4WDのSUVに履けば圧雪路でのスラロームも問題なし!
「雪道も走れる夏用タイヤ」というキャッチで登場したミシュランのオールシーズンタイヤがクロスクライメートだ。今回15インチ以上のサイズで新コンパウンドが採用されたクロスクライメート+を北海道の本格的なスノーロードテストコースで試してきた。
【噂の真相】雪道で4WDが威力を発揮するのは発進だけって本当?
クロスクライメート+は夏用タイヤとして国内のAAにラベリングされる低転がり抵抗性能を有し、ウエットブレーキ性能は国内bラベル、走行ノイズは夏用プレミアムタイヤのプライマシーシリーズと同等の性能を有している。それでいながら冬季用タイヤとして欧州で認められている証の「スリーピーク・マウンテン・スノーフレーク」の打刻表記が与えられている。さらに「M+S(マッド&スノー)」の表記も与えられていて国内においては高速道路の冬用タイヤ規制下でも走行可能となっている。ではその雪上走行性能は実際どれほどのものか、テストしてみたのだ。
まずはメルセデスのコンパクトSUV・GLAに装着して試走。GLAは4輪駆動の4マチック仕様だ。このコンビネーションでは圧雪路はまったく問題なく、スラロームのターンもライントレースが正確でスノータイヤとして十分な性能を発揮している。ブレーキングでもタイヤロックによるABS介入は微小で、特別な意識を持つことなく安心して運転できる。このような組み合わせはもっとも理想的と言えるだろう。
ノートe-POWERの4WDでは20度の勾配も登れる
次にノートe-POWER 4WDに装着し坂道発進性能を試す。比較の為に夏用タイヤを装着した同モデルを並走させ試すことができた。
夏用タイヤでまずFF状態で(e4WDはFFと4WDの切り替えがスイッチで簡単に行える)10度の上り勾配で発進してみる。すると前輪が空転するのみで全く前進できない。4WDにすればゆっくりと進むが勾配が増すと直進を保ことができなかった。そこでクロスクライメート+を装着した車両に乗り換えトライ。FFのままでも発進可能で4WD化すれば20度の勾配も登り切ることができた。
しかし路面が磨かれてくると再発進が難しくなる。氷結路など悪コンディションでの発進は厳しそうだ。
次はEVリーフに装着しアイスバーンでの制動性能を試す。夏タイヤでは発進すら困難で、低車速からのブレーキでも車輪がロックしたまま10数メートルも前進してしまう路面だ。制動GがほとんどでないのでABSも作動せず舵も効かない。
次いでクロスクライメート+装着車でトライ。発進は明らかに速く、高い車速からアイスバーンでのブレーキを試すとABSが介入しながらも、やや距離を要するものの夏タイヤよりはるかに短い距離で停止することができた。
今回の試走からわかったことはクロスクライメートは圧雪路においては普通の走行ができるということ。4WD車と組み合わされればより安心感が増す。しかし、アイスバーンにおいては通常のスタッドレスタイヤと比べ明らかにグリップは不足している。メーカーとしても氷結路走行が予測される場合はスタッドレスタイヤやタイヤチェーンの装着を推奨している。
東京都など冬季にほとんど雪が降らないような地域で、急な降雪時に走行不能に陥ることなく帰宅できる必要最低限の性能を備えていることから「雪道も走れる夏タイヤ」と位置付けられたわけだ。1年通して装着したままでいいので季節毎にタイヤ交換をする煩わしさから解放されるのは有り難い。夏場し走行し摩耗しても性能を維持できる構造をトレッドパターンやコンパウンドに採用されていて5万km走行、3シーズン経過しても夏期・冬季とも一定の性能を維持できるとしている。
今後各社オールシーズンタイヤの投入が相次ぎそうだ。競争が激しくなれば性能向上も加速されるのはスタッドレスタイヤの進化をみれば明らかだ。クラスクライメート+はオールシーズンタイヤのベンチメークとしても注目を集めそうだ。
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