この記事をまとめると
■2024年10月単月の登録乗用車の新車販売台数がコロナ禍以降最高台数を記録した
「サクラなら見かけるけどモデルYって……」 日本人が驚く世界でもっとも売れてる乗用車
■軽四輪乗用車の販売台数は登録乗用車に比べると不調傾向が目立つ
■今後はホンダとダイハツの2位争いのほうに注目が集まる
同時期ではコロナ禍以降で最高の販売台数を記録
10・11月は「秋商戦」とくくられて増販期とされているが、とくに10月は前月が事業年度(4月~翌年3月)締めでの上半期末となり、「半期決算セール」が大々的に展開される反動で思うように販売台数が伸びずにセールスマンを悩ますことも多い。7月や8月の酷暑に比べれば陽気もよくなり、3連休も目立ち、運動会、お祭りなどが盛んに行われるので、さらに販売現場を悩ますこととなっている。
そのような背景を説明してから2024年10月単月の新車販売台数を見ていこう。自販連(日本自動車販売協会連合会)による登録乗用車の販売台数は23万1474台(前年比107.8%)となり、コロナ禍となってからは同時期では最高の販売台数を記録している。
前年比プラスとなる理由は、一部メーカーを除き新車の供給体制が前年より格段に改善されることを挙げる。そして、除かれた一部メーカーとは国内販売シェアトップのトヨタとなる。「発注して納車まで待たされるというのならまだしも、注文すら入れることができない「新規受注停止車」がラインアップのなかで溢れています。11月上旬時点にて販売現場で話を聞くと、「アクア、カローラ(セダン/ツーリング)、クラウン系の一部ぐらいが受注可能」ということで頭を抱えていました」とは事情通。
ただし、それでも「受注再開まで待つ」といったお客も少なくない。再販価値なども含め、「トヨタブランド」への支持の高さを見せつけ、発注できないならと他メーカーへ流れるケースは限定的となっている。
2024年春にホンダWR-Vがデビューし、2024年10月にスズキ・フロンクスがデビューしている。2車は3ナンバーワイドボディとなるが、同クラスといえるトヨタ・ライズは2車よりモデルが古いものの、5ナンバーサイズということもあり、相乗効果で増販が期待できる。事実、調べてみると(11月上旬)、ガソリン車で早くて年内になんとか納車可能、ハイブリッドでも早ければ2025年2月には納車可能となっていて、増販体制を組んでいるように見える。
ただし、「間もなく法規対応のための改良を行なうとの別情報もあります。そして改良の際には10万円ほど車両価格がアップするとの情報もあります」(事情通)。トヨタ車に関しては、「発注可能なのか」をまず確認し、発注可能ならば「納期がどうなっているのか」を段階的に確認する必要があるだろう。
また、1年ほど新規受注停止が続いているノア&ヴォクシーの改良モデルの発売のメドがようやくついたようだとの情報もある。
ただ、発売後は通常の流れでバンバン発注できるというわけではなく、各ディーラーへ決められた台数の完成車が割り当てられるとのことで、販売現場でお得意様優先受注にするのか、抽選にするのか、なんらかの対策が打たれるようである。
軽自動車の不調傾向は否めない
一方、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)発表による、軽四輪乗用車の販売台数は10万6203台(前年比88.6%)と登録乗用車に比べると不調傾向が目立っている。ブランド別にみると、スズキが前年比100%以上となっているものの、ほかのブランドは前年を下まわっていた。なかでもダイハツが75.3%、ホンダが73.9%と不調傾向がより目立っていた。ダイハツは一連の認証問題の影響がいまだに尾を引いていることはまず否定できないだろう。
さらに、2024年春に全面的に供給再開して以降、中古車専業店にはダイハツ軽自動車(商用車も含む)の、届け出済み未使用軽中古車が店頭に溢れている。とくに展示の目立つ、ムーヴ・キャンバスではそれほど広くない敷地の中古車専業店でも色違いでかなりの台数が常時といっていいぐらい展示されている。
ロシアでは世界各地から輸入される「輸入中古車」の販売台数が多く、新車販売台数への影響(なかなか売れない)が出ているというが(ウクライナ紛争前の話)、ダイハツ軽自動車ではほかのブランドに比べても、届け出済み未使用軽中古車の流通台数が多く見受けられるので、ロシアの例にならえば、ダイハツも新車を選ばずに、消費者の多くが届け出済み未使用中古車を選ぶことで不調傾向が目立っているのかもしれない。
ホンダについては2023年10月に現行N-BOXが正式発売されている。ただそのような状況でも、ナンバープレートのついていない先代型(2代目)の在庫が目立っており、小売り(一般消費者への販売)に加え、ナンバーを自社(ディーラー名義などで)名義で届け出をしてナンバープレートだけを装着する、先代型の自社届け出も加わる。
ホンダN-BOXは、2023年10月単月だけで、半期決算月である2023年9月を超える2万2943台を販売し、ホンダの軽四輪乗用車全体でも3万327台を販売(ホンダ軽四輪乗用車におけるN-BOX比率は約75.6%)しており、2024年10月単月を2023年10月と単純比較すると、不調傾向を際立たせてしまっているようである。
軽四輪総台数、軽四輪乗用車それぞれの販売台数ではスズキがダイハツを押さえて軽自動車販売トップとなっている(軽四輪商用車はダイハツがトップ)。2024年1月から10月までの累計販売台数でもこの傾向に変化はない。
ただ、軽四輪総台数での2024年1月から10月までの累計販売台数を比較すると、トップスズキと2位ダイハツの差は約22万台まで開いており、2024暦年(2024年1月から12月)締め年間新車販売台数での軽自動車販売ナンバー1はスズキでほぼ決定といっていい状態であるし、2024事業年度(2024年4月から2024年3月)締め年間新車販売台数でもスズキのトップはほぼ確実といってもいいかもしれない。
むしろスズキとダイハツのトップ争いではなく、ホンダとダイハツの2位争いのほうに注目してもらいたい。気が付くと2024年1月から10月の軽四輪乗用車の累計新車販売台数では、ダイハツは3位に転落しホンダが2位となっている。
軽四輪総台数でみるとダイハツが3万7267台の差をつけ2位となっている。2024暦年締め年間販売台数ではダイハツは2位に落ち着きそうだが、今後ダイハツとホンダの2位争いというものが継続していくのかは注目に値するといえよう。
消費者マインドとしてはダイハツへのネガティブイメージはかなり薄らいでいるように見えるのだが、届け出済み未使用軽中古車が多く、割安な価格設定もあるのでそちらへ流れやすくなっており、足を引っ張っているのがジャブのようにきいているように見える。
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