現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > スバル・フォレスターAdvance(2.0ℓe-BOXER):e-BOXERは、応答遅れ解消ツール……だけじゃない

ここから本文です

スバル・フォレスターAdvance(2.0ℓe-BOXER):e-BOXERは、応答遅れ解消ツール……だけじゃない

掲載 更新
スバル・フォレスターAdvance(2.0ℓe-BOXER):e-BOXERは、応答遅れ解消ツール……だけじゃない

SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用した新型フォレスターは、2.5ℓBOXERと2.0ℓ+e-BOXER(マイルドハイブリッド)のふたつのパワートレーンを設定する。箱根で行なわれた試乗会で、ジャーナリスト世良耕太が2.5ℓモデルと2.0ℓ+e-BOXERモデルを試した。2.0ℓe-BOXERの走りはどうか?TEXT◎世良耕太(SERA Kota)

 フォレスターのエンジンのラインアップは2.0ℓと2.5ℓの2種類だ。2.0ℓは最高出力10kWのモーターと組み合わせたe-BOXERで、2.5ℓはシンプルにエンジンだけの力で走る。ハイブリッドシステムを搭載しているのでe-BOXERのほうが上というわけでもないし、排気量が大きいから2.5ℓエンジン搭載車のほうが上という位置づけでもない。「味の違い」だと開発者は説明する。

「自社開発にこだわったのは、クルマを知り尽くしているから」 メルセデス・ベンツの新型Aクラスで注目のMBUXを徹底解剖!!【後編】

「もともと2.0ℓは、2.0ℓのエンジンをどう使おうかという考えから開発を始めました。どう味つけをするかです。モーターありきではありませんでした」

 そう説明してくれたのは、開発責任者を務める布目智之氏だ。2.0ℓエンジンの味つけを考えているときに、モーターを載せるプランが浮かんできた。

「モーターだから即燃費と結びつける前に、モーターの有効性ってなんだろうと冷静に考えました。すると、モーターはオンにしたときにすぐ動く。そこを使えば、我々がいま悩んでいるところ、つまり反応遅れに使えるのではないかと。燃費は大事なのですが、スバルらしく楽しくモーターを使う方法を考えてみようという思いから、e-BOXERの開発はスタートしています」


FB20型水平対向4気筒DOHC
排気量:1995cc
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:145ps(107kW)6000rpm
最大トルク:188Nm/4000rpm
燃料タンク容量:48ℓ
モーター:10kW/65Nm


 内燃機関を動力として使用する限り、応答遅れの呪縛から逃れることはできない。ドライバーが「もっと力が欲しい」と思ってアクセルペダルをそれまでより深く踏み込むと、車載ECUは「あ、ドライバーはもっと力が欲しいと思っているな」と判断する。ここまでは電気信号のやりとりなので速い。

 もっと力を出そうと判断したECUは、燃料をたくさん噴いて燃やそうと考え指令を出す。指令に従ってスロットルバルブの開度が大きくなり、多く噴く燃料に見合った量の空気をシリンダーに導く。燃料を噴き、よく混ざったところで点火。発生した圧力を回転運動に置き換え、タイヤから路面に力が伝わってドライバーは初めて「力が出た」と感じる。

 内燃機関が力を出すには多くの行程を経る必要があるが、モーターなら電気信号をやりとりすれば済む。だから、反応が速い。その反応の速さを利用して内燃機関の性質上どうしても避けることのできない(トランスミッションの応答遅れもある)反応の鈍さを解消しようというのが、e-BOXERにおけるモーターの使い方だ。


「レスポンスの面でモーターを使えば、メリハリのあるおもしろい2.0ℓになるんじゃないかという考えです」

 レスポンスを考え、それまでスバルのハイブリッドで使っていたニッケル水素バッテリーではなく、e-BOXERではリチウムイオンバッテリーを採用した。容量は0.6kWh、電圧は118Vである。

