夢の日産240SXを手に入れた高校時代
物心がついた頃から、自分の人生はクルマとともにあった。普通の赤ちゃんならママ、パパといった言葉を最初に口にするのかもしれないが、筆者の場合は「マスタング・ファストバック」だったかもしれない。
【画像】ボルボ144Sで1万6000kmのクルマ旅 同時代のP1800 後継の240と現行のS60も 全91枚
思い出もクルマと一緒。幼い頃は、1984年式のフォルクスワーゲン・ウエストファリアで自動車イベントに出かけるのが常だった。ガソリンの匂いも忘れることができない。
高校生の頃には、映画「ワイルド・スピード」の影響で日本車ファンになった。時給8ドルのアルバイトでお金を貯めて、夢の日産240SX(180SXの北米仕様)を手に入れた。
ところが、購入したその日にエンジンのガスケットが吹き飛び、クルマは走らなくなった。シャシーが錆びて穴だらけで、ブレーキも駄目だとわかったのは後日。メカニズムに対する知識は、まだ殆どなかった。
240SXでの体験は、火に油を注いだ。次に購入したのは1984年式のボルボ240。ピックアップトラックに改造されていたけれど。
サスペンションは恐ろしく硬く、公道走行にはまったく不向きだった。エンジンは燃料インジェクションのB21型。調子が良い日は100馬力を発揮していた。
修理中のことが多かったものの、走れる日は友人とドライブし、必要ではない改造を加えて楽しんだ。高校生にとって完璧なクルマだった。うるさくて低くて、いい感じに錆びていた。ボルボが大好きだったことは間違いない。
大学時代に購入したボルボ144S
大学生への進学が決まると、実用的なクルマへ乗り換えた。やって来たのは2004年式ホンダ・シビックのオートマティック。すぐに間違いだったと後悔したのだが。
大学生の2年目には、再びクラシックカーへ手を伸ばした。中古車売買のサイトに載っていたダークブルーの1969年式ボルボ144Sに目をつけ、携帯電話で売り手に連絡をとった。ボルボを探していたわけではなかったものの、予算に収まるクルマだった。
試乗させてもらうと悲惨な状態だった。プロペラシャフトはガタついていてフロアに穴を開けそうな勢いだったし、暖機運転が終わるとアイドリング時にエンストを連発。その時は購入には至らなかった。
目ぼしいクルマが見つからないまま1か月後、売り手から電話があり、75%も値引くという。早速その翌日、クルマを引き取りに向かった。
カナダ東部にあるニュー・ブランズウィック州モンクトンという街から自宅までは、約2時間のドライブ。同行した父は、エンストしたボルボを3度も押し掛けするはめに。とはいえ、無事に帰宅はできた。
数週間は町中を運転できたものの、あえなくトランスミッションが故障。2021年4月まで、ボルボ144は裏庭の樹の下で眠りについた。
数週間ガレージに閉じこもりレストア
それと前後するようにCOVID-19の流行で大学は閉ざされ、授業はオンラインに。専攻は建築だったが、モチベーションは著しく低下していた。卒業を迎える学年でも、気分は虚しいままだった。世界は止まっている様子だったが、自分もその一部だった。
どこかへ冒険に出かけたいという気持ちがくすぶっていた。世界で入国制限が実施され、海外旅行は現実的ではなかった。しかし、少なくともカナダ国内は往来が自由だった。
3人組が型破りなロードトリップに挑むBBCトップギアのファンだったこともあり、人生に1度といえるクルマ旅へ出ようと決断するのに、長い時間は必要なかった。目的地はカナダ北西、ノースウエスト準州のトゥクトヤクトゥクに絞った。
目標の達成には、過酷な地形にも耐えられる信頼性の高いクルマが必要だった。自分で修理できる、シンプルなメカニズムであることも重要だった。裏庭にあるボルボ144Sのレストアから始めた。
スウェーデンはもちろん、欧州全土やアメリカからも部品をかき集めた。交換用のサスペンションや、キャブレターとトランスミッションのリビルドキットを取り寄せ、数週間ガレージに閉じこもった。
この過程で、整備に関する技術も自然と習得できた。本番の旅でも役に立ってくれた。
2回目のワクチンを打ち終え、2021年7月4日にカナダ横断のロードトリップへ出発。23歳の自分は、完全な自由だという感覚に興奮を抑えられなかった。
出発時から生じていた走行中の小さな振動
最初の目的地は、大西洋に面した東部のノバスコシア州ペギーズ・コーブという岬。1日目の夜はルーフテントで過ごしたのだが、風雨に晒されながら1人で眠ることの恐ろしさが、改めて身に沁みた。それから数日は、慣れないまま夜を過ごした。
翌日はペギーズ・コーブの町を散策。入り江でボルボと並んで記念写真を撮影。太平洋を経由し、北極海を目指す旅が始まった。
当初の数日間はトラブルフリー。長距離トラックに並んで、駐車場で寝泊まりしながら西を目指した。走行距離は1日に数100km。自動車での旅を心から楽しんだ。
日程的な予定は立てていなかったものの、2か月間がざっくりした目安だった。2週間目にはオンタリオ州に入り、フレデリコという新しい友人ができた。
45歳の彼は、かつてラリードライバーだったという。砂浜で過ごすことをこよなく愛し、ホンダ・シビックで世界中を旅している途中だった。変わった性格の持ち主だったが、今まで出会ったなかで最も賢いと思わせる男性でもあった。
オンタリオ州のワサーガ・ビーチで数日間を彼とともに過ごし、中部の丘陵地帯へ。景色が素晴らしいだけでなく、五大湖の信じられないほど透明な水に感動させられた。
ボルボは丘陵地帯が得意ではなかった。夏の暑さはスタート時から悩みのタネだったが、数時間休憩すれば走れる水温に戻っていた。しかし、潜在していた深刻な問題は、当初から走行中に感じていた小さな振動だった。
この続きは後編にて。
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