Lクラスミニバンであっても1泊が無難
ミニバンは多人数が乗車できる移動手段として魅力的だが、乗員だけならともかく、フル乗車したときに全員分の、例えば機内持ち込みサイズのキャリーバッグや、数泊の滞在のための大荷物(特に衣類がかさばる冬のドライブ旅行)を簡単に積み込めると思ったら大間違い。
後席以降のスペースがキモ! 広々使える、車中泊に最適なミニバン4選
そもそもミニバンは荷物ではなく、人を快適に移動させるための乗り物。つまり居住空間優先のパッケージなのである。
フル乗車時のラゲッジスペースの奥行き(幅や高さよりも荷物の積み込みやすさに直結)を知れば、愕然とするかもしれない。国産最大サイズのトヨタ・アルファード&ヴェルファイアで約190~250mm(3列目席スライド位置による)、三菱デリカD:5が約160~490mm(3列目席スライド位置による)、日産エルグランドでも約340mmでしかないのである。床下収納を完備していても、とてもフル乗車ぶんのキャリーケース、宿泊を伴うドライブ旅行用の荷物は積めない。
3列目席を前端までスライドすればそこそこの奥行きにはなるものの、それでは3列目席の乗員が大人だと足元がつらい。子供またはペット専用席と考えたほうがいい。
そんなLクラスとMクラスの中間に位置するホンダ・オデッセイとトヨタ・エスティマは、フル乗車時でもラゲッジスペースの容量はけっこう優秀。どちらも奥行きはフル乗車時でも約550mmと国産ミニバン最大で、ラゲッジスペースは3列目席を床下格納するためにドーンと深い形状で、工夫次第でけっこうな荷物が積み込めるのだ。
Mクラスボックス型ミニバンはどうか。実は、むしろ居住空間とラゲッジスペースの両立を果たしているクルマが多い。例えばホンダ・ステップワゴンの奥行きは500mmと十分。トヨタ・ヴォクシー&ノアは400mm、日産セレナは360~480mm(3列目席スライド位置による)だ。
ちなみにコンパクトミニバンのトヨタ・シエンタとホンダ・フリードは300mm前後。フル乗車で全員の荷物が積めないのは当然として、フル乗車&荷物満載では動力性能的にもつらくなるので、このクラスではフル乗車で宿泊を伴うドライブ旅行はあきらめたほうが正解である。
ただし、フル乗車時のラゲッジスペースの奥行きが最小限で、荷物を積みにくくても、裏技がある。例えば、3列目席下のデッドスペース、2列目キャプテンシートの場合は、2座の間のスルースペースにも荷物を置けば、収納力をかせぐことができる。
とはいえ、みんながみんな、大荷物を持ち寄れば、大変だ。そこで提案。フル乗車で宿泊を伴うドライブ旅行に出掛けるなら、各自、最小限の荷物にして、なおかつハードケースではなく、ボストンバッグのような、積み重ねしやすく、押し込みやすいバッグにすること。そして夫婦ならひとつのバッグに荷物をまとめるのも手だ。
過去、多くのミニバンで宿泊を伴うドライブ旅行に出掛けた経験があり、ホンダの2代目オデッセイの所有経験もあるボクからすれば、Lクラスミニバンであっても、フル乗車が前提なら、宿泊を伴うドライブ旅行は春~秋の1泊までが無難。長期の周遊ドライブ旅行には向かないという事実を経験している。
もっと言えば、普段は3列シートを使い、フル乗車しても、宿泊を伴うドライブ&キャンプ旅行では1・2列のみの乗車で3列目席は格納してラゲッジスペースとして使う、あるいは3列目席を片側格納してフル乗車-1名として、ラゲッジスペースを少しでも拡大して使うのが正解。実のところ、それがミニバンの乗員と荷物の無理のないフォーメーション、快適な移動の条件となるのである。
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