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「サーキットを攻められるマシン」へと進化!ハンドメイドの6輪F1タイレルP34取材レポート

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「サーキットを攻められるマシン」へと進化!ハンドメイドの6輪F1タイレルP34取材レポート

運営元:外車王SOKEN
著者 :松村 透

空冷ポルシェ911の価格高騰、その背景を964RSから紐解く

昨年10月、オートランドテクノ(茨城県石岡市)での初陣のあと、妙高ヒルクライム2022へのエントリーや、富士スピードウェイで開催されたK4-GPおよびながのノスタルジックカーフェスティバル2023会場での展示など、約7ヶ月のあいだにさまざまなできごとがあった「手作りで造られたタイレルP34」。



今回、久しぶりに「カスタムビルド&レストアWATAHIKI」がある茨城県水戸市に行き、代表である綿引雄司氏にインタビューしてきました。



■エビス西サーキットを走ってみた率直な感想を聞かせてください

エビス西サーキットは、初めての本格的なコースだったので、果たしてタイレルP34がまともに走るのか、当初は不安がありました。しかし、思った以上にフロント4輪は素直なハンドリングでコーナーを曲がりましたし、直線で挙動がブレることもなく、またフレームが捩れているような不安感もなく、普通のクルマとまったく変わりなく走ることができましたね



タイレルP34自体の重量が軽く、サスペンションもマッチしているせいか、ロールせず、姿勢の変化をそれほど感じることなく走れました。製作した部品、そして加工したり"ポン付け"した部品のバランスが上手くマッチしていて、車体周りは100点満点の仕上がりと思いました。



今後の課題は、デフからのオイル吹き出しが少しあったことへの対策や、水温の管理、燃調のセッティングなどですね



●タイレルでエビスサーキット西コース激走!ドローン!オンボード!ハンドメイドF1 [4K画質]
https://www.youtube.com/watch?v=eGVxCCliLYA



■昨年10月に初試走したときから変更点を聞かせてください

・リアウイングの補強
・リアジャッキがきちんと装着できるようにステーを製作
・テールランプの取り付け
・リヤタイヤ内側のクリアランスが狭く、タイヤが擦れてしまっていたため、トラス構造のハブサポートを加工し直しクリアランスを広くした
・リアスタビライザーの追加(スズキ アルトラパン用)


アルトラパン用のスタビライザーにしたのは、タイレルP34の車重を考えたとき、軽自動車用が合うなと閃いたんです。それぞれのモデルのスタビライザーを調べていくうちに、アルトラパン用がよさそうだなと、画像を見て判断しました。部材を買ってきて自作することもできたんですが、製作費用よりもネットオークションで買った方が安いし、仮に合わなかったとしてもノウハウの蓄積になるかなと思って落札しました。現物が届いてみたら、ちょっと加工するだけで装着できたので、狙いどおりバッチリでしたね。



■妙高ヒルクライムのような公道で走る際、下回りを擦らないのですか?

実は、フロアと路面とのクリアランスが100mm以上あるので擦らないんです。唯一、フロントスーパーカーノーズだけはちょっと擦ってしまうかもしれませんが、基本的に大丈夫です。



■現時点での課題や、今後のアップデートするご予定はありますか?

5月3日~4日にかけて長野県で開催された「ながのノスタルジックカーフェスティバル2023」にタイレルP34を展示したんですが、このとき、以前ドラッグレース用のマシンを製作していたことがあるアートレーシングさんとお会いしたんです。



ハイパワーのエンジンを載せたドラッグレース用のマシンということが、ボディにもかなり負荷が掛かりますよね。そんなマシンを作る方から見てもこのタイレルP34は強度があり、むしろオーバースペックだとおっしゃっていただきました。



自分自身でも、現在の隼のエンジンではパワー不足かなと思うところがあったんです。それと、現状のテンショナーのベアリングに対する懸念もありますね。かなり負荷が掛かるみたいで、頻繁にベアリングを交換する必要がありますし。そんなこともあり、ゆくゆくは200~250馬力くらいのエンジンに換装したいなと考えていたので、これはチャレンジしてみたいですね。



あとはトランスミッションですね。いま考えているのは、ポルシェ914用のミッションをベースに加工して載せられないかなと考えています。何しろ、ウチにはポルシェ用のトランスミッションが何個もありますから、それを利用しない手はないんです(笑)。



■いま、世界に何台のタイレルP34が存在しているのですか?

