この記事をまとめると
◼︎6代続くシビック タイプRのスペックを比較
かつてのホンダは凄かった! 踏めば脳天まで痺れる「エンジンのホンダ」を感じさせる名車5選
◼︎「最新は最良」と言われているのかを検証してみる
◼︎必ずしも最新が最良とは言えないシーンもあることが発覚
シビック「タイプR」の中ではどれが最高と呼べそうか?
2021年のF1が最終戦を終えて、劇的な勝利でホンダのパワーユニットを積むレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手となったことが話題だ。ホンダがF1活動終了するというタイミングで30年ぶりにドライバーチャンピオンに貢献できたというのは、まさにエンジンのホンダというブランディングにも寄与することだろう。
その一方でホンダのスポーツモデルは、現時点では消滅しているに等しい。NSXやS660は生産終了に向けてカウントダウン状態であるし、量産ラインアップのなかでもスポーティといえるのは6速MTを用意するシビックくらい。伝統のタイプRシリーズも、2021年12月時点ではラインアップに存在していない。
もっとも現行シビックについては近い将来、タイプRがリリースされることは公式に発表されている。はたして従来どおりに「FF世界最速」を目指すのか、それとも電動化テクノロジーを取り入れるのか、どのようなパワーユニットになるのかは不明だが、次期シビックタイプRの開発が進められていることは間違いない。F1活動は終了しても、タイプRは消えず、である。
というわけで、あらためて歴代シビックタイプRのパフォーマンスを振り返ってみよう。
2リッターターボと6速MTによりフロントタイヤを駆動するFK8シビックタイプRの軽量バージョンであり、最終進化形といえる「リミテッドエディション」は、市販状態で鈴鹿サーキットを2分23秒993というタイムで駆け抜けたという。
ワンメイクレース仕様のFD2シビックタイプRのコースレコードが2分22秒072で、またN1仕様のEK9のコースレコードが2分31秒069あることを考えると、市販車としては驚異的なタイムであることがわかるだろう。
6代続くタイプRをスペックで比較してみた
さて、いきなりアルファベットと数字で表記してしまったが、あらためて歴代シビックタイプRの型式とデビュー年月の情報を整理しておこう。 1st 1997年8月【EK9】 1.6リッターエンジン 2nd 2001年10月【EP3】 2リッターエンジン 3rd 2007年3月【FD2】 2リッターエンジン 4th 2009年11月【FN2】(タイプRユーロ) 2リッターエンジン 5th 2015年10月【FK2】2リッターターボエンジン 6th 2017年7月【FK8】2リッターターボエンジン それぞれの形が思い浮かぶだろうか。EK9とEP3、FN2は3ドアハッチバック。FD2は4ドアセダン、FK2とFK8は5ドアハッチバックとなっている。
300馬力オーバーの2リッターターボエンジンを積んだ5代目以降のシビックタイプRは完全にそれ以前とは別物となっている。なにしろ、シビックの最速バージョンという立ち位置ではなく、「FF世界最速」を目指し、それを実現してきたのが5代目以降のシビックタイプRなのだ。
ポルシェ博士が「スポーツカーは最新が最良」と言ったという伝説もあるが、たしかにシビックタイプRのスペックを見比べると、歴代最速といえるのは現時点で最新型となるFK8型と断言できる。なにしろ、その心臓部は歴代最強の320馬力ものパワーを発揮しているからだ。
たしかにFK8のボディサイズは全長4560mm・全幅1875mmと巨大化している。5ナンバーサイズだった初代から比べると大きく重くなっているのは明らかだが、それでもパワーウエイトレシオを計算すると4.28kg/PSのFK8が最強なのだ。
では、どんなシチュエーションでもFK8が最速なのかといえば、そうとは言えない。たとえばサイドターンが必須なコース設定のジムカーナで比べると、EPB(電動パーキングブレーキ)仕様となっているFK8では不利な部分もあるのは否めない。
漫画の世界のように下り坂だけで競うようなシチュエーションであれば、長丁場になるほどブレーキへの負担が軽いEK9が有利になってくることもあるだろう。とはいえ、歴代モデルそれぞれに乗った経験からすると、リヤタイヤの接地感が生み出す安心感はFK8が圧倒的で、よほどの手練れでない限りダウンヒルバトルになっても「最新は最良」となりそうだ。電子制御サスペンションにより、街乗りでの快適性とアグレッシブに走るときのスポーツ性を両立させているという点でいっても、やはり最新は最良と感じる。
もっとも、純粋な速さとは別にエンジンを回して楽しむといった視点で比べると、NAエンジンを積んだモデルにシビックらしさを感じるというユーザーもいるだろう。その点でいえば、まるで叫び声をあげるように高回転まで回るEK9のB16Bエンジンや、2リッターという排気量を感じさせない高回転域の気持ちよさを持つFD2のK20Aエンジンを評価するという気持ちも理解はできる。
はたして、ハンドリングの気持ちよさを持つ現行シビックをベースとした次期タイプRは、どのようなスポーツモデルに仕上がってくるのか。最新が最良だとすれば、すべてにおいてFK8を超える存在になってくるはずで、期待が高まる今日この頃だ。
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