボディを活かしてノーズ位置を把握しやすいのもうれしい。DCTと組み合わせるとおおむね燃費が良くなるという特徴があり、かつてのコンパクトハッチバックカーの代わりにコンパクトSUVが使われるようになった昨今、うれしいポイントになっている。さて、コンパクト輸入車は、ナビなどの快適装備が使いにくいなんて言われた時代も長かったが、Tクロスにはディスカバープロという最新ナビが搭載されている。これは車両を総合的に管理するインフォテイメントシステムで、最大8つの画面を同時に表示させることが可能なだけでなく、手のひらを画面にかざして左右にスワイプするだけで、画面操作が行なえるジェスチャーコントロール機能も併せもつ。
居住性
後席前席前席はシンプルなシルエットだが、腰をしっかりと支えてくれる形状でホールド性は高い。コンパクトクラスながら座面は長く、もっと大きなクルマに乗っているような気分になれる。後席は前席を後ろ気味にセットしても膝まわりの余裕は十分で、スペース的な不満はない。シートのクッション性も満足いくものだが、前席ほど座面長に余裕があるサイズ感ではない。車両との連動性により、各種情報や安全装備などの表示設定が可能な上、通信モジュールも標準搭載している。常時オンライン化を実現しているので、クルマにスマホが搭載された感覚で使えるのはありがたい。
うれしい装備
後席は140mmのスライド機能があり、ゆとりのある居住スペースを実現している。さらに明るいLEDの読書灯が左右に装備されているのはクラスを超えた高級感を感じられるポイントだ。エアコンパネルは指先でなぞるようにして操作するデザイン。物理キーはないスマートな操作系でありつつ、タッチする部分を凹ませることにより、ブラインド操作がしやすいように工夫されている。ラゲッジのフロアボードは可動式となる。下段にセットすることで高さを15cmほど増やすことができるのは便利な機能だ。後席用にUSB-C電源をふたつ用意している。このあたりからもリヤパッセンジャーの快適性を重視した姿勢が見て取れる。模したデザインが基本だが、画面いっぱい「デジタルメータークラスター」は指針式をに地図を映し出すモードも見やすい。ステアリングやドライブトレーン、エアコンなどの設定を、エコ/ノーマル/スポーツ/カスタムと変更できる機能を備える。月間登録台数 515台(21年10月~22年3月平均値)現行型発表 19年11月(一部仕様変更 21年9月)WLTCモード燃費 16.9km/l
ラゲッジルーム
通常時後列格納時後席使用時で455lという荷室容量は、ボディサイズからは考えられないほど広い。荷室幅は最も広い部分では1230mmもある。後席は6対4分割可倒式で、すべて格納すると段差のない1281lのラゲッジスペースを生み出せる。安全装備もしっかりと充実している。210km までの速度域で前車を追従して完全停止までサポートしてくれるACCを「アクティブ」を除く全車に標準装備。さらに、走行レーンアシスト機能でサポートしてくれるから便利だ。その際も、ステアリングホイールは静電容量式センサーが採用されたので、軽く握っているだけでシステムが継続的に作動するため、快適性が大幅に向上。利便性の高い一台に仕上がっている。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.141「2022-2023 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/141
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