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【デリカは13年!! アクアは9年現役!!】長寿モデルが新型を出せない事情

掲載 更新 10
【デリカは13年!! アクアは9年現役!!】長寿モデルが新型を出せない事情

 10年経っても今なお現役!? それでも生産終了されない「長寿モデル」が、なかなか新型を出せない理由とは。

 自動車メーカーは、人気のある車種にはどんどん投資をし、人気が落ちないうちに新型車へ刷新するが一般的。逆に人気の出なかった車種は、1世代で生産中止になることもある。

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 しかし、廃止されることもなく、それでいて新型が登場することもなく、長年「現役」を続けているモデルもある。

 長く売り続けられること=ユーザーからの支持の裏返しでもある。なぜ、そうした長寿モデルの新型は出ないのか。背景にある事情を探る。

文:吉川賢一
写真:編集部

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三菱 デリカD:5/2007年発売

デリカD:5/写真は2019年改良のディーゼル車。前身のデリカスペースギアも1994-2007年まで販売されており、車種としての“平均寿命”も長い

 デリカD:5が発売されたのは、13年も前のこと。

 一般的な車種ならばフルモデルチェンジを2回していてもおかしくない年月が経過しているが、その間、何度かのマイナーチェンジ経て生産は続けられている。

 2019年2月に(ディーゼル車のみ)フロントマスク、エンジン、安全装備などを刷新するビッグマイナーチェンジが行われたが、基本的には同じモデルを作り続けている。

 例えば、2018年に新型となった「スズキ ジムニー」は、フルモデルチェンジでも、ほとんどそのコンセプトは変わらなかった。

 デリカD:5は、このジムニーと同じく、唯一無二の地位を築くことに成功したため、モデルチェンジをする必要がないのだ。

トヨタ アクア/2011年発売

アクア/当時、トヨタになかった5ナンバーのハイブリッド専用車としてデビュー。2017年にハイブリッドが追加されたヴィッツ(ヤリス)との棲み分けが課題に

 発売からすでに9年目となる、トヨタ アクア。いつの間にか長寿モデルとなってしまった。

 とはいえ、販売台数は未だトップクラスであり、2017年は13万1615台(登録車第3位)、2018年は12万6561台(同2位)、2019年にも10万3803台(同4位)と売れ続けている。

 普通であれば、人気のあるうちにモデルチェンジをして、更に販売を加速させるところであるが、トヨタはそれをしていない。

 その理由は、近い将来縮小する日本市場を考慮した戦略の一環だと考えられる。トヨタは2020年5月より全国全店全車販売実施を行う。アルファードとヴェルファイアも車種統合される見込みだという。

 アクアもヤリスとの競合が危惧され、それが新型の登場を遅らせている理由だと考えられる。ただ、ベストカーWebの取材によれば、新型アクアは現在開発中であるという。

 新型アクアは、ヤリスとの棲み分けを充分考慮したうえで、新たなキャラクターで勝負することになりそうだ。

86&BRZ/2012年発売

86&BRZ/言わずと知れた手頃な国産2ドアスポーツの雄。2016年にはマイナーチェンジを敢行し、熟成を重ねる

 86/BRZもすでに8年目に突入している車種だ。縦置き2L・NAの水平対向4気筒エンジンを搭載、もちろん駆動方式はFR、重心の低さも大きな魅力である。

 絶対的な「速さ」はないが、ドライバーが自らの力量の中でスポーツ走行することで、どこか懐かしく、楽しさを得られるクルマとして人気だ。

 モデルチェンジをしない理由は「トヨタとスバルの自信の表れ」だと、筆者は考えている。

 スポーツカーは、背が低くてスポーティなデザインや大きなタイヤ、リアウィングなど、見た目ももちろん重要であるが、その本質は、「走り」にある。

 86/BRZに搭載されている素性が良いアーキテクチャを、「目指す走り」に向けて磨き続ければ、モデルチェンジを急ぐ必要はない、とうことなのかもしれない。

(編注:トヨタとスバルが発表した2019年9月27日付けのリリースでは、「86/BRZの次期モデル共同開発」が明言されている)

