国産初のスーパーカーは今の実用車並の150馬力
令和になって約半月。まさに「昭和はむかしになりにけり」といったところだが、昭和の自動車史で面白いのは、何といってもエンジンの高出力化競争。
気がつけば日本車も衝撃的なパワフルさに! 国産ハイパワー車ランキングTOP5
70年代のオイルショックや排ガス規制を挟みながら、1989年=平成元年に280馬力(自主規制)時代に到達するまで、100馬力よりは150馬力、150馬力よりは200馬力と、新車が出て、最高出力が更新されるたびに、クルマ好きは狂喜乱舞することができた。そんな昭和のハイパワー化への歴史を振り返ってみよう。
■トヨタ2000GT/150馬力(1967年)
国産車のハイパワーエンジンのひとつの基準になったのは、1967年に登場したトヨタ2000GTのエンジン=3M。ヤマハが開発・生産した2リッターDOHC、直列6気筒は、ソレックス(ミクニ)の3連キャブ付きで150馬力。最高速は220km/hと、当時の2リッターエンジンとしては断トツの高性能を誇っていた。
この3Mエンジン以降、日本の高性能エンジンは、DOHCの直列6気筒が最高! という流れができる。
■日産スカイラインGT-R(初代C10)/160馬力(1969年)
1969年には、R380のレース用エンジン、GR8をデチューンした、S20エンジンを搭載した初代スカイラインGT-Rが誕生。2リッター直6DOHCで、160馬力というスペックは圧巻。
S20はDOHCはDOHCでも4バルブ(トヨタ2000GTは2バルブ)だったので、最強といえば最強だった(反面 超高回転型エンジンでトルクは18.0kg-mしかなかった)。
■トヨタ・セリカ レビン トレノ/115馬力(1970年)
2リッターではないが、初代セリカ(TA22)に積まれた、1.6リッターの名機、2T-Gも115馬力とかなりパワフル。
1972年には855kgの車重に、その2T-Gを積んだ、初代レビン(TE27)がデビュー。パワーウエイトレシにものをいわせて、2リッタークラスをカモる俊足ぶりを発揮した。
■マツダ・サバンナGT(RX3)/125馬力(1973年)
70年代を代表するハイパワー車といえば、マツダのロータリー軍団。とくに12Aロータリーを積んだ、サバンナGTは、スカイラインGT-Rの50連勝を阻止し、その後、ツーリングカーレースで4年間無敗、通算100勝以上の大記録を打ち立てている。
それも125馬力の12Aと885kgの軽量ボディのおかげ。初代RX-7=SA22も、この12Aロータリーだった。
■日産フェアレディZ(S130)/145馬力(1978年)
70年代後半に入って、国産スポーツも少しずつ元気を取り戻す。
1978年には、L型エンジンでもっとも排気量が大きい、2.8リッターのL28エンジンを搭載したS130が登場。145馬力時代を迎える。L型エンジンは、パワーはS20に及ばないが、排気量がある分トルクが大きいというのがアドバンテージだった。
240ZのL24もトルクは21.0kg-m。S130のL28は、23.0kg-mで加速力はピカイチだった。
パワー競争に拍車をかける初の国産ターボエンジン車
■日産セドリック(430)/145馬力(1979年)
1979年に国産車で初めてのターボ、L20ETエンジンを積んだ430セドリックが出てくる。L型エンジンなので、SOHCだったが、2リッターターボで、145馬力・21.0kg-mのスペックを誇った。
■トヨタ・ソアラ(初代 Z10)/170馬力(1981年)
70年代は、パワー競争で日産に押され気味だったトヨタが、1981年に初代ソアラを投入し、国産車トップの座を奪還。
それまでDOHCは小排気量エンジンという図式になっていたのだが、ソアラの5M-GEUは、2.8リッター直列6気筒にDOHCのヘッドを組み合わせる、大排気量+DOHCという必殺技で、一気に170馬力を達成。ライバルたちを出し抜くことに成功した。
■日産スカイラインRS(R30)/150馬力、190馬力、205馬力(1981年~)
一方、日産は1981年に、ケンメリGT-R以来途絶えていた、DOHCエンジンを復活! R30スカイラインに、2リッター直列4気筒のFJ20エンジン(150馬力)を用意した。
その2年後、FJ20にターボを追加したRSターボが登場。これで190馬力に。
さらに1984年にインタークーラー付のターボ「史上最強のスカイライン」によって、200馬力の壁を突破。205馬力、25.5kg-mに!
■三菱スタリオン/200馬力(1984年)
200馬力時代に入ったところで、三菱からも200馬力モデルが出てくる。1984年に日本初の可変バルブ機構「シリウスDASH3×2」を採用したスタリオンGSR-VRで200馬力を実現。このスタリオン、じつは国産初の空冷式インタークーラーを採用したターボ車でもあった。
■日産フェアレディZ(Z31)/230馬力(1985年)
Z31は1983年に登場。新開発のV6ターボエンジン=VG30ETは、国産車の最高出力を更新。230馬力、34.0kgmのハイスペックでライバルたちを引き離した。
■トヨタ・スープラ(70)/260馬力(1988年)
トヨタは、1986年、70スープラに3リッター直列6気筒DOHCターボで、230馬力の7M-GTEを載せる。
そして1988年に全日本ツーリングカー選手権(グループA)のホモロゲーション取得用モデルとして500台限定で販売された、「ターボA」に専用のターボチャージャーを用意して、260馬力までパワーアップ。
ここまでが昭和で、翌年=平成元年=1989年登場のフェアレディZ(Z32)が、最初の280馬力モデルというのが、280馬力以前の、主な国産車のハイパワー化の歴史になる。
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