豪快なカーアクション、最近テレビでなかなか見ない?
映画やドラマ、CMなどの撮影で使用される自動車を「劇用車」と呼びます。パトカーや救急車のような特殊な車から普通の乗用車まで、その範囲は広いのですが、「映像に出てくるクルマ」でまず思い浮かぶのはカーアクションのシーンではないでしょうか。
「ボンネットに透明板を立てたパトカー」激減なぜ? バグガードと呼ぶその板 役割は
カーアクションが炸裂する日本のテレビ作品といえば、「西部警察」「太陽にほえろ!」「大都会」など、1970年代後半から80年代中盤に一斉を風靡した刑事ドラマの数々でしょう。これらは2021年1月に解散した石原プロモーションによるものですが、この時期が劇用車の活躍の全盛期だったともいえます。
最近でも2020年にTBS系列で放送された「機動捜査隊MIU404」が久々に力の入ったカーアクションを見せてくれました。とはいえ、総数およそ4600台を破壊したとされる「西部警察」に匹敵するスケールのカーアクションは、近年ほとんど見られなくなっています。
これにはどんな背景があるのでしょうか。東京都世田谷区で劇用車の手配を請け負う、株式会社マエダオート代表取締役の前田初江さんにお話を伺いました。
マエダオートは1959(昭和34)年から数々の映画やドラマに携わり、「太陽にほえろ!」の車輛も手掛けていた、いわば劇用車界の名門です。
ちなみに創業者で、2019年に亡くなられた夫の満夫さんはカースタントマンとしても活躍され、「太陽にほえろ!」第1話でショーケン(萩原健一さん)演じるマカロニ刑事にライターを貸すバイクのライダー役で登場するなど、業界の名物社長でした。
劇用車は作品の時代背景や場面に合うものが必要とされます。マエダオートは1930年製のロールス・ロイス「ファントムII」や1965年のフォード「マスタング」をはじめ旧車やヴィンテージカーを多数保有しており、NHKの大河ドラマ「いだてん」にも昭和のクルマをいくつか提供しています。
反対に、刑事モノなどで使われるパトカーなどは、時代に沿って最新のクルマであることが求められます。パトカーは基本的に払い下げられることがないので、「3年くらいのサイクルで、そのつど改装しやすいクルマを購入して対応している」とのことです。
派手なカーアクションを支えていたのは地上波2時間ドラマ
前田さんは、カーアクションが以前から減った背景について、「地上波の2時間ドラマがなくなったのが大きいのでは」と話します。
80年代後半以降アクション刑事ドラマが減少し、トレンディドラマが主流となっていきましたが、その当時、カースタントの舞台となったのは、「2時間サスペンス」とも呼ばれた2時間ドラマでした。
しかし、「ごくせん」や「花より男子」が大ヒットした2005(平成17)年、日本テレビが火曜サスペンス劇場を打ち切ったのが契機となり、民放各局の2時間ドラマは段階的に減少していき、2019年にTBSが幕を引くと広くみられている地上波での2時間ドラマ・レギュラー枠が消滅しました。これがスタントカーにとって節目のひとつになったようです。
最近はコロナ禍によりドラマの撮影も困難になり、劇用車も今までにない感染対策が必要となりました。その影響があるかを聞いたところ、「2020年の4 5月頃をのぞけば、特段の影響は感じていない」とのこと。バラエティや情報番組のロケは行われ、車内で対人距離をとるために台数の発注が増えるケースもあり、ロケ専用バスの需要は堅調だったそうです。
そして維持コストを抑えるため、クラッシックカ―は「使わないときはナンバーを外して、使う時に整備して再登録する」といった工夫も功を奏しているようです。
日本の「カーアクション」今後はどうなる?
もうひとつ、かつての「西部警察」の派手な爆破クラッシュシーンが最近見られなかった背景として、法規制や人材難で状況が厳しくなったという声があります。このあたりは実際どうなのでしょうか。
「規制については、敷地内で撮影するなど、ルールの範囲内で行うことは十分に可能です。カーアクションの人手については、もともとは社内でスタントも引き受けていたのですが、それぞれが独立されていったあとは、必要なときにそちらへお願いしています。ただ、最近では皆さん、かなりのベテランになられています」
前田さんとお話をすると、以前のようにカースタントに憧れた若い人が次々に入ってくる状況ではないようです。CG/VFXの発達により、迫力あるアクションシーンもほとんどPC上で賄えるようになった今、カーアクションをめぐる状況はますます厳しくなっています。しかし希望もありただし配信動画サービス向けの作品制作は増加しており、若いカースタントマンが育つ新たな場となるかもしれません。
前田さんは「日本には年代物のクラッシックカ―を整備する人材と技術がまだ残っている」と言います。劇用車はひとつの華やかな時代を映し出すの「顔」として、整備士たちの手で後世まで受け継がれていくことになりそうです。
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みんなのコメント
赤灯にシートが巻いてあってパトカーカラーなのに所属も何も書いてない異様な雰囲気だったけど、100キロ弱で走るその車を追い抜く車は殆ど居なかった。
背の高いミニバンとか軽ではスタントしにくいと思う。
軽だとそもそも危ないよね。