これまでで一番高いゴルフGTI
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
【画像】8代目の記念仕様 VWゴルフGTI クラブスポーツ45 競合のホットハッチと比較 全157枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
うっかり大切な記念日を忘れていた、という経験をお持ちの読者も少なくないと思う。だが近年の自尊心ある自動車メーカーは、確実に覚えている。アニバーサリー・モデルを投入する絶好の機会になるからだ。
フォルクスワーゲンは2007年に発表したエディション30以来、5年毎にゴルフGTIの誕生を祝ってきた。そして2021年はGTIの誕生45年目。これまでのアニバーサリー仕様は、いずれも素晴らしいものだった。最新版の登場も歓迎したいところ。
今回、真っ先に触れておきたいのが価格。45周年を記念するクラブスポーツ45の英国価格は、3万9980ポンド(615万円)に設定されている。これまでのゴルフGTIの中で最も高い。さらにハイエンドな、ゴルフRよりも。
ゴルフRの場合、EA888型と呼ばれる2.0L 4気筒ターボエンジンは共通だが、クラブスポーツ45より20psハイパワー。また前輪駆動ではなく四輪駆動で、フラグシップとして動的性能を際立たせる知的なクラッチシステムも備わっている。
そう考えるとクラブスポーツ45は、うかつに手を出すべきモデルではないと感じられるはず。あえての1台といえる。
45周年を記念して採用される主な装備は、アクラポビッチ社製のチタンエグゾーストに、19インチホイール、メタリックブラックのドアミラーカバーと大きなリアスポイラーなど。ボディサイドに「45」が記されるが、目立つ違いとはいえないだろう。
メカニズムはクラブスポーツに準じる
ただし、ベースモデルは通常のGTIではなく、名前の通りわれわれが高く評価するGTI クラブスポーツ。よりシリアスな走りを求めて仕立てられている。
クラブスポーツの場合、300psの4気筒ターボに加えて、車高が低くなる専用のスプリングも組まれる。フロントタイヤはネガティブキャンバーが強められ、アーム類を変更しジオメトリーも調整。リアタイヤ側には、より操縦の自由度が高い設定が与えられる。
積極的に機能するeデフの設定と、ゴルフR用のブレーキも組まれる。クラブスポーツのレシピは、とても魅力的な内容だ。
チタンエグゾーストを除けば、45は通常のクラブスポーツとメカニズム的に同じ。残念なことといえばMTが選べないこと。それでも7速デュアルクラッチATは効果的。ゆったり運転している時も、レッドライン間際まで引っ張りたい時も、よく働いてくれる。
DCCと呼ばれるアダプティブダンパーやリアカメラ、ディスカバー・ナビゲーション・プロは標準装備ではない。この3点のオプションを追加すると、英国価格は4万2500ポンド(654万円)に膨らんでしまう。
走りの印象も、基本的に通常のクラブスポーツに準じる。リミッター解除で、最高速度は249km/hから267km/hへ高められている。だが、19インチホイールを履いているかどうか程度の違いだ。
ドライビングポジションは、ホンダ・シビック・タイプRほどではないにしろ、好印象。シートに腰掛けると、姿勢はややアップライト気味になる。シート自体は、動的性能を考えれば、もう少しサポート性が高くても良いだろう。
オンとオフを使い分けられるステアリング
走り始めて最初に心に響いてくるのが、ステアリングの反応。重み付けやレシオはちょうど良く、情報量も充分。ドライバーが望めば、機敏なハンドリングを楽しめることをクルマが教えてくれるようだ。
コーナーで攻め込んでいくと、明らかに手応えは増していく。同時に、目的地まで平穏に移動したいなら、その気持ちを邪魔することもない。
クラブスポーツ仕様のサスペンションが生むフロントの荷重移動の感覚は、日常的な速度域でも充足感が高い。ノーマルのGTIより、自信を持って操縦できる。
一方、もっと気持ちを高ぶらせてくれる運転環境が与えられても良かった。特にアニバーサリー仕様なら。ゴルフRの大きいシフトパドルもアリだった。アルカンターラ仕上げのステアリングホイールも、特別な45なら握りたいと思える装備だと思う。
試乗車にはDCCとフォルクスワーゲンが呼ぶアダプティブダンパーが組まれ、減衰力を15段階で調整できた。しかし、コンフォートとスポーツとの間を超える設定は、滑らかとはいえない英国郊外の一般道には向いていないようだ。
管理の悪い舗装を通過すると、コンフォート・モードでもサスペンションは振動を抑えきれない。インテリアのどこからか、振動音が発生してしまうほど。
通常のゴルフでも、8代目の設定は硬め。積極的な操縦性のために、しなやかさが犠牲になっている。クラブスポーツ仕様の短いバネの場合、さらに丁度いい塩梅の領域が狭くなっているのだろう。舗装したての道を走りたい。
ひと踏みで300psが放たれる興奮
クラブスポーツ45は、優雅に流れるような走りを魅力とするモデルではない。ラインや姿勢を自由に調整できるような感覚も、攻め込まなければ得にくい。ゴルフRの方が、より一体感を楽しめるかもしれない。
それでも、クラブスポーツ45の姿勢制御は見事なまでに高精度。正確な身のこなしは、クルマとの信頼関係に結びつけてくれる。
トルクステアの気配が加わっているが、多くの場面で300psのパワーとトラクションは、見事にバランスしている。低いギアからフルスロットルを受け入れてくれる。アクセルひと踏みで300psが放たれ、疑問を挟む余地がないほどエキサイティングだ。
アクラポビッチ・エグゾーストは、4気筒ターボのドラマチックさを引き立てる。だが、合成サウンドを完全に打ち消せるほどではなく、必須アイテムとまではいえないだろう。
ゴルフGTI クラブスポーツ45は優れたホットハッチではある。息を呑むほど速く、現代基準では優れたコミュニケーション力を備え、通常のGTI以上にシャープ。技術が要求される道では、ライバルより落ち着いてもいる。フォード・フォーカスST以上に。
ただし、クラブスポーツ45で得られるドライビング体験は、英国では2750ポンド(42万円)安い通常のクラブスポーツでも手に入ること。限定モデルとして45も悪くはない。だが筆者が選ぶなら、通常のゴルフGTI クラブスポーツの方になりそうだ。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45(英国仕様)のスペック
価格:3万9980ポンド(615万円)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:267km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:13.3km/L
CO2排出量:169g/km
乾燥重量:1461kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5000rpm
最大トルク:40.8kg-m/1800-5200rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント