コロナ禍の逆風でも利益率8.1%と前年度比プラスの凄み
トヨタが2021年3月期(2020年度)の決算発表を行ないました。コロナ禍、半導体不足という逆風の中、連結販売台数は前年度比で85.4%の764万6千台となり、営業利益も27兆2145億円と前年度より2兆6519億円も減っています。
かつての王者が失速!! トヨタシエンタ 前年比販売7割減の手痛い裏事情
しかし驚くべきは営業利益とその利益率です。減ったとはいえ営業利益2兆1977億円を確保。利益率は前年度比0.1ポイント増の8.1%としています。たとえば、他の自動車メーカーでいえばホンダの利益率は5%、SUBARUは中期的に利益率8%を目指していることを知れば、トヨタが逆風の中で8%超の利益率を実現したのは脅威でしょう。
利益率の高さの理由としてはスケールメリットや“エンジンを搭載したクルマを売る”手堅いビジネスモデルにこだわっていることもありそうですが、さらに“同一モデルがたくさん売れている”ことも考えられます。仮に同じ1000万台の販売があったとして、単独モデルで1000万台売れたのと、100車種がそれぞれ10万台ずつ売れたのでは、前者の利益率が高いのは容易に想像できるでしょう。
ほとんどの車種カテゴリーでトヨタ車が販売台数トップ
ここからが本題です。
トヨタは現在、日本市場の販売チャネルを統合して兄弟車の整理を進めています。自販連の販売ランキングでも、別々にカウントされていた兄弟車の数字が、統合されたモデルでは合計されるようになり、同一モデルとしての販売台数がわかりやすくなっています。2020年度の登録車・通称名別販売ランキングトップ10を見てみましょう。
1位 トヨタ・ヤリス 20万2652台
2位 トヨタ・ライズ 12万988台
3位 トヨタ カローラ 11万2777台
4位 トヨタ アルファード 10万6579台
5位 トヨタ ルーミー 10万3064台
6位 ホンダ フィット 9万4311台
7位 トヨタ ハリアー 8万6843台
8位 ホンダ フリード 7万3368台
9位 トヨタ ヴォクシー 7万1903台
10位 日産 ノート 7万1894台
10台中7台をトヨタが占めているというのも壮観ですが、どのカテゴリーでもトヨタがトップシェアモデルを輩出しているとも理解できます。
ヤリスの中に「ヤリスクロス」や「GR ヤリス」が含まれているといっても、これだけ圧倒的に売れているということはBセグメントのハッチバックとSUVの両カテゴリーにおいてトップセラーであることは明らか。
ライズはコンパクトSUV、複数モデルを擁するカローラはCセグメント、アルファードはLLサイズミニバン、ルーミーはいわゆるプチバンのカテゴリーでトップです。
また、国内ではプレミアムな付加価値商品である「ハリアー」がアーキテクチャを共有する「RAV4」よりも売れているのも利益率の高さを感じさせる部分かもしれません。
さらに言えばMサイズミニバンの「ヴォクシー」は「ノア」(4万6755台)、「エスクァイア」(1万9800台)という姉妹車を合計するまでもなく、単独でカテゴリートップとなっています。
唯一気を吐くフリード。ホンダの逆襲はあるのか?
国内ではほとんどのカテゴリーでもっとも売れているクルマをラインナップするトヨタですが、実は隙がないわけではありません。
8位にコンパクトミニバンの「ホンダ フリード」が食い込んでいますが、ライバルである「トヨタ シエンタ」は11位の6万8223台でカテゴリートップとはなれませんでした。
トヨタとしては利益率の高いアルファードが売れているので問題ないかもしれませんが、コンパクトミニバンで後塵を拝しているのは、コンパクトミニバンからのステップアップという顧客層獲得の点からはウィークポイントになるかもしれません。
もっとも現実的には国内市場におけるホンダは軽とコンパクトカーのブランドというイメージが強くなっているので、そこからのステップアップはトヨタ車が取れるともいえるかもしれませんが…。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
※写真
1枚目:トヨタ ヤリス
2枚目:トヨタ ヤリスクロス
3枚目:ホンダ フリード
4枚目:トヨタ シエンタ
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プチバンなんてカテゴリーを初めて聞きました。