2009年、ホンダ ステップワゴンがフルモデルチェンジ、4代目へと進化して登場した。激戦となっている5ナンバーサイズのミニバン市場にあって、この4代目へのモデルチェンジのポイントはどこにあったのか。Motor Magazine誌は、その使い勝手と乗り心地を国内試乗会でチェックしている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年12月号より)
全高を上げてサイドウインドウを立てることで視覚的に広く
ステップワゴンといえば、1996年デビューの初代で、5ナンバーサイズの箱形ハイトミニバンというジャンルを作り出したといえるクルマだ。2001年の2代目はキープコンセプトとし、室内空間をさらに拡大していた。
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そして、2005年に登場した3代目では、低床・低重心設計とすることで、ミニバンながら走りの快適性を上げるという新たなチャレンジを行った。しかし、2代目と同じ室内空間を確保しているとはいえ、全高が下がっていることで、広さを求めるユーザーが視覚的に満足してくれなかったという。
そこで、この4代目は低床設計をそのままに全高を上げ、内側に向かって傾斜していたサイドウインドウを立てることで、このクラスで一番の室内空間を実現しての登場となった。3代目に比べて全高+45mm、全長+50mmとし、室内高+45mm、室内長+320mmとする、5ナンバー枠いっぱいに広がる箱形ボディという、まさに原点回帰を行った。
実際に乗り込んでみると、頭上空間の余裕は想像以上。さらに各ウインドウの面積が従来より拡大されており、視覚的にも広さを感じた。2列目、3列目へのウォークスルーも、少し腰を曲げるだけでいいので楽々だ。
2列目に座った印象は、1列目との前後距離を+100mm拡大したこともあって、快適そのもの。3列目は、2列目を一番後ろに下げた状態で、178cmの筆者が座っても膝前に少し余裕がある。また、つま先を2列目シートの下に入れることができるので、窮屈さを感じることはない。
そして、この3列目シートを床下に収納できることが、新型ステップワゴンの新しいウリだ。従来の跳ね上げ式は操作時に力を必要とし、とくに女性にとって難しい作業だった。また、リアクオーターウインドウを塞いでしまうため、斜め後方の視界も犠牲にしてしまうというデメリットがあった。「この床下収納を実現するために、フレームをリアタイヤ後方から車体外側いっぱいまで大きく湾曲させた新設計としました。さらにサイレンサーをリアタイヤの間に横置き配置するなど、かなり頑張りました」と車体設計担当の津嶋広通氏は語ってくれた。
低床・低重心設計でロールの少ない安定した走りを実現
走りの部分に目を移すと、搭載する2Lエンジンは、トルコンを備えたCVTが組み合わされている。最高出力は従来より5psダウンしているが、最大トルクは0.5kgmアップ、そして2000~3000rpmの低回転域でこれまでより太くなるように設定されている。そのため多人数乗車でも従来モデルより不満のない加速ができるだろうな、という印象を受けた。
足まわりは、従来とサスペンション形式こそ同じとしながら、より乗り心地の向上を目指したセッティングがなされたこともあり、不快な突き上げを感じることはあまりなかった。加えて、自慢の低床・低重心設計のため、背の高いクルマに多いロールも少なかった。
ところで、今回のフルモデルチェンジでは、従来はモデルサイクルの途中で追加された「スパーダ(SPADA)」も同時に発表された。
こちらはエクステリアの変更だけでなく、インテリアにおいてはパドルシフトを備え、またフロントダンパー内にリバウンドスプリングを設けた足まわりが与えられるなど、走りの面でもスポーティさが増している。
走ってみると、ロールがさらに抑制されており、ノーマルより安定感を増していた。また、乗り心地の面でも、スポーティに過ぎるということもなかった。むしろこちらのほうが、ステップワゴンというハイトミニバンの走りに合っているのではと思われるほどだった。
新型ステップワゴンは、家族みんなが快適に過ごせる広い室内空間や乗り心地、使い勝手の良さなどを徹底的に追求するという、初代のコンセプトを最新の技術で実現した1台だった。(文:Motor Magazine編集部/写真:永元秀和)
ホンダ ステップワゴン G・Lパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1695×1815mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:直4 SOHC
●排気量:1997cc
●最高出力:110kW(150ps)/6200rpm
●最大トルク:193Nm/4200rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:14.2km/L
●車両価格:225万7000円 (2009年当時)
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いまはよくわからん