10年ほど前から低燃費や低排出ガスなど環境問題に対応するため、大排気量NAエンジンは、「気筒数の削減と小排気量化を過給機で補う」というコンセプトを持つダウンサイジングターボに置き換えられてきた。ここ数年、欧州では48Vマイルドハイブリッドが急増している。註:ここでは、大排気量NAエンジンを3.5リッター以上とする。
さらに、昨今の急速なEVシフトにより、2030年から2035年にかけて純エンジン車の新車販売禁止が世界的な潮流となっている。まだ純エンジン車の走行禁止までは至ってはいないが、ロンドンのように都市中心部への純エンジン車の乗り入れ規制の動きも早まるかもしれない。
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大排気量NA車はひと度乗ってみると、トルク感たっぷりで、吹け上がりも気持ちいい。アクセルを踏めば踏んだだけ、豪快に加速していき、しみったれた排気量の小さいダウンサイジングターボなんて…と思ってしまう。
そのぶん、燃費も悪いし、自動車税も高い。しかし、そんなことを忘れるほどの魅力が、大排気量NAエンジン車に溢れているのだ。まさにワイルドという言葉がピッタリ。
そこで、こんな時代にこそ、大排気量NA車を今こそ乗ろう! ということで、今乗っておきたいは大排気量NA車を挙げてみた。
文/永田恵一
写真/ベストカーweb編集部 トヨタ 日産 ホンダ マツダ
【画像ギャラリー】豪快な加速にシビれる! 大排気量のNAエンジン車をギャラリーでチェック!!
■ランドクルーザー200(レクサスLX570) 2007年~2021年3月
4.6リッターV6:318ps/46.9kgm
2021年8月上旬に発売予定の次期型が注目のランドクルーザー。新型は3.3Lディーゼルターボと3.5L V6ガソリンターボにダウンサイズすることが確実。4.6LのNAエンジンを搭載する現行型はより希少な存在となる
ランドクルーザー200の中古車情報はこちら!
200系と呼ばれるフルサイズの現行ランドクルーザーはすでに3月末で生産を終了し、次期モデルへの移行が秒読み段階(2021年8月発表といわれている)となっており、もう新車を買うことは絶望的な状況だ。
そんな状況下ながら4.6リッターV8を搭載する現行ランドクルーザーの魅力は低速トルクの太さもあり、悪路でもアクセルコントロールがしやすい点、動力性能の余裕もあり、高速道路ではランドクルーザーという車名に相応しいクルーザーのキャプテン(船長)になったような気分でクルージングを楽しめること、高級車としての資質の高さなど、数多い。
次期モデルのエンジンはそれぞれV6の3.5リッターガソリンターボと3.3リッターディーゼルターボへ移行することになっており、V8のランドクルーザーに乗りたいなら早めに自分のものにしておきたい。ただランドクルーザーは超人気車のため、盗難対策は忘れずに!
■ランドクルーザー70(再販モデル)2014年8月~2015年6月
4リッターV6:231ps/36.7kgm
2014年から約1年間の期間限定で販売されたランクル70バン。ボディサイズは全長4810×全幅1870×全高1920mmで新車価格は360万円だった
ランドクルーザー70 30周年記念車の中古車情報はこちら!
1984年に登場したランドクルーザー70は、ディーゼル燃料規制により2004年に販売が終了。
そして、2014年8月から2015年6月末という約1年間の期間限定で販売されたランドクルーザー70 30周年記念車は、「もっともスパルタンなランドクルーザー」として海外で販売されるランドクルーザー70の4ドアバンとピックアップトラックボディという非常にマニアックなモデルである。
ガソリン4リッターV6+5速MTというパワートレーンを搭載するランドクルーザー70の魅力は世界最強クラスの悪路走破性はもちろん、再販売という希少性で、月間目標台数の200台の約18倍にあたる3600台以上を受注した。
その希少性に加え、オンロードを運転している際の快適性は低く、直進安定性もよくないのも事実ながら「クルマを走らせている」という手応えに溢れており、善し悪しは別にして濃厚なクルマとの対話を味わえる点だ。
また4リッターV6エンジンも大排気量NAらしい太い低速トルクとともに、レッドゾーンこそ5500回転の低いものの、レッドゾーンまでシューンと気持ちよく回り、この点もランドクルーザー70を動かす楽しさを際立てている。
現在、70の30周年記念車のバンは今いくらなのか、中古車市場をみると30台ほどが流通しており、中古車価格は380万~520万円。新車価格は360万円(ピックアップは350万円)だったから、新車時以上の価格で売られているとは驚きだ。
■レクサスLC500&LCコンバーチブル 2017年~
5リッターV8:477ps/55.1kgm
レクサスLCコンバーチブルに搭載されるエンジンは最高出力477ps/55.1kgmを発生する5リッターV8の自然吸気。日本車とは思えぬゴージャスな仕様だ
レクサスLCの中古車情報はこちら!
