2022年1月14より開催された東京オートサロン2022に、次期型「シビックタイプR」のプロトタイプカーが出展された。いまだカムフラージュされているにもかかわらず、圧倒的なオーラを醸し出している。
現在の情報によると、ホンダは2022年夏に新型シビックタイプRを投入する方向で開発を進めているらしい。今回も限定販売になるのだろうか? そして気になる価格は? 流通ジャーナリストの遠藤徹氏が最新情報をお届けする。
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文/遠藤徹
写真/ホンダ、ベストカー編集部
[gallink]
■新型タイプRは今夏登場でFF最速を目指す
ホンダは2022年夏にも新型シビックタイプRを投入する方向で開発を進めている。商品内容はまだ正確に明らかになっていないが、首都圏ホンダカーズ店筋を回って見ると、朧気ながらアウトラインをスケッチアップすることができる。メーカー筋が販売店に流している昨年12月上旬現在の情報では「シビックタイプRを2022年夏に新機種として投入する。パワーユニットは2Lターボを搭載し、FF車の最速を目指す」としている。
ホンダはすでにドイツのニュルブルクリンクや鈴鹿サーキットで次期型「シビックタイプR」プロトタイプでの走行テストを行ったことを公開している
関連情報では現行シビックを2022年中盤にも商品強化する。新開発の2Lのe-HEV(ハイブリッド)搭載車をラインナップに加えて「スポーツe-HEV」の構築にチャレンジするとしている。
つまり、ホンダは2022年中盤から夏にかけてシビックハッチバックに2Lハイブリッドを追加、合わせて新型タイプRを投入することで、シビックシリーズ全体の走りのポテンシャルアップを図り、ラインナップ全体の強化を目指すということである。
2017年に発売したタイプR(FK8)の先代型(FK2)は750台の限定販売車で発売前に売り切れてしまったという経緯がある。もし次期型が同じような戦略で臨んだら、ホンダにとって決して望ましい状況にはならないという読みがある。
2015年10月に750台のみが限定販売された4代目のFK2型シビックタイプR。限定販売数の750台というのは、ニュルブクリンク北コースのラップタイムが7分50秒という記録にちなんだ数字
前述のようにシビックシリーズのスポーツイメージをアップさせ、シリーズ全体の販売ボリュームを拡大させたい狙いがあるなら、限定販売の特別仕様車という手法は採用しないだろうという販売関係者の声は多い。
つまり、「量販指向モデルとしてシビックシリーズ全体をリードするポジションに君臨させるのがベストといえるだろう」という方針とするのが自然である。
■新型タイプRは国内生産により供給体制がスムーズになる
前モデルはイギリス工場製を輸入していたが、次期型は国内での組み立てに切り替えるので、供給態勢がスムーズになり、ニーズにいち早く対応させやすいというプラス面もある。人気が高まれば量産が可能なので、その方針に切り替えるに違いない。
2020年10月に200台限定販売されたFK8型シビックタイプRリミテッドエディション。空力や足回りの改良により操安性が増したFK8型究極の最終形
どんな開発の手法を採用するのか。前モデルは最初にワイド&ローの外観デザインのタイプRを開発し、これをベースにハッチバックやセダンを設計開発したといわれるのに対し、次期型は逆になりそう。
現行ハッチバックはすでに開発、投入されているのだから、次期型タイプRはこのハッチバックをベースにワイドフェンダー、大型リアスポイラー、3本出しエギゾーストマニホールド、ボディ剛性の向上、足回り強化、新開発のパワーユニットの搭載、駆動系の進化で仕立てられることになる。
プラットフォームは新開発でボディ剛性向上と軽量化を両立させている。前モデルのボディサイズは全長4560×全幅1875×全高1435mmだったのが次期型では各々4580×1875×1400mmとなるのが予想される。
つまり、全長を20mm引き延ばし、全幅は同じ、全高は35mm引き下げることで、ワイド&ローのプロポーションをさらに際立たせるべく仕立てられる。
■新型タイプRの気になるスペックと価格
全体的なシルエットは前モデルのゴツゴツ感を廃止、すっきりとシンプル感を漂わせている。パワーユニットは前モデルと同じ2LDOHC VTEC直噴ターボを搭載する。前モデルで最高出力320psを発生したのをどこまで向上させてくるか注目される。
2022年1月14より開催された東京オートサロン2022に出展された次期型「シビックタイプR」プロトタイプカー。ホンダブース内でもひときわ注目を集めていた
同程度のパワーでも車重の軽量化やボディ剛性の進化とのマッチングで格段に走りのポテンシャルアップを図るという手もある。トランスミッションは6速MTが基本だが、パドルシフト6速ATの設定も予想される。タイヤはこれまで245/30ZR20だったのが265/30ZR19に拡幅される見込み。
車両本体価格は前モデルの458万3700円に対して約40万円アップの500万円程度の設定になると思われる。
2021年8月5日にフルモデルチェンジして登場した現行シビックはセダンを廃止し、ハッチバックに1本化して発売になった。1カ月後の受注台数は3000台を突破し、まずは順調なスタートを切った。
2022年夏には2Lのスポーツハイブリッドを設定し、その締めくくりとして、イメージリーダーモデルの新型タイプRがデビューするというスケジュールになっている。これによってフルラインナップ態勢を確立させ、ホンダ車ラインナップの柱のひとつになるべく成長を目指すことになりそうだ。
■ホンダ主催の「ビジネスミーティング」で語られた内容
※証言:首都圏ホンダカーズ営業担当者
昨年12月上旬、メーカーのホンダ主催による恒例の販売店向け「ビジネスミーティング」が開催された。これはホンダが毎年、来たるべき新年に向けて国内4輪車の販売、商品戦略の方針について説明するというのが狙いとなっている。
2022年においては大方針として「ミレニア世代(1980~1995年に生まれた世代)を中心に新たな顧客を増やし、70万台を安定販売する」が提示された。この新商品計画のなかに新型シビックタイプRが夏頃に投入されることが盛り込まれている。
新機種投入にあたっては「FF最速への挑戦であり、パワーユニットは2Lターボエンジンを搭載する」ことが掲げられている。春先にも詳細な商品概要が販売店に提示されるようだ。
ベストカー編集部制作の次期型「シビックタイプR」の予想CG。TAS2022のプロトタイプと見比べると、撮影角度のせいか実物のほうがオーバーフェンダーが強調されて見える
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