時代を先取りしすぎた超希少車のRV
独特なボディ形状で有名な「バモスホンダ」ですが、名前はよく知っているという人が多い割に、じつは短命に終わった超希少車だったのです。時代を先取りしすぎた数々の名車・迷車を世に送り出してきたホンダのなかでも、その極北のRVといえるバモスホンダに乗るオーナーを紹介します。
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たった4年間の短命に終わった生産台数約2500台の超希少車
大阪の築港赤レンガ倉庫脇にある広場で開催された「360だョ!全員集合 in OSAKA」会場で発見したのは、今やイベントでもあまり見かけなくなった「バモスホンダ」だ。
「TN360」のコンポーネンツを流用し、レジャー向けのオープンボディを架装して1970年にデビューを飾ったバモスホンダは、平たい板状のフロントフェイスに飛び出したヘッドライトとスペアタイヤが備わる特徴的な形状が特徴。エンジンはTN360と同じ空冷4ストローク直列2気筒をリアミッドシップに搭載し、後輪を駆動する。
ちなみに乗車定員2名でフロントシートのみに幌が備わる「バモス2」と、リアシートを持ち、4名乗車の「バモス4」、そして車体後部の荷台まで全て幌が備わる4名乗車の「バモスフルホロ」の3バリエーションが販売された。
ところが時代を先取りしすぎてしまったためかどうかは判らないが、保安基準の強化で生産が終了する1973年までの4年間でたった2500台ほどを生産したのみとなってしまう。これが現在激レアモデルとなってしまっている理由だ。
オプションのサイドカーテン装着で雨の日でも使える遊びの相棒に
今回紹介するのは小林さんが10年以上所有しているという1973年式のバモスフルホロだ。当時4色用意されたボディカラーのうち、まるで軍用車のようなキャラバングリーンというボディカラーをまとった1台だ。
ちなみに車体にはドアはなく、腰の位置より上に落下防止のバーが備わるのみ。ただこの個体は、側面に当時のオプションであったサイドカーテンを備えており、室内は完全に幌で覆われている。
小林さんはもともとホンダ「ステップバン」に乗っていて、新たな車両もステップバンを探していたそうだが、たまたまこのバモスホンダを発見し、譲り受けることとなった。ちなみにステップバンが壊れたのをきっかけにホンダにメカニックとして就職してしまっただけでなく、この他に「ライフピックアップ」も所有しており、公私ともにホンダまみれの生活を送っているそうだ。
縮んだ幌はアイデアで補修し工夫と技術で旧車を愉しむ
入手しておおよそ10年、オドメーターの値も徐々に増加しているが、エンジンは好調だという。じつはTN360をベースとしているため、「N360」や「Z」と同じ空冷4ストローク2気筒ながら、シリンダーがほぼ水平にまで寝かされて床の下に搭載されるバモスのエンジンは、簡単にN360からエンジンを移植することもできないため、現状のエンジンのメンテナンスには気を使っているそうだ。
長年の使用で幌はかなり縮んでいるそうで、サイドカーテンのファスナーは引っ張られて壊れている部分があり、しっかりと閉まらなくなっている。そのため小林さんのアイデアで、その裏側に新たにファスナーを縫い付け、幌をしっかりと閉められるよう加工。時おり雨が降る寒いイベント当日も、快適ドライブで会場まで来ることができたそうだ。
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