LCは高級ブランドならぜひラインナップに欲しいラグジュアリークーペ&コンバーチブルで、エンジンは3.5リッターハイブリッドと5リッターV8NAを搭載する。
エンジンに魅力があるのはやはり5リッターV8NAを搭載するLC500のほうで、LC500のV8エンジンは絶対的な動力性能に加え、サウンドなどV8エンジンらしい獰猛さを強調したキャラクターとなっており、最後の大排気量NAとしてだけでなく、クルマ好きがゴールとして乗るクルマにも相応しい魅力を持つ。
またLCが醸し出す雰囲気も素晴らしく、特に2020年6月に追加されたLC500コンバーチブルは、世界のラグジュアリースポーツと肩を並べる華やかさを持っている。これほどの存在感は日本車とは思えないほどだ。
■アルファード3.5リッターV6搭載車 2015年~
3.5リッター:301ps/36.8kgm
2021年4月28日に一部改良が発表されたアルファード。写真は特別仕様車のS”タイプゴールドII”
現行アルファードの中古車情報はこちら!
高級ミニバンのアルファードは初代モデルの登場から20年近い歴史を重ねており、今ではクラウンのような高級セダンの代替としても通用する「高級車の新しい形」というポジションも確立している。
アルファードを高級車として見た際に一番ふさわしいパワートレーンが8速ATと組み合わされる3.5リッターV6だ。3.5リッターV6を搭載するアルファードはトルクフルなエンジンとスムーズに変速する8速ATにより、アクセルを深く踏んだ際の豪快な加速と、巡行中は高い静粛性に加え着座位置の高さもあり、大船に乗ったような快適性という二面性を味合わせてくれる。
アルファードは来年が有力視されているフルモデルチェンジで、3.5リッターV6は2.4リッターターボに置き換えられる見込みとなっていることもあり、中古車を含め一度経験しておく価値は十分ある。
■現行フェアレディZ 2008年~
3.7リッターV6:336ps/37.2kgm
登場から13年目を迎えたZ34型フェアレディZ。Z専用にチューンされたVQ37VHR型3.7リッターV6エンジンは336ps/37.2kgmを発生
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3.7リッターV6を搭載する現行フェアレディZは、3リッターV6ツインターボの搭載が確実視されている次期モデルが公開されていることもあり、新車が買える時間は残り少ない。
現行フェアレディZは登場から13年目となっていることもあり、大味なフィーリングの3.7リッターV6だけでなく、ハンドリングなど全体的にクラシカルという印象なのは否めない。
しかし、現代のスポーツモデルがスーパーカーを含め、正しいことながら洗練されたものばかり。現行フェアレディZのクラシカルさはほかのモデルにはない、魅力を持っている。古典的で、懐かしさを感じるのだ。
■VWパサートW8 4モーション 2001~2011年
4リッターW8:275ps/37.7kgm
フォルクスワーゲン4代目パサートに用意されたスペシャルグレードがパサートW8 4モーション
VWパサートW8の中古車情報はこちら!
VWはVR6と呼ぶバンク角が小さい狭角のV6やV型エンジンを横に2つつなげたW8やW12というマニアックな大排気量エンジンも造っており、4代目パサートには4リッターW8を搭載したモデルがあった。
W8エンジンはV8エンジンの豪快と、6気筒エンジンやV12エンジンの繊細さをミックスしたようなフィーリングで、このフィーリングを8気筒で実現している点に面白さが感じられた。
加えて「地味なパサートにW8エンジンが載っている」という意外性も魅力といえるかもしれない。
現在、パートW8の中古車は4台ほどで、そのうち2台がワゴン。中古車価格は38万円、59万円、そのほかはAsk(応相談)だった。
パサートW8 4モーションに搭載される4リッターW8エンジンは挟角15度のV8を2つつなげたもの。最高出力は275ps/37.7kgm
■VWトゥアレグW12 2005年
6リッターW12:450ps/61.2kgm
2005年に世界限定500台、日本限定100台で発売されたトゥアレグW12。新車当時の価格は1047万9000円
VWトゥアレグW12の中古車情報はこちら!
