■クルマのガラスには主に「2つのタイプ」があった
最近のクルマのガラスには、車内を快適にする機能が付加されているタイプが増えています。
今回は様々な機能をもった最新のガラス事情について紹介します。
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クルマのガラスは、通常のガラスをより強固にした「強化ガラス」と、割れにくい「合わせガラス」が使われています。
そのうち強化ガラスは、主にリアガラスやサイドガラスに使用されています。
その名の通り、通常の板ガラスに比べて、同じ厚さ3倍から5倍程度の強度性能を持っているガラスです。
しかし、衝撃が加わって一度割れてしまうと粉々になってしまうデメリットもあり、ガラスの破片が乗員の目に入ってしまうなど怪我をすることがあります。
そのため、1987年9月以降に製造されるクルマのフロントガラスには、合わせガラスを使用することが「道路運送車両の保安基準」で義務付けられました。
合わせガラスは、ガラスとガラスの間に中間膜と呼ばれる特殊フィルムを挟み込んだガラスです。
特殊なフィルムを挟み込むことで、万が一ガラスが割れてしまった場合でも粉々にならないため、安全性が高まることに加え、飛び石などの飛来物が車内へ入ってくることを防いでくれたり、割れにくいため、盗難防止効果も高めてくれます。
合わせガラスは、中間膜の特殊フィルムの種類を変えることで、単なる割れにくいガラスという機能以外にも様々な機能を持たせることができます。
そのなかでも、紫外線(UV)をカットする特殊フィルムを中間膜に採用しているのが「UVカットガラス」です。
乗員の日焼けを防いでくれるほか、内装の劣化なども防いでくれます。
そのため、古いクルマなどで見られる紫外線の影響による経年劣化、例えばダッシュボードのヒビ割れや色あせといった現象は以前よりも低減されています。
現在販売されているクルマのフロントガラスには合わせガラスが採用されているので、実はUVカット機能はほとんどのクルマに備わっています。
またフロントガラスのみならず、サイドガラスやリアガラスにもUVカット機能が付与されているクルマも増えています。
そして猛暑で大活躍しそうなのが、赤外線(熱線:IR)をカットしてくれる特殊フィルムを中間膜に採用した「IRカットガラス」です。
IRカットガラスは別名「熱線カットガラス」とも呼ばれ、太陽光からのじりじりした熱線をカットしてくれます。
そのため、太陽光による車内温度の上昇を緩和してくれます。
併せてカーエアコン(クーラー)の効率を高める効果も期待されます。
JAF(日本自動車連盟)が2012年8月に実施した「真夏の車内温度」に関するユーザーテストによると、駐車中の温度上昇によるダッシュボードの温度は最高79度まで上昇したといいます。
このテストから10年以上が経過し、日本国内の最高気温が更新されていることを考えると、ダッシュボードの温度上昇は年々厳しいことが想像できます。
つまり、ますますIRカットガラスの効果が発揮されるわけです。
■コーティングなどによる高機能ガラスも多彩に
また、UVカットやIRカットに加えて、遮音性を持った特殊フィルムを中間膜に採用した「遮音ガラス」の採用も増えてきています。
遮音ガラスは高級車の採用が多いですが、近年PHEV(プラグインハイブリッド車)やBEV(電気自動車)など、駆動音の静かなモーターで走行するクルマが増えたため、より車外の音が気になるようになり、遮音ガラスのニーズも高まってきているようです。
ガラス原料に微量の金属を加えて着色をした「熱線吸収グリーンガラス」は、グリーン系の透明ガラスでありながら日射エネルギーを吸収するため、夏場のエアコンの効きを高めてくれ、採用モデルも増えています。
ちなみに以前、三菱の高級車「デボネア」などで、金属膜をコートし熱線反射機能を持たせた「熱線反射ガラス」が採用されていたことがありました。
こちらも車室内への日射量を減らし、居住性やクーラー効率を向上させる効果がありましたが、その反面でETCの電波を遮断してしまうという問題も。
そこで、「UV&ヒートプロテクトガラス」が登場し、このガラスでは肌のじりじり感を感じさせる「中赤外線」を遮断する一方で、一般的なETCが使う「近赤外線」のゾーンは透過するタイプが登場しました。
また、最近のアフターパーツで手に入る熱線反射ガラスには、アンテナやETCなどの装着部分は電波を透過するように熱線反射機能をくりぬいたものもあり、ガラスによる真夏の熱対策は多彩となっています。
見た目でも日陰効果がありそうに見えるのが、黒色に着色されている「スモークガラス」です。
以前は透明なガラスの上から、後加工でフィルムを貼ることで、スモークガラスにしている場合が多かったですが、最近では新車から純正で備わっているクルマも増えています。
スモークガラスにすることで可視光をカットするので、後席や荷室の荷物を外から見えづらくする機能を併せ持っていることから「プライバシーガラス」とも呼ばれています。
またメーカーによっては「ダークティンテッドガラス」と呼ぶケースもあります。
ちなみに、道路運送車両法が定める保安基準でフロントガラス、運転席と助手席の側面ガラス(運転席、助手席の前サイドガラスも含む)の透過率が70%以上と決められているため、すべての窓をスモークガラスにすることはできず、後席側面、荷室の側面、リアのガラスのみスモークガラスにすることができます。
■紫外線や可視光線、赤外線などのカット率は部位ごとに異なる場合も
他にもクルマのガラスには、様々な機能を備えたものがあります。
例えば撥水コートがされたガラスや曇りにくいガラスなど、視界の確保性能を高めたタイプがあります。
また、ガラス表面に導電線などをプリントし、アンテナとしての機能を持ったタイプや、霜や曇りを除去する熱線を埋め込んだタイプ、速度やナビゲーションなど運転に必要な情報をフロントガラスに投影する「ヘッドアップディスプレー(HUD)」の機能を持たせたタイプなども。
今後もガラスに多様な機能が盛り込まれることで、クルマをより快適に安全にしてくれる進化が期待されます。
冒頭で紹介した通り、太陽光は紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)と分けられますが、窓ガラスでこれらをカットすることで、真夏のじりじりした暑さや日焼けから少しでも逃れ、より快適に過ごせるようになります。
そしてこれらのガラス機能は、決して高級車のみの装備ではありません。
例えばホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」では全車標準となっています。
フロントウインドウとフロントドア、フロントコーナーにIR/UVカットガラスが採用され、リアドア、リアクオーター、テールゲートにUVカットプライバシーガラスが採用されています。
ちなみにクルマによっては紫外線、可視光線、赤外線(熱線)のカット率は、グレードや装着されている場所によって異なる場合があります。
例えばマツダ「CX-60」の場合、すべてのガラスが紫外線、可視光、赤外線をカットする仕様ですが、ガラスの種類や装着される場所でカット率が異なっていることが、マツダ公式ウェブサイトのFAQページで細かく公表されています。
フロントウインドウガラスやサイドドアガラス、リアゲートガラス、パノラマサンルーフなど、それぞれの数値の違いもわかりやすく記されています。
※ ※ ※
年々、夏の暑さが激しさを増しています。
これから新車を購入する際には、購入候補の車種にどのようなガラスが採用されているか、事前にウェブサイトなどで確認しておくことが必須といえるでしょう。
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みんなのコメント
ホンダは大衆車にもIRカットガラスを標準装備しているものもあるのにそれを全然アピールしない
そういう他とは違う部分をアピールするのが下手だよね