1月10日に発売が開始されたプリウス。昨年行われたワールドプレミアでは、「これがプリウス?」と驚くようなデザインの変更に目を奪われた方も多かっただろう。車両特性も歴代プリウスに比べ、スポーティかつスペシャリティに進化した。
進化とともに、変化も著しいプリウス。新型発売から約10日が経過したトヨタディーラーを取材すると、プリウスの変わったこと、変わらないことが見えてきた。
プリウス大幅納期短縮!? 販売現場でも大人気!! プリウスが新型で変わったことと変わらないこと
文/佐々木 亘、写真/トヨタ
■販売方法はディーラーごとに変化!現場の混乱は最小限に
1月10日に発売開始となった新型プリウス。トヨタの販売店各社の工夫により、今のところ目立った混乱は起きていない
様々な要因で、新車の納期が長くなっている昨今。新型モデルはユーザー間で取り合いが発生し、これまで幾度となく販売現場に混乱をもたらしてきた。新型車を買い占め、高額転売するなど、これまでには考えられない動きがあり、ディーラーもその対策に苦慮しているところだ。
新型プリウスに関しても、同様の混乱が起きることが予想されていたが、各地のトヨタディーラーは、その土地の風土や気質に合わせた販売方法を模索した。
ディーラーにプリウスの価格が配信されたのは、2022年12月末ごろ。この時点で先行受注を開始したディーラーは、もちろんある。しかし、中には1月10日の発売まで、頑なに先行受注を受け付けず、10日の封切と同時に先着順で注文を受けるというお店もあった。
こうしたお店では、「先行受注」が必ずしも購入の機会平等にはつながらないという判断のから、受付開始日を明らかにして「先着順」という、シンプルな方法を選択したようだ。
各地のディーラーによる工夫もあり、新型プリウスの販売では目立った混乱は起きていない。プリウスの進化とともに、トヨタディーラーの売り方にも変化が見える。
■その人気は相変わらず!新型プリウスめちゃくちゃ売れてます
新型プリウスはインテリアも未来的。デジタルメーターは7インチで、センターのディスプレイはZが12.3インチ、GとUは8インチとなる
プリウスは発売されたものの、試乗車はおろか展示車でさえディーラーには入っていない状況だ。実際にプリウスを見ながら購入相談をすることは、全国の多くの地域で、まだできていない。
大幅に車両コンセプトが変わったからこそ、どのようなクルマになったのか確認してから購入したいというのがユーザーの本音だとは思う。しかし、現車到着を待たずして、ディーラーでは、数多くの注文を受けている状況だ。
新型プリウスの月販基準台数は4,300台と発表された。全国には約270のトヨタ販社があり、1つの販社に割り当てられるプリウスの台数は、1か月に20台~40台といったところだろう。(※販社規模により割り当て台数は前後する。)
既に月間配車枠の10倍を超える注文を集める販社が多い。大幅に車両コンセプトを変えたクルマが、展示車・試乗車無しの状態で、これほど注文を伸ばすとは、ディーラーも予想していなかったという。予想を良い方向で裏切り、順調に注文台数は伸び続けている。
カタチが変わっても、プリウスはこんなに売れる。こうした人気には、ただただ驚かされるばかりだ。
■人気プリウス、その納期はいかほどに
KINTO Unlimited専売のUグレード。エンジンは1.8Lだが、ソフトウェアやハードウェアのアップグレードが可能な点は斬新で魅力的
気になる人気グレードと納期だが、売れ行きが良いのはZグレード。しかし、納期はZとGで大きな差は無いようだ。「法人向け」を強くアピールしたXは、生産台数も少ないことから、個人客から選ばれることは少ないという。
筆者の取材した1月3週目の時点で、2.0LのZ・Gに関しては、2023年12月までに生産が開始されれば御の字という状況。納期としては約1年を覚悟する必要がある。ディーラーで注文できる1.8LのXは、取材時点でいくと半年超の納期と案内されていた。
また、KINTO Unlimited専売となるUは、納車目途が2か月程度となっている。ディーラーでの購入相談からKINTOへ購入形態を変えるケースも、増えてきているようだ。
購入に関しては、「また1年以上も待つのか」と、げんなりするユーザーも多いと思う。トヨタとしても、注文から納車までの期間を出来るだけ短くするため、今夏から対策を講じるようだ。
2023年夏ごろから、主力車種の増産を目指すという話は、昨年の秋頃からディーラー界隈でささやかれていた。これに加えて、新型プリウスのZ・G・Uに関しては、海外向けに確保していた生産枠を、夏項に国内向けへと融通する可能性があるようだ。
現時点では、あくまで予定となるが、実現すれば現在の国内への配車台数が大きく増える。生産予定が早まるということも期待でき、長納期という大きな問題が解決へ動き出すかもしれない。
2月には展示車・試乗車等が整備され始める。今後も販売台数は伸び続け、新型プリウスが街中に溢れる様子も、近い将来見られることだろう。
カタチが変わったプリウスは、売り方を変え、生産体制も変えつつある。「変化」がキーワードの新型プリウスだが、唯一変化しなかったは人気の部分。プリウス人気は、常にキャリーオーバーしている。
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