私が知る限りでは元F1ドライバーのピエルルイジ・マルティニ氏が2台所有していて、ジョディー・シェクター氏が1台。それと、タイレルP34を「全バラ」してイチから造り上げたマシンがたしか2台あったはずです。あとは、タミヤさんのところにあるタイレルP34と、レプリカですがウチにあるマシンですね。



■綿引さんのように、ゼロベースから手作りでF1マシンを製作してサーキットを走れるようになるにはどうすれば・・・?

以前にもお伝えしましたが、テレビを観ていたとき、ある途上国で平面の鉄板をパネル単位で板金していって、付き合わせてクルマのフェンダーにしていく模様を紹介していたんです。それほど工具がそろっていない環境でも作れるのだから、いろいろなモノが整っている自分にもできるんじゃないかと。それで試しにやってみたらできたと。本当にその繰り返しです。



とにかく「まずはやってみること」だと思います。はじめから諦めてしまう方が多いように思います。高校生のときに空手をはじめて、続けていくうちに組み手の部で全国2位になれたんです。その後、バイクのレースに出場して「いつか俺はレースの世界で食えるようになる」と思い込みながら続けていたんですが、レースの世界は甘くはなかったです。それはさておき、整備や板金塗装についても、ある程度、続けていれば知識や技術が身についてきますし、その積み重ねですよね。『継続は力なり』ですかね!



■好きだからここまでできた、ということはありますか?

私自身、モノづくりが好きなんでしょうね。やっていて楽しいんですから。仕事が終わったあと、夜遅くまで毎日のように作業していても苦にならないんです。新型コロナウイルスが流行り、週末に出かけることや外食、外呑みの機会もなくなり、籠るようにして作業ができたというのもありますし、その分を部品代に当てたりできたので、そういったこともタイレルP34をここまで仕上げられた一つの理由だと思います。



1週間のうち、本業を終えてから2~4時間作業して、土日も12時間作業すると40時間くらい捻出できます。でも、本業の方はお客様がいて、当然ながら緊張感を伴うわけです。しかしタイレルP34の製作は趣味と実益を兼ねているから、自分のイメージしたとおりに自由に造れる。自分自身で思い描いた夢の実現のために費やしているから楽しくて当然なんですよね。



■これまででもっとも大変だったこと、苦労したことを聞かせてください

何しろ自作(手作り)ですから、トライアンドエラーの繰り返しです。レストアが完了したクルマをテスト走行するときの怖さと不安にちょっと似ていますね。昨年10月にオートランドテクノで初めて走らせたときも、低速コーナーでさえもステアリングやタイヤが外れたり、ヘンな方向に向いてしまったらどうしようという恐怖は正直いってありました。



今回、15分・15分・10分と合計で40分走ってみて、デフのオイル漏れがあったり、あとはチェーン駆動を支えているテンショナーのベアリングがガタガタになったんです。現在の仕様だと40分くらい走ったらベアリングを交換する必要がありそうです。あとは、テンショナーの仕組みを変えるか、エンジンとミッションを別のものに載せ換えるか……です。



■これまででもっとも嬉しかったこと、思い出のできごとを聞かせてください

やはり「自分が作ったものがサーキットをきちんと走れるようになってきたこと」が一番の喜びですよね。



もともと、クルマでもバイクでも、サーキットを走ることがとても好きなんです。それも、今回は市販車ではなく、ゼロベースで自ら造り上げたマシンですし。手作りのF1マシンがサーキットをそれなりのスピード域で攻めて、しかも連続して走れるようになるところまで到達できたという事実。これって自身の技術に対する自信にもつながりますよね。



■MT車が運転できれば一般のドライバーでも走らせることはできますか?

