現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > マツダのコ・パイロット(副操縦士)、EDSSを変えるのか? 公道試験に同行してみた

ここから本文です

マツダのコ・パイロット(副操縦士)、EDSSを変えるのか? 公道試験に同行してみた

掲載 1
マツダのコ・パイロット(副操縦士)、EDSSを変えるのか? 公道試験に同行してみた

国交省 2023年からEDSS搭載を視野に

執筆:Hajime Aida(会田肇)

<span>【画像】コ・パイロットの動作 詳しく見る【公道試験の様子】 全30枚</span>

マツダが11月4日、「Mazda Co-Pilot CONCEPT(コ・パイロット・コンセプト)」を発表した。

これはドライバーの異常を自動検知して車両を安全に停止させる次世代安全技術。この技術を体験するため、11月下旬、公道で同乗する機会を得た。ここではその体験をレポートしたい。

交通事故総合分析センターの統計によると、2008年から2012年の5年間に運転中の急病・発作による事故は、年平均250件ほど起きているという。高齢化が進む中でこのような事例は増える可能性は十分考えられる。

また、病気とまではいかなくても、運転中に眠気を感じることはドライバーなら誰しも経験しているはずだ。

こうした事態に対処するために国土交通省は「ドライバー異常時発見システム(EDSS)」の搭載を進めており、2023年9月以降の新型車から順次適用する方向性を打ち出している。

その動きに自動車メーカーも順次対応し始めており、今後は搭載車が増えていく見通しだ。

そうした中でマツダから発表されたのが、ドライバーの異常を自動検知して車両を安全に停止させる次世代安全技術「コ・パイロット・コンセプト」である。

ドライバーを選ばず、どこでも動作 コ・パイロットの特徴

「コ・パイロット」とは一般的に飛行機の副操縦士のことを指す。

この“副操縦士”が常にドライバーの脇にいて、必要なときは直ちに運転に介入して操縦を支援するのが「コ・パイロット・コンセプト」。

つまり、この“副操縦士”が体調の急変や居眠りを検知し、必要に応じて警告。運転を継続できないと判断した時には車両を停止させて安全を確保する。

この寄り添いがあるからこそ、ドライバーは心から安心して運転が楽しめる。そんな環境の実現をマツダは目指しているのだ。

中でも「コ・パイロット・コンセプト」で見逃せないのは、基本的な運転能力を維持できていればドライバーを選ばず、モード切り替えなどは不要で常に動作することだ。

さらに作動範囲は高速道から一般道まですべての道路を対象としている。つまり、「コ・パイロット・コンセプト」は、ドライバーの居眠りや身体の異常に起因する事故に対して、広範囲で抑制しようとする考えの下で開発されているのだ。

コ・パイロット「2.0」の計画も

マツダはこの「コ・パイロット・コンセプト」をベースとした「コ・パイロット1.0」を、2022年に発売する新型車に搭載していき、25年以降にはドライバーの身体の変調を予兆検知して車線変更まで行う「2.0」へと進化させていく計画だ。

まず“1.0”は車内カメラがドライバーの居眠りや急な体調変化を検知すると、追突などの二次被害を防止するため、ハザードやブレーキランプ、ホーンを発動して車外に異常を報知。

そして車両が安全な避難場所に近づくと周囲の車両の流れを乱さないように配慮しつつ徐々に減速して安全に停車し、その後、ヘルプネットに接続して緊急事態を伝えるというもの。

次に“2.0”では、脳科学の知見を活かしてドライバーの異常に至る予兆を早期発見する技術を導入し、異常を察知した場合は車線変更をして路肩や非常停止帯への退避技術を加える予定になっている。

今回の体験試乗では、このうち退避技術を体験することになった。

ただ、試乗コースが公道であった関係上、ドライバーが瞼を閉じたり、運転姿勢を保てない状況下の体験ではなく、緊急作動ボタンを押すことで車両を路肩に完全停止させる技術を対象とした。

実は、この緊急作動ボタンを押して車両を停車させる機能も見逃せない機能の1つ。

すでにバスなどで採用され始めているのだが、乗用車ではまだ搭載された例がないのだ。

この機能を搭載していれば、ドライバーがまだ意識があるうちに自らボタンを押したり、あるいは助手席にいる人がボタンを押すことで自動的に停止まで行ってくれるわけで、いざという時にその有効性は極めて高い。

それをマツダはいち早く2022年の新型車に「コ・パイロット」で搭載予定としているのだ。

試乗した車両はマツダ3のファストバック/スカイアクティブDをベースとした技術試作車。ベース車に搭載されているセンサーに加え、カメラ12個、高精度マップ、ロケーターECUが追加されていた。

体調急変! 他車にどう伝える?

技術者によれば、車線内だけを走行するのであれば現状のセンサーでも対応は可能だが、路肩への移動など車線を変更する場合はこうしたセンシングと高精度マップによる誘導が欠かせないとのこと。

高精度マップも、今回の体験試乗のために試乗コースとなった東京・お台場界隈のデータを準備したのだという。

体験コースでは計3回の退避が設定された。

1回目はコ・パイロット2.0の基本動作である車線変更を含む路肩退避で、2回目は路肩駐車車両の側方通過を体験。

そして3回目はより安全な場所へ退避して駐車することを想定したものである。

いずれも技術者が緊急作動ボタンを押してステアリングから手を離すと、すぐに警報音が車内に鳴り響き、ハザードランプの点滅と同時にホーンが断続的に鳴り始める(公道テストのためホーンが聞こえるのは車内のみ)。

外部に対してはハザードランプが減速停止に向かっていることを知らせ、車線移動や路肩へ向かうときはウインカーも作動させる。

そして停止状態になると後続車の追突を防ぐために、ブレーキランプを通常よりも速いハイフラッシュで異常事態を知らせていた。

1回目のデモでは、ドライバーは何も操作はしていないにもかかわらず第一車線の路肩へと車両を移動させて自動停止し、ヘルプネットへの接続が行われた。

本当に異常事態に陥っていたときは同乗者は緊張するのだろうけど、ホーンがけたたましく鳴っているものの、その流れは極めてスムーズで何事もないように停止。ヘルプネットへ接続が行われるので、そこで初めてキャンセルの操作をしたのみだ。

停まる場所がないケースは?

