Lamborghini Aventador S Roadster
ランボルギーニ アヴェンタドールS ロードスター
絶版を迎えたロータス3兄弟を今こそ語ろう。エリーゼ/エキシージ/エヴォーラの偉大なる功績:前編
V12NAをオープンで味わう贅沢
ランボルギーニのフラッグシップ、アヴェンタドールSのロードスターが日本に上陸した。デタッチャブル式のルーフは耐候性も高く脱着も簡単。そしてひとたびオープンにすればもはや貴重な存在の官能的12気筒NAサウンドを心ゆくまで楽しむことができるのである。
「世界で最も贅沢なスーパースポーツカー」
740psのV12NAエンジン、しかもミッドシップ。それをオープンで楽しもうというのだから、贅沢な話だ。そう、アヴェンタドールS ロードスターは、おそらく世界で最も贅沢なスーパースポーツカーだろう。何しろ、V12NAというエンジン自体がもはや絶滅危惧種。そしてV12のミッドシップのオープンカーなんて、おそらく一般市販車では世界でも他にはないだろう。
ロードスターの基本的な成り立ちは、アヴェンタドールSの座席頭上部分をデタッチャブルとしたもの。それによって外観は若干の変更を受けており、リヤエンジンフードはクーペより落とし込まれ、いわゆるトンネルバック形状となっている。そしてシート背後には後方視界のための小さな垂直のウインドウが設けられた。ちなみにこれは電動で開閉もできる。
「敢えて手動式のハードトップは獰猛さ漂うこのクルマには合っている」
最近のオープンカーはソフトトップでもハードトップでも電動というのが常識になっているが、アヴェンタドールS ロードスターのトップはなんと手動式。5000万円近い価格のクルマなのに、と一瞬は思ったが、よく考えたら電動にしたらモーターやらリンク類やらが必要となり、このシャープなリヤまわりのデザインは成立しないだろう。当然、重量的にもデメリットは大きい。潔く手動式、という方が獰猛さ漂うこのクルマには合っているのかもしれない。
それに、オープンにする作業はいたって簡単だ。シート背後にある2重ロックのレバーを引いたら、あとは持ち上げて外すだけ。ルーフは左右2分割でしかもカーボン製だから驚くほど軽い。信号待ちの間にちょっとオープンに、というのは無理かもしれないが(いや、慣れればできるかも)、少なくともオープンにすることをためらうようなことはまったくない。
「V12NAのエンジンサウンドが室内に容赦なく侵入する」
ソフトトップではなくハードトップとしたことの最大の恩恵は、やはりクローズド時の静かさだ。おそらくクーペとほぼ変わらない静粛性を保っている。撮影日は晴天だったが、雨の日でも雨音が気になることはないだろう。そしてロードスターならではの楽しみがリヤウインドウの存在だ。こいつを開けてやればV12NAの官能的なサウンドが室内に容赦なく侵入する。トンネルの中でシフトダウンし、アクセルをひと踏みした時のエンジン音の素晴らしさといったら! これがあるだけでクーペではなくロードスターを選ぶ立派な理由になるだろう。
オープンで走ると、意外なほどの開放感に驚く。フロントウインドウ上端が視界に入るくらいだから、屋根を開けて走っている実感は大きい。それでいて一般的な速度では不快な風の巻き込みもほとんどないのは嬉しいポイントだ。ボディの大きさのせいか12気筒のズッシリとした感触のせいか、ウラカンに比べると重厚さを感じるアヴェンタドールSだが、天井がないとその重厚感もいくらか和らぐ。そして一般道を走る限りではボディ剛性の低下など微塵も感じさせないのは、カーボンモノコックのおかげか。
「740psのモンスターマシンとは思えないほど“自分で操っている感”をリニアに得られる」
スピードを上げるにつれ重厚さはさらに薄まっていき、V12エンジンは右足と直結しているかのような軽やかなレスポンスを見せてくれる。全幅2mを超えるボディも、ワインディングでは意のままに操ることが可能だ。電子制御により緻密にコントロールされるAWDと4WS、奥深いしなやかさを見せるプッシュロッド式サスペンション、これらが一体となって740psもあるモンスターマシンとは思えないほど、“自分で操っている感”をリニアに得ることができる。もちろんこれはクーペ版でも同様なのだが、オープンにして風と光を感じながら走っていると、なおさら自分とクルマの一体感は強い。
常にオープンで走りたくなるクルマだが、街中では周囲からの視線を痛いほど浴びるだろう。それを心地良いと感じるほどの度胸と自信が、オーナーには必要かもしれない。
REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
【SPECIFICATIONS】
ランボルギーニ アヴェンタドールS ロードスター
ボディサイズ:全長4797 全幅2030 全高1136mm
ホイールベース:2700mm
乾燥重量:1625kg
エンジン:V型12気筒DOHC
総排気量:6498cc
最高出力:544kW(740ps)/8400rpm
最大トルク:690Nm(70.4kgm)/5500rpm
トランスミッション:7速SCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンコンポジット)
タイヤサイズ(リム幅):前255/30ZR20(9J) 後355/25ZR21(13J)
最高速度:350km/h
0-100km/h:3.0秒
車両本体価格:4996万9107円
※GENROQ 2018年 5月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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