クラッチも軽いですし、アクセルやブレーキも市販車の感覚とそれほど違いはありません。MT車の運転免許を取得していて、サーキットの経験がある方でしたらどなたでも乗れると思いますよ!シートサイズが私の体型に合わせてあるので、そこは調整が必要かも知れませんけれどね。



■綿引さんにとって、このタイレルプロジェクトの目指す夢やゴールは?

富士スピードウェイでF1が開催されたのは1976年と77年の2年だけなんです。そのいずれの年もタイレルP34がエントリーしているんですね。私が造ったこのタイレルP34で、いつか富士スピードウェイを走ってみたいと考えています。今回、エビス西サーキットを走ったことも、その過程のひとつだと思っています。



■タイレルP34が見られるイベントが決まっていたら教えてください

6月25日(日)に、群馬県太田市にある道の駅おおたで開催される「サンブレフェスタ 2023」に展示予定です。昨年の同イベントでは、追加で製作したアルミ地むき出しの1976年仕様でしたが、今年は1976年富士スピードウェイに参戦した「シェクター仕様」となります。また、フロントホイールはオリジナルを忠実に再現したアルミ製のものを履いて展示します。



■ぜひYouTubeの視聴者の方、読者の方にメッセージを!

タイレルP34が現役だった当時、FIAのレギュレーション改定で6輪F1マシンが参戦できなくなってしまったけれど、個人的にはもっと6輪F1マシンの魅力や面白さをYouTubeで発信していきたいです。



他のYouTuberさんのように頻繁には更新できていませんが、その分、スペシャルな映像をちょこちょこ出して行きますので、これからも応援してください!それと、各地のイベントに展示させていただいたり、実際に走らせたりしているので、ぜひ実車をご覧になってみてください。



6月25日(日)の「サンブレフェスタ 2023」でお会いしましょう!



■取材後記

過去の記事でも書いたかもしれませんが、目の前にあるのは誰が見てもF1マシンそのもの。筆者自身、これまで何度も拝見しているにも関わらず、実は綿引さんがホンモノのマシンを購入・所有しているんじゃないかと錯覚してしまうほどでした。さらに、あきらかに「オイルとガソリンが流れている生きているマシン」特有のオーラをビシビシと感じました。



YouTubeでタイレルP34の製作過程を楽しむのも大いにアリですが、百聞は一見にしかず。肉眼で実車を観られる感動と驚き。これに勝るものはありません。



6月25日(日)、群馬県太田市にある道の駅おおたで開催される「サンブレフェスタ 2023」で、「これが手作りのマシンだとは信じられない!」という驚きと感動をぜひ味わってみてください!



■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報

住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2
TEL:TEL/FAX 029-243-0133
URL:http://cbr-watahiki.com
お問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html



●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki"

※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています
https://www.youtube.com/@cbrwatahiki



※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。



●板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】

https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s



●アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】

https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA




■「サンブレフェスタ 2023」イベント概要


・日時:2023年6月25日(日)9:00~15:00
・場所 道の駅おおた駐車場



●「道の駅おおた」について
・所在地:〒370-0421 群馬県太田市粕川町701-1
https://goo.gl/maps/E3vus5Vmbpjn8mz68
・電話:0276-56-9350
・FAX:0276-56-9351
・駐車場;普通車:126台、大型車:40台、身体障害専用:4台
・URL:http://michinoeki-ota.com



●道の駅 おおた <公式> Facebookページ
https://www.facebook.com/michinoeki.ota/



●道の駅おおた広報「おっくん」 Facebookページ
https://www.facebook.com/ekicho.ota/



●道の駅 おおた <公式> Twitter
https://twitter.com/michinoekiota



[ライター・カメラ/松村 透・画像提供 綿引雄司氏]



 



 

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みんなのコメント

1件
  • オートサロンで展示されていた時に拝見しました。
    本当に美しく仕上がっていて、感動しました。

    通りがかりのこの車を良く知らない人がこれを見て、本物が展示されていると勘違いされている方が多かったように感じました。
    富士スピードウェイを走る姿を見てみたいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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