あの頃、日本の技術は輝いていた!?
創意工夫の数々
クルマの面白さは、技術者の創意工夫の数々にあるかもしれない。
たとえば、ホンダが開発した初期のカーナビゲーションシステム。今の目で見るとスチームパンクの世界だけれど、これがあったから今の“カーナビ”がある。
思いつきのような技術が意外なほど面白くて、ここでは1980年代の日本車にあった、独創的な装備を紹介しよう。
1. トヨタ「マークII」(6代目)×スライドアウトエアコンパネル1988年に発売された6代目マークIIはバブル経済全盛期に誕生しただけに、なんとも贅沢な内容だった。
エンジンをとっても「過給器付きツインカム」「高級スポーツツインカム」「ハイメカツインカム」「ディーゼル」そして主にタクシー向けの「LPG」という具合。
このとき設定されたのが最高級グレードの「グランデG」。外からみるとBピラーが見えない「ハードトップ」が「セダン」と共に設定された。「新しい高級車の出発点を開発のコンセプトにした」と、されていた。
エンジンは当時トップグレードに設定された「1G-GZE」。スーパーチャージャー装着の2.0リッター直列6気筒だ。このときのマークIIのガソリンエンジンはすべて、1Gエンジンのバリエーションだった。
6代目マークIIに用意されたのが「スライドアウト・エアコンパネル付きオートエアコン」。ボタンを押すとトレイが出てきて、そこにエアコンの風量や風向きの調節ボタンが設置されている。
わざわざトレイに設置する必要があるのか? というと、あったのかもしれない。なにしろ、このクルマのダッシュパネルには、これでもか! というぐらい多数の操作ボタンが並んでいるのだ。
風向きや風量は、昨今のオートエアコン搭載車ではあまり縁のない操作かもしれない。当時からきっとそうだったのだ。メーカーもそれをわかっていて、トレイのなかにしまったのかもしれない。
このトレイ、中古車では壊れて開かなくなることもあるようだ。まぁ、そうなっても、風量や風向きて程度なので、大きな問題にはならないような気がする。
2.ホンダ「アコード」(2代目)×ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ世界初の自動車用慣性航法装置として1981年に2代目アコード(とビガー)用に発売されたのがホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ。ようするにカーナビの走りである。
特徴は、GPS(人工衛星の電波を使ったグローバル・ポジションニングシステム)がない時代に開発された「地図型自動車用ナビゲーションシステム」であること。
小さなテレビのような6インチのモニター装置の背後に、透過性地図シートを差し込んで使う。それを画面に表示しながら、コンピューターからの信号により、自動車の走行軌跡、現在位置、向いている方向を重ねて表示する。
解説していくと小難しくなってしまうのだけれど、走行方向はヘリウムガス封入型のジャイロ、タイヤの回転に応じた電気信号によって走行距離を計算するセンサー、そして方向と走行距離の電気信号から刻々の現在位置を算出する航法コンピューターが、さきのモニターと併せて4つの重要パーツ。
使った印象は、相当面倒だった。なにしろ、さきに触れたように地図を差し替えていかなくてはならないからだ。使い始めたときは、便利だと思ったものだけれど、自車の位置はずれるし、山道を走ってみたときは大変だった。
ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータを今、使う気にはなれないけれど、これがあったから今がある、という視点に立てば、けっしてトンデモ技術ではないのである。それにしても、当時、まさかiPhoneのようなデバイスが登場してミラーリングのような技術が使えるようになるとは思わなかった。
3.いすゞ「ピアッツァ」(3代目)×サテライトスイッチサテライトスイッチとは、ステアリングホイール左右に、操作類を集約する機構のこと。ジョルジェット・ジウジアーロひきいるイタルデザインが手がけ、1977年に発表したプロジェクト「アッソ・ディ・フィオーリ」で提案。
ウインカーもワイパーも、レバーの代わりにサテライトと呼ばれるかたまりの中に埋め込まれている。シトロエンも一時期、このアイディアに凝っていて、「CX」(1977年)や「ビザ」(78年)といったモデルでもサテライトスイッチを採用していた。
CXでは、ホーンボタンは左のサテライトのサイドのボタンを叩く、パッシングライトを使うときは右のサテライトのサイドを叩くという具合で、とっさの判断に迷うこともなかった。
このアイデアを広くとらえれば、ウインカーとワイパーレバーの機能を統合したメルセデス・ベンツや、ステアリングパッドにウインカースイッチを埋め込んだフェラーリやランボルギーニも思い浮かぶ。
いすゞは、アッソ・ディ・フィオーリをベースにピアッツァを開発した際、サテライトを実現した。これだけで英断だったけれど、オリジナルのピュアなデザインがちょっと損なわれた、と、当時ちょっと批判されてしまった。
日本で売る場合、規格との戦いもあったろう。従来のレバースイッチの機能を盛り込んだり、合成樹脂の質感がちぐはぐだったり、そもそもサテライトの形が不恰好だったり……。
いすゞのインテリアデザイナーの苦労がしのばれる。
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「奇跡の9連休」高速道路は“帰省ラッシュ”が消えた? 年末年始の渋滞「地獄の3日間」とは
期待の国産原付ミニカー「Lean3」に試乗! コスパと実用性に優れた次世代3輪モビリティの実力とは?【試乗レビュー】
本州~九州に悲願の「新ルート」誕生へ!? 「下関北九州道路」いよいよ着手目前 大渋滞“関門トンネル”に代わって「小倉直結」のスゴさとは
スズキの超レトロな「軽クーペ・コンセプト」“LC”に「欲しい!」「これは売れる」の声! まるで“次期型フロンテ”な「2ドア×丸目2灯」モデルに反響あり!
ガソリン税の暫定税率が廃止されたらガソリンはどれくらい安くなるのか?
後続車に大迷惑の「リアフォグ」点灯…「フォグランプ」のみ点灯での走行は違反!? いまさら人には聞けない正しいフォグランプの使い方とは
「世界一死亡事故が少ない都市トーキョー」目標達成が危うい “死者ばかり”増える全国ワースト深刻な理由
信号機のない横断歩道、なぜ車は止まらないのか? 47%のドライバーが無視! 「歩行者優先」のルールは絵に描いた餅か?
ついに5気筒エンジンが過去のものになる! ところで4気筒も6気筒もあるけど5気筒にはどんなメリットがあったのか?
電気代が高騰するドイツでは34%のEVオーナーがエンジン車へ戻ったという驚きのデータが!【池ノ内ミドリのジャーマン日記】
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント