一部改良を受けたTOYOTA GAZOO Racingの「GRヤリス」のうち、6MT仕様に小川フミオが乗った!
スポーツドライビングの醍醐味
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マニュアル変速機の楽しさを堪能したい……。クルマ好きの願望を叶えてくれるスポーツモデルの最右翼がGRヤリスだ。2024年4月にパワーアップした「RZ ハイパフォーマンス」は、とにかく楽しい。
GRヤリスが登場したのは2020年。トヨタ自動車が力を入れるラリー競技のためのホモロゲーションモデルでもあり、はじけるような加速力と、超ダイレクトなハンドリングで、あっというまにクルマ好きを虜にした。
2024年には、大変優れたレスポンスを持つ8段オートマチック変速機「GR-DAT」搭載モデルを追加。乗るならMTかATか、スポーツドライビング好きをも大いに悩ませるようになっている。
2024年7月に乗ったMTモデルは、1618cc直列3気筒エンジンに、「GR-FOUR」なるスポーツ4WDシステムと、6段マニュアル変速機という組合せは従来から継続。
最新モデルは、最高出力が272psから304ps(224kW)に、最大トルクが370Nmから400Nmに引き上げられた。発生回転数をみると、最高出力は6500rpmで、最大トルクは3250から4600rpmのあいだで発生する。
私見では、マニュアル変速機の楽しさをフルに味わうには、トルクの薄いエンジンと、クロスレシオトランスミッションの組合せが最高だ。マツダ2の「15MB(モータースポーツベース)」がまさにそれ。エンジントルクが薄めなので、シフトアップのタイミングがなかなか難しい。
もうひとつが、GRヤリス。上の回転域までシュンッと一気呵成にまわる回転マナーのいいエンジンとの組合せ。運転しやすく、マニュアル変速機の心得があるひとなら、すぐ慣れるし、日常使いも楽しい。
GRヤリスのギヤボックスは、ゲート感がはっきりしていて、かつ節度がある。急いでシフトしてもミスすることはなかった。ちょっと押すと、吸い込まれるようにゲートに入る。これはマニュアル変速機の醍醐味。
先述のとおり、トルクがさらに厚くなっているので、実際のドライビングは楽。3速に入れたままでも発進できてしまう。スポーツドライビングが好きな人は、もっとフライホイールを小さくして、“ビュンビュン”と、エンジンが回転するのもいいのでは、なんて思うかもしれない。けれど、使いやすさとの両立という点では、上手な案配になっていると思う。
エンジンはよくまわる(それに高回転域の音もよい)ので、市街地だと2速とか3速にいれっぱなしで、ATのように走れてしまう。ただしクラッチペダルを踏むのを忘れると停車したときにエンストしてしまうけれど。
足まわりはしっかりしていて、クイックなレシオを持つステアリングとの相性は抜群。自分の両手両足それに五感でもって走るスポーツドライビングの醍醐味が味わえる。
本気で欲しくなる1台内装は素っ気ないけれど、機能主義は徹底している。スポーツタイプのシートのホールド性はとてもいいし、手を伸ばさなくても、必要な操作系はどれもドライバーの近くに配置されている。
インフォテインメントシステムのモニターもそれなりに大きい。これだけは、利便性の面からあったほうがいいのか、それともクルマのイメージからして装着されていないほうがいいのか、やや迷う気がする。
私がいいなぁ、と、思うのは、クロースレシオのマニュアル変速機で運転が楽しめるモデルが、日本にはけっこう存在することだ。さきのマツダ2をはじめ、マツダ「ロードスター」、トヨタ「86」とスバル「BRZ」、ホンダ「シビックタイプR」と、どれもキャラクターがしっかりしている。
GRヤリスは、今回のモデルとは関係ないものの、「RZ“High performance・Sébastien Ogier Edition”」や「RZ“High performance・Kalle Rovanperä Edition"」と、オジエとロバンペラというTGRワールドラリーチームの選手が監修した仕様も限定発売。かなり突っ走っている。
このクルマが自分の車庫にあったら、楽しいだろう。本気で欲しくなる1台だ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
ってのはよく伝わってきた。