3月9~10日、鈴鹿サーキットで2024年MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ 第1戦 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レースが開催された。JSB1000クラスの決勝では高橋巧(JAPAN POST HondaDream TP)が5位、津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)が6位、野左根航汰(Astemo HondaDream SI Racing)が7位と入賞を果たした。そんな彼らがどのような思いでレースを戦い抜いたのかレース後に聞いた。
ついに鈴鹿で今季大注目のJSB1000が幕を開け、絶対王者の中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が荒れたレースを制した。各所で激闘が繰り広げられていたが、トップ集団の後方では元JSB1000の王者である高橋と野左根、そしてフル参戦組では唯一のスズキGSX-R1000Rを駆る津田がバトルを展開していた。
2024全日本ロード第1戦鈴鹿2&4 JSB1000 参戦全車総覧
ホンダ勢は新型車両のためデータが少ない状態であり、津田は寒さには厳しいスズキの特性に攻められずにいたが、次戦以降は表彰台争いに加わる可能性が高い。5位争いを繰り広げた3名のライダーは以下のように開幕戦を振り返った。
■高橋巧(JAPAN POST HondaDream TP)/予選:7番手、決勝:5位
JSB1000復帰1年目を迎える元王者の高橋は、事前テストで新型ホンダCBR1000RR-Rのシェイクダウンを実施。テストの際はTカーがなかったことから、攻めた走りができないままウイークを迎えていた。
「金曜までテストして、少しずつ良くなってきたかなという感じです。とりあえず試して、現状はこれというものが見えてきました。そこからセッティングもいじり始めてからの決勝だったので、まだマシンも自分の求めている枠にも入っていないですし、それが決まってくるとしっかりとしたレースができると思います」
「(赤旗中断後は)タイヤを変えていません。(決勝は)最低条件の転倒せずに、次に向けてデータをしっかり残すという目標はひとつクリアできました。難しいコンディションのなかで予想ではテツ(長島哲太)がいくと思っていましたが、意外とブリヂストン勢も普通にいけていたので、着実に確かめながらやるしかありませんでした」
「後半は少しずつわかってきて、ペースを上げられるようになってきたと思ったらセーフティカー中の赤旗で終わってしまいました。再スタートしていたら、また少し違う展開にもなっていたかもしませんが……」
「でもレースを使って新型モデルの雰囲気も大体わかってきました。チームには当然JSB1000の経験あるメカさんもたくさんいますが、チームとして初めてでデータも多くないなかで、リザルトとしては残念ですが、とりあえず転ばないという目標が達成できただけ良かったと思います」
■津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)/予選10番手、決勝:6位
2023年はチームとしてJSB1000クラスに初参戦ながらも、ポールポジションや表彰台を獲得するなど活躍を見せた。参戦2年目も津田が上位を牽引して行くことになるが、例年より約1カ月早く設定された寒い時期での開幕戦に、ウイークを通して苦戦していたようだ。
「走り出しから僕達(のマシン)は寒さに弱いということが明確でした。したいセッティング、使いたいタイヤではパフォーマンスを発揮できず、本当は使いたくはないけど使わないと安全に走れない状態で、セッティングやタイヤチョイスも変更しました。なので、昨年の最終戦で見せたようなトップに食らいつくポテンシャルはありませんでした」
「この気温にバイクをアジャストするのは難しいとわかっていました。今回は割り切って、安全にというか転けないようなバイクを作りました。それが僕達の持っているバイクのバランスなのか、自分のライディングから来るものなのか検証が今後必要ですが、かなり苦労していました」
「初日と2日目も10番手に入れるのがやっとで、僕達は1歩2歩遅れている状況の中で、赤旗前は徐々に離されはしましたが、しっかりトップグループに食らいついて、岡本(裕生)選手の後ろでレース展開できたり、難しい状況ながらも少しずつ進めていけるんだと確認できたレースでした」
「走っていてすごく歯がゆいレースウイークでしたが、今回に関しては自分たちは厳しい状況で、なんとかトップ10圏内のライダーたちと勝負することを目標にしていたので、厳しいなかでも最低限のことができました。正直自分の中では全然上手くいきませんでしたが、シーズンを通して考えると6位で終われたことは、決してネガティブではないと思っています。嬉しくはないですが、落ち込むほどのことではありません」
■野左根航汰(Astemo HondaDream SI Racing)/予選11番手、決勝:7位
2019年にヤマハでJSB1000の王者に輝いた野左根が、世界選手権の経験を経て新天地のホンダから復帰する。事前テストで新型ホンダCBR1000RR-Rのシェイクダウンを遂行したが、130Rでの転倒もあったため十分なテストができないまま初戦を迎えていた。予選は走れなかったものの、決勝では11番手から好スタートを決めてレース中は5位集団のなかでバトルを繰り広げていた。
「赤旗前に5位か6位まで上がれて、自分もそこから再スタートできると思っていましたが、また11番手に戻ってしまったのは少し残念でした。でも、スタートから1周目の追い上げは2回とも上手くいって、6位あたりを走れていました」
「SCが出た時に、逆に自分はチャンスだなと思い、残り2周で是が非でも前に出たいと多分哲くん(長島哲太)の次に再開を願っていましたね。『俺もやってやる。絶対に意地でも行ってやる』と思っていましたが、(赤旗で終了となり)本当にこればかりはレースなので仕方ないですね。でもしっかり集中してチームとともにセットアップに集中して、まだ足りなかったですが、ここまでこれたのは本当にチームのおかげでもありますし、自分は最低限のことはできたと思っています」
「今週はセットアップに集中していたためロングランができてなく、問題を把握できていませんでしたが、他のライダーと走ったときにどこが遅くて、速いのかがすごく明確になり、自分の課題もたくさん見えました。この差はどちらかというと僕達の方が縮められると思いますし、伸びしろはあります。自分は鈴鹿があまり得意なイメージがありませんでしたが、次は得意としているもてぎなので、また頑張ります」
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