「日産パビリオン横浜」って何?
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】日産パビリオン 行く前に予習 発表された新型Z【詳細】 全75枚
2020年8月1日、「日産パビリオン横浜」が期間限定でオープンした。
日産は次のように説明する。
見て、触れて、食べて、感じることができる、胸躍るような体験の数々。2020年8月、みなとみらいに誕生するこの場所であなたはきっと、想像を超えた未来を目の当たりにするはずだ。
いわゆる100年に一度の自動車産業の大変革期に、自動運転、AI(人工知能)、AR(仮想現実)など様々なイノベーションを含む「日産インテリジェントモビリティ」のショーケースとして、日産パビリオン横浜を使う。
場所は、横浜みなとみらい。日産グローバル本社から数百mほどの距離で、本社ショールームの屋外拡張版といったイメージだ。
パビリオンは楕円形で、その周辺は緑地帯を演出。EVやeパワーによる、地球環境への対応。プロパイロット2.0による、自動運転技術のさらなる活用など、現在のモデルラインナップで実現されている展示は、本社ショールームに任せて、パビリオンでは「さらにもう一歩先の未来」をどのように描くのか?
期間限定で、夏休み期間中で、といった観点で見ると、日産パビリオン横浜は、単なる家族向けの販売促進活動とも思えるが……。
果たして、そうだろうか?
急激な時代変化を追い風にできるか?
日産パビリオンはまさに、日産が起死回生を狙うため、ユーザーやディーラーに向けた重要な情報発信拠点となる。
いや、そうしなければ、日産に未来はない。
直近での日産からの情報発信を聞いていれば、多くの人がそう思うはずだ。
5月の決算報告、また6月の株主総会でも日産側が明らかにしているように、いまの日産は長きに渡るゴーン体制の悪影響により、様々な面で極めて厳しい状況に置かれている。
販売の実績だけで考えれば、フルモデルチェンジまでも車齢が長く、ディーラーからは「売るクルマがない」といわれ、ユーザーからは「買うクルマがない」と言われる場合が多かった。
そこでグローバルでは2021年11月までに12モデルを新規導入。日本では、6月にeパワー搭載の「キックス」を発表。また、リーフ以来となる新型EV「アリア」量産型を7月15日に世界初公開、日産フェアレディZプロトタイプも発表したばかりだ。
ただし、そうした商品の拡充は、日産再生に向けた氷山の一角に過ぎない。
内田CEOは「社内風土を根本的に変える必要がある」というほど、いまの日産は企業として徹底的な見直しが必要な状況にある。
企業トップがここまで言うからには、業界のしがらみや古い慣習に対してもメスを入れるのは当然であろう。
そこで注目されるのが、新車のオンライン販売だ。
ジャガー・ランドローバーにみる新車オンライン販売
クルマのオンライン販売といえば、最近では中古車をスマホのアプリで購入する人が増えるなど、以前に比べてユーザーの気持ちのハードルは下がっている印象がある。
また、自動車メーカー側も新車のオンライン販売に対する積極的な発言が目立つようになった。
例えば、ジャガー・ランドローバー本社が7月3日、一部メディア向けに行った「コロナ後のモビリティの未来」というオンライン説明会で、同社の商品開発責任者のニック・ロジャース氏は次のように話している。
「衣料品や飲食関連で起こっている需要は新車でも当然起こる」
これは単なる一般論ではなく、同社としては今後、通信によるコネクテッドサービスを強化する上で、オンラインでの新車販売は必須だという考え方を示したものだ。
同社はこの説明会の前日、定額での新車乗り換えができるサブスクリプションモデルサービス「PIVOTAL」を発表している。
今後は、新車オンライン販売や「PIVOTAL」など様々な方法で、メーカーがユーザーに直接コンタクトし、ユーザーに関するデータを把握するシステムに移管することを示唆した。
こうして文脈で考えると、日産パビリオン横浜は、新車オンライン販売に向けた布石にもなり得ると思う。
結果的に中国の事例に似ている?
日産がいう、「あなたの想像を超える未来」とは、完全自動運転車が街中を走り回ったり、自宅で音声認識によって移動を含めた様々なサービスができる、といった類ではないはずだ。
こうした未来社会のイメージは、メディアや各種イベントを通じて、ユーザーはすでに承知しており、「想像を超えた未来」という表現は当てはまらない。
ユーザーにとって、クルマに対する「想像を超えること」として、最も分かりやすいのは、クルマの売り方、買い方、使い方が根本的に変わることではないだろうか。
海外での過去事例を挙げると、2000年代に日産がディーラーがない中国内陸部で展開した活動がある。
大型トラック数台に新車や機材を搭載するキャラバン隊を仕立てて、各地でミニモーターショーを開催した。販売する場合は、ネットや電話を駆使して、近隣のディーラーが対応した。
今回の日産パビリオン横浜は、イメージや手法としては違うが、結果的に中国キャラバン隊と目指す方向性は同じに思える。
むろん、既存ディーラーの大幅再編や、メーカーとディーラーとの契約条項の書き換えなどが必要になるだろう。
起死回生を目指す日産にとって、日産パビリオン横浜をどのように使われるのか?
その動向をしっかり追っていきたい。
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