 実際、毎年のように改良がされており、常にメーカーの愛情が込められている、クルマなのだ。

ホンダ オデッセイ/2013年発売

オデッセイ/それまでの4代目モデル以前とは路線転換を図り、やや背が高いフォルムに。歴代モデルは概ね6年ほどで新型に刷新された

 現行モデルは2020年で7年目となるホンダ オデッセイ。

 ホンダの得意技「低床ワゴン」が一世風靡し、一時は「ミニバン=オデッセイ」というほど、イメージリーダー的な存在であった。

 なんと初代オデッセイは、登場翌年の1995年、車名別月間販売台数ランキングにて登録車1位(年販12万5590台)を獲得したほど。しかし2019年は販売台数1万4614台まで冷え込んでいる。

 オデッセイは、2013年に国内終了となった高級ミニバン「エリシオン」の役目も担うようになり、初期のオデッセイの売りであった「低さ」を諦め、全高を140-150mm上げて1700mmとした。

 しかし、現在の主流はアルファードやヴェルファイアのような1800mmを超えるミニバンであり、中途半端な高さのオデッセイは、ニーズとマッチせず販売低迷した、と筆者は分析している。

 オデッセイのキャラクターであった「背低ミニバン」は時代に合わなくなってきたことが、なかなか新型を出せない理由のひとつだろう。

マツダ6/2012年発売

マツダ6/2019年8月の改良で日本仕様の車名を「アテンザ」から変更。5~6年でモデルチェンジした歴代と比べても現行型のサイクルは長い

 アテンザ改めマツダ6もすでに8年目となった。

 現行型は2012年に登場した3代目。マツダ流デザインフィロソフィーを磨き、FFとは思えぬスタイリッシュなボディをまとって登場。

 2018年6月にビッグマイナーチェンジを実施し、2.2Lディーゼルの性能向上、内装の質感アップ、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)性能改善、2.5Lガソリンに気筒休止機構、フェイスシフトなど商品力を向上。2019年8月にマツダ6と改名、新たに2.5Lターボエンジンモデルを追加した。

 モデルチェンジをしない理由だが、ご存じのとおり、「新FRプラットフォームの上級セダン」の登場を待っている状況だからであろう。2019年3月期のマツダ決算説明会において、将来的なプラットフォーム戦略が発表されている。

 小型車は、これまで通りのエンジン横置きFFプラットフォーム、中型以上のモデルには、縦置きエンジンの新開発FRプラットフォームが使われるという。

 2021年にも登場すると思われる新型FRセダンによって、現行型のマツダ6は役割を終えるのであろう。

日産 エルグランド/2010年発売

エルグランド/トヨタ アルファードの“先駆者”であった同車も気づけば登場から10年が経過。今なお現役として販売を続けている

 エルグランドもすでに10年目。1997年に登場した初代エルグランド(E50型)は、「大人数を乗せて快適に移動する空間」というコンセプトがヒットし、年間4万~5万台を売る人気ミニバンだった。

 現行モデル(E52型)も登場当初は、年間2万台ほど売れていたが、2019年は6729台にまで落ち込んでいる。

 エルグランドは、国内市場専用のミニバンとして開発され、豪華な内装・装備をもっているが、現在はアルファード/ヴェルファイアに顧客を取られている状況。

 日産にも、ディーラー界隈からの次期型エルグランド要望の声は、当然聞こえているだろうが、「出しても売れないかもしれないモデルにチャレンジできるのか」と考えているのかもしれない。

 それならばセレナに売り上げを集中させればいい、とも思えるが、エルグランドは日産のミニバンフラッグシップである。

 今一度、「アル/ヴェルが売れている理由は何か」を冷静に分析し、チャレンジしても良いのではないかと思う。

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みんなのコメント

10件
  • 今の三菱が売れてないのと、海外自動車メーカー傘下に入ったから、金の工面ができないからだろうよ
  • 勝手な予想だけど、アクアは激戦区のコンパクトカーにあって言っちゃえばコンパクトカーとしては狭いし使い勝手は良い方ではない、だからこそインパクトを強く押し出すために他の追随を許さない好燃費(カタログ値とは言え)が必要、やはり45km/Lとかにならないと出しにくいのもあるんじゃないかなぁ。
    仮に少しだけ燃費が良くなって41km/Lで新型になりました。ただし価格も上がりました。程度ではインパクトが少なく、価格は上がったけど燃費も驚く数値が出ました。くらいにならないと他のコンパクトカーに食われちゃう気がします。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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