セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が8回目のタイトル獲得に向けて貴重な勝利を手にした。オジエは開幕戦モンテカルロ、第3戦クロアチアで優勝。前戦の第4戦ポルトガルでは、ドライバー選手権首位として不利な初日1番手スタートを担い、苦しいラリーを戦った。
それでも総合3位に入り、選手権首位を維持。そのため、今回の第5戦ラリー・イタリア・サルディニアでも初日1番手スタートに。イタリアのグラベル路面は砂が非常に多く、ポルトガル以上に出走順が不利に働くと予想された。つまり、『クリーニングエフェクト』がとても大きいということだ。
勝田貴元、2戦連続で自己最高位の4位「危ない瞬間もあったが、自分の戦いには満足」/WRCイタリア
しかし初日、オジエは総合3番手につけるなど好調で、クルマのセッティングにも満足していた。ポルトガルでは、全WRカーがピレリのグラベル用タイヤを初めて装着。セッティングの合わせ込みに大きな差が出ていた。うまく合わせ込めていたのはヒュンダイ。タイヤの特性を正しく理解し、ヒュンダイi20クーペWRCを理想に近い弱アンダーステアに仕上げていた。
一方、トヨタ・ヤリスWRCは総じてアンダーステアが強く、タイヤの摩耗も厳しかった。それが、出走順が1番手だったとはいえ、オジエが想像以上に初日に苦しんだ理由である。
続くサルディニアでも同じような状況となることが予想されたため、チームは急きょスペインで予定していた、サファリ・ラリー向けのテストの一部を、サルディニアを想定したテストに切り替え、セットアップを進めた。その結果、アンダーをかなり抑えることができたというが、チームのエンジニアによれば、「スプリングとスタビライザーのバランスを見直した程度」だという。
その程度の調整で大きくハンドリングが改善するほど、セッティングがシビアなのだ。かくしてトヨタは全車がいい方向へと進み、カッレ・ロバンペラは初日の午前中、圧倒的な速さを示したヒュンダイのオット・タナクに匹敵するタイムを並べた。残念ながら、その後サスペンショントラブルでデイリタイアとなったが、トップを戦えるだけの速さはあった。
前戦優勝のエルフィン・エバンスはトヨタ勢で唯一初日に苦しんだが、それはテストで導き出したセットアップにさらなる改善を加えようと施した微調整が裏目に出たため。セットアップを戻して臨んだ2日目は本来の速さを取り戻し、3日間で計4本のベストタイムをマーク。それが総合2位フィニッシュの礎となった。
純粋に数字だけを比較すると、初日首位のタナクとオジエのタイム差は、前戦ポルトガルよりもむしろ広がっている。1kmあたりのタイム差はポルトガルでは約0.2秒だったのに対し、サルディニアでは0.3秒と若干ではあるが開いた。
オジエはクルマに満足しており、車高以外は3日間ほとんどセットアップを変えなかったという。それにもかかわらずタナクのほうが速かった理由は、出走順が有利で、サルディニアはクリーニングエフェクトがより大きかったため。同条件で走っていれば、オジエが互角のタイムを刻んでいた可能性は高い。
2日目、出走順の不利から開放されたオジエはベストタイムを何度も記録し、ヒュンダイのダニ・ソルドを抜いて総合2番手に浮上。それでも首位タナクとは約41秒差と優勝は難しい状況だったが、タナクがSS12で前輪を岩に当てて足まわりにダメージを負い、デイリタイアに。その結果、オジエが首位に立った。
その後、ソルドのクラッシュによってオジエの勝利を脅かす者はいなくなり、僚友エバンスを従え、トヨタにとって今季3回目のワン・ツー・フィニッシュを達成。ドライバー選手権では2位エバンスに対するリードを11ポイントに拡大した。
タナクのリタイアがあったにせよ、選手権首位で臨んだサルディニアでの優勝は望外といえ、チャンピオンシップ争いにとっては大きな加点である。ラリー直前のセットアップ最適化と、それを活かし切ったオジエのドライビング、そしてヒュンダイ勢のバッドラックが重なっての勝利だった。
前戦でキャリアベストの総合4位に入賞した勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、今回も総合4位でフィニッシュ。過去、相性があまり良くないサルディニアでは苦戦が予想されていたが、勝田は安定性とスピードのバランスをうまくとり、サバイバルラリーを走り抜いた。
土曜午後と日曜はコドライバーが熱中症気味だったため、体調を気遣ってペースを大幅に落としたが、きちんと最後までクルマを導いた。これで開幕から5戦連続のポイント獲得。ドライバー選手権では4位タナックと1ポイント差の5位につける。勝田はまた一歩、『ワークスドライバー』に近づいたといえるだろう。
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