トルク型エンジンVG30ETが見せるストレスフリーな走り!
電子制御エアサスも備えたフラッグシップモデル
「黄金期の日産フラッグシップに魅了された男」Y31グロリアV30ターボ・ブロアムVIPを2台乗り継ぐ変態!?【ManiaxCars】
オーテックが手がけたL150やロイヤルリムジンは別として、ハードトップ、セダンともにVG30ETもしくはVG30Eを搭載し、カタログモデルのトップグレードとして君臨するのがブロアムVIP。前後バンパーの大型化とサイドガードモールの装着で全長4.8mオーバー、全幅1.7m超の堂々とした3ナンバーボディを持つ。
さらに、モデルラインアップで唯一、電子制御エアサスペンションが標準装備され(レス仕様のCタイプも存在)、前席パワーシートやフルオートITエアコン、ピュアトロン(空気清浄機)、オートクルーズやオーディオを手元で操作できる光通信ステアリングスイッチも備わるなど、フラッグシップの名に恥じない内容を誇る。
実はオーナーにとってこのクルマは2台目のV30ターボブロアムVIPだそうで、1990年に中古で買った前期型セドリックはたった2年落ちなのにオーバーヒートがひどく何度修理しても直らず、わずか8ヵ月で手放したとか。そして、5年ローンを組んで後期型グロリアを新車で購入。以来、もう30年も連れ添ってるわけだ。
これまで大きなトラブルはなく、経年劣化でオルタネーターが故障しただけという優等生ぶり。そもそもVG30ET/DET(T)は熱的に厳しいエンジンと言われるが、もしかしたら前期型はその辺りの対策が不十分なまま発売されたのではないか?という疑いの気持ちすら湧いてくる。
エンジンは195ps/30.0kgmを誇るVG30ET。最高出力こそ後期型VG20DET(210ps)に譲るが、逆に最大トルクは3.0kgm上回り、しかも400rpm低い3200rpmで発生するトルク型だ。なにより、VG20DETに対して1.5倍の排気量が全域でゆとりの走りを見せる。
細かい装備の違いはあるものの、ダッシュボードのデザインはグランツーリスモ系と共通。ホーンパッドはステアリングホイールと連動することなく固定され、その下にオーディオ電源、バンド&選局、ボリュームの各スイッチが設けられる。また、右スポークに備わるのがオートクルーズ用スイッチだ。
ブロアムVIPとRD28搭載車を除くブロアム、グランツーリスモSVにオプション設定されたデジタルメーター。スピードはデジタルで、エンジン回転数はバーグラフで表示される。その下に横一列で各種ワーニングランプとATポジションインジケーターが並ぶ。
ブロアム系フロアAT車はフルオートITエアコンを標準装備。セダンのコラムAT車はフルオートデュアル、それ以外のグレードはフルオートとなる。また、エアコン吹き出し口の右側にはエアサスのモード切り替えスイッチを装備。取材車両にはデータシステムのエアサスコントローラーも追加される。
運転席、助手席ともにパワーシートが標準となるV30ターボブロアムVIP。純正ハーフシートカバーには、グロリアのフロントグリルやボンネットマスコットにも見られる“翼を広げた鶴”がデザインされている。
後期型からオプション設定されたチルト機構付き電動ガラスサンルーフ。「サンルーフ付きでないとダメ」というオーナーには必需品だった。カタログによると、コラムAT車と一部グレードのフェンダーミラー車には装着できなかったらしい。
ボディ自体は5ナンバー枠に収まっているが、ドア下部に厚みのあるサイドガードモールを追加することで全幅を1720mmに拡大。前後の大型バンパーと合わせて3ナンバーボディとされている。
リヤスポイラーはインパル製、ホイールは17インチのボルクレーシンググループAエボ4を装着。マフラーは2本目となるHKSリーガルで、メーカーが在庫していた最後の1本を手に入れたそうだ。
ちなみに、オーナーが乗り継いだ2台はどちらもボディ色が赤だが、そこにもエピソードが。
「前期型のカタログを見てY31に一目惚れ。ボディカラーは赤が似合うと思いましたね。なので、中古で買った前期型はダークレッドパールメタリック(♯624)にしたんです。それを手放した後、新車が出たばかりの後期型も同じ色にしようと思ってディーラーで注文を入れたら、カラートリムが♯AH1に変わっていて。見た目にずいぶん茶色がかっていましたから、“これは違うぞ…”と。そこで急きょ注文を取り消し、現車を見ないでレッドパール(♯AH3)に替えてもらったんですよ」。
前期型と後期型で名称は同じなのにカラートリムが違うというのはなんとも紛らわしい話で、赤だと思って買ったらイメージと大きくかけ離れた色だった…と涙を飲んだ(!?)後期型オーナーも多かったのではないかと想像する。
程度極上でレアなボディ色の後期型V30ターボブロアムVIP。「一生乗り続けるつもりで、最後は日産座間記念庫に寄付ですかね?」と笑うオーナーだった。
■SPECIFICATIONS
車両型式:PAY31
全長×全幅×全高:4860×1720×1380mm
ホイールベース:2735mm
トレッド(F/R):1445/1460mm
車両重量:1540kg
エンジン型式:VG30ET
エンジン形式:V6SOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ87.0×83.0mm
排気量:2960cc 圧縮比:8.3:1
最高出力:195ps/5200rpm
最大トルク:30.0kgm/3200rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR205/65R15
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
古い車って、なんでシブいんだろう?
懐かしさもあるが今でもカッコ良いと思う。
この後のモデルが鳴かず飛ばずで日産が傾き、ゴーンが来ると同時にセドグロをあっさり捨てて
しまった日産は商品力を疎かにしてコストカットで利益を出し続け今は国に縋り付く。
帝国航空より日産の方が半沢直樹の改革がが必要だった。