2024年2月6日、トヨタは2024年3月期第3四半期決算を発表した。2023年4月から12月、9カ月間の営業利益は驚異の4兆2402億円。その強さの原動力は何か? 発表されたさまざまな数字をもとに紐解いていく。
※本稿は2024年2月のものです
文/池田直渡、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
確かに最近のトヨタ車めっちゃいいもんな!! 「もっといいクルマづくり」へ転換で着実に成長!! 数字から紐解くトヨタの本当の実力
■徹底した原価低減力
2024年3月期第3四半期の連結業績(2023年4月1日~2023年12月31日)※うち、日本3,227(前年同期比+1,115)、中国2,209(同△20)、その他524(同+119)
トヨタの強さにはひとつ飛び抜けた特徴がある。徹底した原価低減の力だ。
原価低減の話をすると「下請けいじめ」というツッコミが入るが、トヨタの原価低減目標は毎年3000億円にも及ぶ。常識的に考えて、毎年毎年単純に値下げ要求をしていたらサプライヤーは倒産してしまう。
3万点の部品を組み立ててできるクルマであり、そのサプライチェーンの頂点にいるメーカーにとって、サプライヤーは貴重な自軍の戦力だ。使い捨てにしていては戦いに勝てない。
ではどう実現しているのかといえば、トヨタのエンジニアがサプライヤーに出向いて、一緒にコストダウンのやり方を考えるのだ。ほとんどものづくりコンサルタントである。そうやって原価を下げ、その原価低減をサプライヤーとシェアすることでコストを下げる。
■もっといいクルマへの切替
2023年1月登場のトヨタ プリウス。よいクルマにはそれなりの価格設定ができ、ユーザーも納得の上購入する
もうひとつ重要なポイントがある。それは「もっといいクルマ」だ。トヨタは2001年から2008年にかけて毎年50万台の成長を記録した。売れて売れてクルマが足りない。だから製造が楽なクルマが求められ、設計者間でスポット溶接点を減らす競争まで行われた。
コストダウンも工数低減も大事だが、メーカーである以上、製品がよくなければ話にならない。そういう顧客への裏切りは、リーマンショックでトヨタを奈落へ落とす。前年の2兆円の黒字から4600億円の赤字という地獄を見た。
それまで暗黙の了解であった「製品のよさへのこだわり」を忘れた代償だ。赤字問題で交代し、新社長に就任したのが豊田章男氏である。この問題を重視した豊田社長は「もっといいクルマ」を打ち出し、そのためにTNGAによる企業強靭化計画をスタートさせた。
今回の決算を見ればわかるように、もっといいクルマへの切り替えは、トヨタの利益を大きく伸ばした。よいクルマだからこそユーザーは高くとも買う。TNGA改革以来、毎年のようにその成果を上げてきたトヨタだが、2023年はその集大成となった年である。
■営業面の努力の大きさ
連結営業利益増減要因(前期差)
「連結営業利益増減要因」を見ると、左端の柱の2022年度実績、2兆7250億円に対し、2023年度見込みは4兆9000億円と躍進していることが見て取れる。
この好決算の理由を「円安の恩恵」と分析する経済誌も目にしたが、むしろそれは昨年までの話。昨年実績の1兆2800億円に対し今年の差益は5400億円まで縮小している。
先に触れた「原価低減」の今年度見込みは3600億円のプラスだが「資材高騰」で2600億円のマイナス。差し引きのプラスは1000億円となった。
「営業面の努力」が今回の決算の最大のポイントで、トータルでは1兆9350億円を叩き出している。うち「台数・構成」が9450億円。
「台数」については昨年実績に対して98%見込みの945万台なので、プラスは「構成」によるものだとわかる。つまりマーケットはトヨタのもっといいクルマに1億5900億円を支払うとも言える。
一方「諸経費の増減・低減努力」は4450億円のマイナスとなった。「労務費」つまり給料を増やした分マイナス1650億円。設備投資の「減価償却」で700億円のマイナス。電動化などを中心とする「研究開発費」の増加分で200億円のマイナスだ。
政府の方針もあるが、人件費の値上げは今の我が国にとって重要なこと。そして自動車メーカーの未来投資である研究開発費もまた極めて重要だ。そう考えると正しい投資であり、ここはマイナスであることを評価すべきだ。
つまり決算から見えるトヨタは、サプライヤーと共同でコストを改善し、よいクルマを作って、ユーザーに喜んで高いモデルを買ってもらい、社員の給与を増やして、未来のための研究にも費用を投じていると分析できる。
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