「(エネルギーを出し入れする性能の指標である)出力密度の部分で、リチウムイオンバッテリーを選択しました」と語るのは、e-BOXERの開発に携わる稲葉之人氏だ。「コストは高いのですが、(エネルギー密度も高いので)小さくできるし、温度に依存するバッテリーの劣化具合の点でもリチウムのほうが優れています」

 e-BOXERのレスポンスの良さを存分に味わえるのは、箱根の急峻な山道を駆け上がるような状況よりもむしろ、市街地を周囲の流れに乗って走るような状況だ。なにしろ、アクセルペダルを踏み込んだときの反応がいい。このときのモーターの役割を表現すれば「パワーアシスト」になるのだが、エンジンのパワーにモーターのパワーを上乗せするパワーアシストではなく、応答遅れを解消するためのパワーアシストである。e-BOXERは、主に応答遅れ解消ツールとしてモーターを使っている。


 それだけかというと、そんなことはない。箱根を走った今回の試乗では、観光客で混雑する箱根神社周辺を通過した。ほんの数百メートルだが、低速で短い距離を走っては停止、を繰り返した。そんな状況でe-BOXERは、バッテリーに蓄えた電気エネルギーを利用し、モーターのみの動力で走行する。ハイブリッド車であることを実感する瞬間だ。

 モーターの良さはまだある。スバルの持ち味、フォレスターのウリといえば、悪路走破性の高さだ。今回の試乗では効果を確かめられるシーンに遭遇しなかったが(ま、道路しか走っていないので)、e-BOXERはモーターのコントロール性の高さを悪路走破性にも生かしている。例えば、ぬかるんだ路面で段差を乗り越えるようなとき。エンジン車のようにエンジンをブウンと吹かさなくても、応答性の高いモーターの力でスムーズに、かつ安定した姿勢で段差を乗り越えるという。


 減速時はモーターで発電する際の抵抗力を利用した回生ブレーキが作動するが、一般的に、回生効率を重視するとフィーリングにネガティブな面が現れがちになる(停止する寸前に急激に減速Gが立ち上がり、違和感が残る)。フォレスターの開発陣はそれを嫌い、効率よりもフィーリングを重視したという。その言葉どおりの仕立てになっていることは、2.5ℓエンジン搭載車との比較試乗で確認した。

「モーターを使い切ることができました」と稲葉氏は胸を張った。テールゲートを開けた途端(自動開閉のスピードは前型より速くなっている)目に飛び込んでくる広々としたラゲッジスペースは、バッテリーを積んだからといって少しも犠牲になっていない。

 乱暴に「味」を分類すれば、ゆとりの2.5ℓに対し、モーターならではのレスポンスの良さを生かしたe-BOXERという印象である。


スバル・フォレスター Advance
■ボディ寸法
全長×全幅×全高:4625×1815×1715mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1640kg
サスペンション:Fストラット/Rダブルウィッシュボーン
駆動方式:フルタイム4WD
■エンジン
形式:水平対向4気筒DOHC
型式:FB20型
排気量:1995cc
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:12.5
最高出力:145ps(107kW)6000rpm
最大トルク:188Nm/4000rpm
燃料タンク容量:48ℓ
モーター:10kW/65Nm
■トランスミッション
CVT(マニュアルモード付)
■燃費
WLTCモード燃費:14.0km/ℓ
 WLTC市街地モード:11.2km/ℓ
 WLTC郊外モード:14.2km/ℓ
 WLTC高速道路モード:16.0km/ℓ