2回目は大型トラックが左側に駐車している状態で緊急作動ボタンを押した。

すると駐車車両を避けながらその先のスペースに駐車する動きを見せたが、この時は駐車車両が交差点ギリギリまで駐めていたため、交差点内に停止するわけにもいかず結果としてここでの停止行動はキャンセルとなった。

これはコ・パイロットが周囲の道路状況をつぶさに監視ながら制御していることの証しとも言えよう。

そして3回目が注目の非常停車帯への退避となる。

実際には大通りから路地に入ったところを安全な停止場所として設定しており、緊急作動ボタンを押した後、そこを目指して車両は自動走行。

この時の誘導も極めて自然に行われた。マツダは「あくまで停止行動のための行動であって自動運転ではない」としているが、この動きを体験するとその完成度の高さに驚きを隠せなかった。

これに予兆が加われば、危険リスクは相当なレベルで回避されるのはないかと実感した次第だ。

ドライバーを見守る技術も体験

一方、この日は公道で実現できなかった「コ・パイロット2.0」に向けて開発を進めている「ドライバー状態検知技術」も停止状態で体験した。

これはてんかんや脳血管疾患など脳の機能低下によって発生する意識低下を普段の運転行動から予兆する技術で、その検知方法については3つのパラメーター(運転操作/頭部挙動/視線挙動)からその変化を捉え、総合的に異常の予兆を検知・判断する。

会場にはマツダ3・ファストバックの技術車両が置かれ、前方に走行シーンのビデオ映像を流して「ドライバー状態検知技術」を再現した。

中でも詳しく説明されたのが視線挙動に関してだ。

車内には赤外線カメラが備えられ、ドライバーの視線を常時監視。ドライバーの瞼や視線の先を監視することで異常を検出し、その結果はわかりやすいようタブレット上に示された。

発展中のEDSS 各社の現状/マツダの考え

タブレットでは、正常時はドライバーの姿を緑色で表示し、異常が検出されるとリアルタイムで黄色や赤色に切り替わる。

実際に技術者がデモとして異常を演出すると、システムは即座に反応して見せた。

これらは身体的な変調を来す予兆として活用される予定だ。また、これとは別に「コ・パイロット1.0」に搭載される姿勢崩れやハンドル無操作によるドライバー異常検知のデモも実施された。

こうした「ドライバー異常時発見システム(EDSS)」は、車両のコネクテッド化が進むのに伴い、他の車両にも採用が広がりつつあるが、それぞれに特徴がある。

いつでも、どこでも、ドライバーの隣に副操縦士

日産の「プロパイロット2.0」はいち早くEDSSに対応したが、あくまで同一車線上に停止するのみで、ヘルプネットへの緊急通報もNissanConnextに加入していることが条件となる。

トヨタ「アドバンスドドライブ」も自動停止とヘルプネットへの接続を行うが、路肩に自動停車することが進化のポイントとなる。

また、スバル「アイサイトX」はツーリングアシストや渋滞時ハンズオフアシストなどが作動していることが条件で、停止後のヘルプネットへの自動通報も現時点では行わない。

「ホンダセンシング・エリート」では自動停止機能を備えつつ、ドライバーへの警告でアラーム以外にシートベルトの軽い締め付けを加えている。これによってドライバーの気付きを促そうというわけだ。

もちろん、いずれもEDSSについては発展途上であって、今後の更なる機能アップが行われていくことになる。

その意味では、マツダが発表した「コ・パイロット・コンセプト」はあらゆるドライバーに寄り添いながら事故を未然に防止し、その上で走りの歓びをサポートする人間中心の考え方に基づく。

この発想はまさに従来の運転支援ではなかったマツダらしさが発揮されたとも言えるだろう。単に緊急時の運転支援にとどまらないこの機能は、今後のEDSS開発に大いに刺激となっていくのではないだろうか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トランプ大統領にモノ申す! アメリカ人はアメリカ車を買っているのか?
トランプ大統領にモノ申す! アメリカ人はアメリカ車を買っているのか?
ベストカーWeb
未来の消防車アイデアコンテスト、最優秀賞は北海道の小学5年生に
未来の消防車アイデアコンテスト、最優秀賞は北海道の小学5年生に
レスポンス
JALが「新型機初の“旅客機の車検”」既存機とどう違う? 同社初の客室機構&伝統破りのエアバス機…「整備士魂かけた」その内容とは
JALが「新型機初の“旅客機の車検”」既存機とどう違う? 同社初の客室機構&伝統破りのエアバス機…「整備士魂かけた」その内容とは
乗りものニュース

みんなのコメント

1件
  • 動画で見ました。
    体調の急変は突然やってきますから。
    重大事故を無くすには有りでしょう。
    GPSでパーキングへ自動運転で誘導、はすぐにでも
    実用化してほしい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村

あなたの愛車今いくら?