さらにW12を積んだトゥアレグも2005年に日本に導入されていた。V6エンジンを並列にした構造の6L、W12エンジンで450ps/61.2kgmというモンスターエンジン。ウルトラスムーズな吹け上がりで気持ちのいいエンジンだった。
中古車市場では高騰しているかと思いきや現在150万円前後~300万円で売られているから、エンジンマニアなら検討してみる価値があるだろう。
なにせ新車当時1047万9000円(世界限定500台のうち日本限定100台、W12スポーツ)がこんなに安くなっているのだから
トゥアレグW12に搭載される6リッターW12エンジン。最高出力450ps/61.2kg・mというモンスターエンジンだ
■BMW M3(4代目のE90系) 2007~2013年
4リッターV8:420ps/40.8kgm
M3はモデルチェンジのたびにエンジンをサイズアップして進化を重ねてきた。写真のE90型は420ps/40.8kgmを発生する4リッターV8エンジンを搭載
E90型BMW M3の中古車情報はこちら!
M3は搭載されるエンジンを何度か変えながらも、世界トップクラスのミドルスポーツクーペという点は変わらないモデルである。
1985年に登場した初代のE30型M3は、2.3リッター直4NAでスタート。当初195psだったが、M3エボリューション(210ps)、M3エボリューションII(220ps)、さらにスポーツエボリューションは2.5リッターに拡大(238ps)。
続いて1993年に登場したE36型2代目M3は3L、直6(286ps)だったが、1995年にマイナーチェンジされ、3.2Lへ拡大(321ps)。
2000年には6連スロットルを備え、343psを発生する3.2L、直6を搭載する3代目E46型M3が登場。続いて、今回紹介している4代目E92型M3クーペ(420ps/40.8kgm)である。ちなみに5代目モデル(431ps)と現行6代目モデル(510ps)は直6ツインターボを搭載している。
4代目M3は3代目M3に対しクルマ自体こそ重くなったものの、エンジン重量は3代目モデルまでの直6より軽いなど、運動性能に大きな不利なく、ショートストロークということもあり、8400回転回るV8エンジンを完成度の高いハンドリングとともに楽しめる点が大きな魅力だ。
また4代目M3はクーペながらリアドアがない以外キャビンやラゲッジスペースは3シリーズのセダンとそう変わらず、実用性が高い点も有難い。
中古車の流通台数は39台で、概ね300万円前後から500万円前後で販売されている。7速DCTのほか、希少な6速MTもそこそこ流通しているので今が狙い目かもしれない。
■BMW M5(4代目のE60型) 2004~2010年
5リッターV8:507ps/53.0kgm
E60型M5の心臓部には507ps/53.0kgmを発生する5リッターV10のNAエンジンを搭載。まさに世界屈指のスーパースポーツセダンだ
E60型BMW M5の中古車情報はこちら!
5シリーズをベースとしたM5も歴代世界トップクラスのスーパースポーツセダンである。M5のエンジンは初代モデル(3.5リッター)と2代目モデル(3.6&3.8リッター)が直6NA、3代目モデルが5リッターV8NA、5代目モデルと6代目モデルが4.4リッターV8ツインターボだが、4代目モデルは当時BMWが参戦していたF1で得たノウハウも盛り込んだ5リッターV10NAを搭載していた。
4代目M5の魅力は507ps/53.0kgmを発生する、V8NAの豪快さとV12の繊細さを併せ持つV10エンジンはもちろん、そのパワーをFRながらシッカリと吸収し、安心して楽しめる非常に高いシャーシ性能のバランスで、究極のスーパースポーツセダンの1台として経験しておく価値は大きい。
現在中古市場では15台ほど流通しており、なんと200万円~300万円で購入できるのが驚きだ。
■まとめ
さて、みなさん、大排気量NAエンジン搭載車、いかがだっただろうか? このほかにもフェラーリやランボルギーニのV12などスーパースポーツもあるが省略させていただいた。
大排気量NAエンジン搭載車は、スポーツモデルを中心とした人気車だと中古車も高いが、セダンなどでは極悪燃費や自動車税の高さで敬遠されることもあり、中古車が意外に安いことも多い。
それだけに、もし乗ってみたい大排気量NAエンジン搭載車があるなら、本当に乗れなくなる前に一度自分のものにすることを勧めたい。ただし、自動車税の高さと燃費の悪さをあまり気にしないという人向けだが……。
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みんなのコメント
ランクル70は新車価格以上だし、LC500なんか中古車でも800万~だけど
結局更にマニアックな旧車にしちゃったけど乗りたかったなあ、大排気量NA