こんな記事も読まれています

V8自然吸気エンジンが絶滅危機に:最後の機会を逃すな!
V8自然吸気エンジンが絶滅危機に:最後の機会を逃すな!
レスポンス
【インディアン】FTR・SCOUT シリーズを対象とした「Welcome to Indian Motorcycle スペシャルカスタムキャンペーン」を開催中!
【インディアン】FTR・SCOUT シリーズを対象とした「Welcome to Indian Motorcycle スペシャルカスタムキャンペーン」を開催中!
バイクブロス
【COSWHEEL】新型電動バイク「MIRAI1000/500」が5/9より Makuake にて先行販売スタート!
【COSWHEEL】新型電動バイク「MIRAI1000/500」が5/9より Makuake にて先行販売スタート!
バイクブロス
ハセガワ、注目のニューキット「S110シルビア」のテストショットを公開!【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
ハセガワ、注目のニューキット「S110シルビア」のテストショットを公開!【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
LE VOLANT CARSMEET WEB
えっ…! 軽自動車に「軽油」入れちゃった!? つい「うっかり間違い」では済まされない「燃料の油種」とは
えっ…! 軽自動車に「軽油」入れちゃった!? つい「うっかり間違い」では済まされない「燃料の油種」とは
くるまのニュース
ポタ電といえばこれ! 世界累計50万台以上販売した「Jackery ポータブル電源 240」が大幅パワーアップしてリニューアル【車に積みたいアウトドアアイテム】
ポタ電といえばこれ! 世界累計50万台以上販売した「Jackery ポータブル電源 240」が大幅パワーアップしてリニューアル【車に積みたいアウトドアアイテム】
月刊自家用車WEB
自動車事故で女性のほうが「むち打ち症」になりやすいのは「ダミー人形が男性」だから! ボルボの安全に対する取り組みが想像の遙か上だった
自動車事故で女性のほうが「むち打ち症」になりやすいのは「ダミー人形が男性」だから! ボルボの安全に対する取り組みが想像の遙か上だった
WEB CARTOP
BMWがEVオーナー向けに「BMW Destination Charging プロジェクト」を開始、第1弾として麻布台ヒルズに充電器を設置
BMWがEVオーナー向けに「BMW Destination Charging プロジェクト」を開始、第1弾として麻布台ヒルズに充電器を設置
@DIME
段付きGTAから身をよじって走りそうなZまで!タミヤのカーモデル再販&バリエーション【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
段付きGTAから身をよじって走りそうなZまで!タミヤのカーモデル再販&バリエーション【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
LE VOLANT CARSMEET WEB
全長3.7mの「小さな最高級車」あった!? コンパクトなのに“匠仕上げ”の「超豪華内装」採用! 570万円超えの「贅沢すぎコンパクトモデル」がスゴい
全長3.7mの「小さな最高級車」あった!? コンパクトなのに“匠仕上げ”の「超豪華内装」採用! 570万円超えの「贅沢すぎコンパクトモデル」がスゴい
くるまのニュース
電動バイクの未来を変える!?実用化待望の「全固体電池」とは
電動バイクの未来を変える!?実用化待望の「全固体電池」とは
バイクのニュース
御嶽山でオフロード走行&キャンプを楽しむ「EXPLORER CAMP MEETING」の参加申し込み受付がスタート!
御嶽山でオフロード走行&キャンプを楽しむ「EXPLORER CAMP MEETING」の参加申し込み受付がスタート!
バイクブロス
インプレッサはBMW MINI アウディに勝てない? 日本の「小さなプレミアムカー」はなぜ成功しないのか?
インプレッサはBMW MINI アウディに勝てない? 日本の「小さなプレミアムカー」はなぜ成功しないのか?
ベストカーWeb
メルセデスベンツ『CLE カブリオレ』に「AMG 53」、電動ターボで449馬力
メルセデスベンツ『CLE カブリオレ』に「AMG 53」、電動ターボで449馬力
レスポンス
ホンダの斬新「軽ピックアップ」が超カッコいい! 流行りの「アウトドア」にも最適! 万能すぎる「軽トラ」は日本にピッタリな商用車!
ホンダの斬新「軽ピックアップ」が超カッコいい! 流行りの「アウトドア」にも最適! 万能すぎる「軽トラ」は日本にピッタリな商用車!
くるまのニュース
空力マシマシのMotoGPマシンは「決して戻らないし戻してほしくない」ベテランからは批判も若手ジャンアントニオはお気に入り
空力マシマシのMotoGPマシンは「決して戻らないし戻してほしくない」ベテランからは批判も若手ジャンアントニオはお気に入り
motorsport.com 日本版
最近流行のクルマの「サブスク」! ぶっちゃけ「何がよくて」「ネガな点はどこ」なのかまとめてみた
最近流行のクルマの「サブスク」! ぶっちゃけ「何がよくて」「ネガな点はどこ」なのかまとめてみた
WEB CARTOP
マイアミGP、アメリカ史上最多のF1中継視聴者数を記録。サーキットにも27万人が詰めかける
マイアミGP、アメリカ史上最多のF1中継視聴者数を記録。サーキットにも27万人が詰めかける
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346.5390.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.8444.1万円

中古車を検索
フォレスターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346.5390.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.8444.1万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村