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羨望のエース級グレード名たち【トヨタ、日産、ホンダ、マツダ編】

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羨望のエース級グレード名たち【トヨタ、日産、ホンダ、マツダ編】

 日本クルマ界創生期、グレード名といえば、「デラックス」や「スタンダード」など、そのクルマの仕様や装備を示すものだった。

 いっぽうで日本のモータリゼーションが黎明期から普及期へ移る1970年代~80年代になると、人々のクルマへの憧れの強さから、そのグレード名に様々な意味を見出すようになり、またメーカー側も「そこ」にプライドやブランド力を込めるようになる。

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 例えば、「GT」や「SPORTS」と聞けば、そのクルマがどんな方向性のモデルかすぐにピンと来るはずだ。特にスポーツモデルのグレード名は、キャラクターを示すだけでなく、乗り手にある種のプライドを感じさせることができる。

 そうした中で、各メーカーはそうしたブランド力をさらに高めた「エース級」のものも登場させ、それぞれの車種だけでなく、メーカーそのものの代名詞となるグレードまで存在した。

 本稿ではそんな、耳にすれば今でもグッとくるグレード名を集めてみた。第一弾として今回は日産、トヨタ、ホンダ、マツダのグレード名を紹介したい。

(昭和に活躍したグレード名を中心に集めましたが、一部平成に入ってから誕生したグレード名も混在しています)
文:大音安弘

■日産 GT-R、SSS、GTi-R、NISMO、グランツーリスモアルティマ、K’s

日産だけでなく、日本自動車界を代表するグレード名「GT-R」。長くトップブランドとしてその名を轟かせ、2007年12月以降は「車名」となった

 日産を代表するグレード名といえば、やはり「GT-R」だろう。一時期他のモデルにも使われたものの(いすゞベレットGTR等)、この名を聞けばほとんどの人がまずスカイラインを連想するはずだ。レース用エンジンをデチューンしたS20型エンジンを搭載した昭和のスーパーヒーローは、平成になりハイテクスポーツカーとして復活。現在はモデル名へと出世している。

世界最高峰のスポーツカーとして君臨する「GT-R」。この「グレード名のほうが車名よりもブランド力を高めたので、車名として独立する」というパターンは、ほかにもスバルWRXや三菱ランサーエボリューションなどがある

 また日産の高性能セダンの代名詞といえば「SSS」がある。これはスーパースポーツセダンの頭文字を取ったもので、2代目ブルーバードから採用された歴史あるグレードだ。当初はスポーツモデルの「SS」も存在したが、その後、ブルーバードのスポーツモデルを象徴するグレードとなり、U12型ブルーバードには「SSS-R」も登場。最後のブルーバードとなる10代目まで、その名は受け継がれた。

U12ブルーバードSSS-R。NISMOで販売したラリーバージョン

 WRCグループAで勝つために投入された(N14型系4代目パルサー)「GTI-R」も外せない名グレード(登場はギリギリ平成の1990年)。ギャレット製の大型ターボチャージャーと大容量インタークーラー、4連スロットルチャンバーや大口径インテークマニホールド等を惜しみなくつぎ込んだ専用チューニングエンジンを搭載し、1990年に登場。堅調な販売を見せるもWRCでは苦戦が続き、一代限りでその名を消すことになる。

パルサーGTI-R

 近年、欧州日産がジュークにGT-Rのパワートレインを押し込んだモンスター「ジュークR」を販売し、話題となったことは記憶に新しい。日本人としては、単にRではなく、GTI-Rの名を与えて欲しかった。それだけで胸を熱くしてしまう名前なのだから。日本では手にすることはできない「ジュークR」。折角だから、日本では「ジュークGTI-R」で登場させませんか、日産さん!

 現代の日産の高性能モデルとして活躍する「NISMO」が登場したのも、実は昭和のこと。7代目(R31)スカイラインの限定車やサニーのスポーツグレードとして投入されている。

 高級セダンのビックネームも忘れてはならない。87年にY31系セドリック・グロリアより登場した「グランツーリスモ」だ。日産独自のスポーツ性の高い高級GTの世界を作り上げた功績は大きい。1991年に登場したY32系セドリック/グロリアからは、2代目F31型レパートに採用された「アルティマ」の名を加えた3.0Lターボモデルの「グランツーリスモ アルティマ」を投入。まさにダブルネームとなった、このグレード名は、セドグロのGTとしてのキャラクターと性能を見事に表現した最強ネームだったと思う。

日産グロリアのグランツーリスモアルティマ。この響きに多くの若者(信じられないかもしれないが当時はそうだった)がこういうクルマに憧れた

 最後に日産の歴史では外せない名スポーツカーグレードにも触れておきたい。それがデートカーとしても驚異的な人気を誇った88年より発売されたシルビアのターボモデル「K’s」だ。このトランプ由来の洒落たネーミングで、自然吸気のベースグレードの「J’s」、その豪華仕様の「Q’s」もあり、2世代に渡って使われた。キング・オブ・シルビアのグレード名として、特別な思い入れがあるファンも多いはずだ。

■ホンダ タイプR、RS、Si、SiR

1992年11月に登場したホンダNSXタイプR。以後、「タイプR」はホンダ内で揺るぎないブランドになってゆく

 ホンダのスポーツグレードの筆頭といえば「タイプR」だろう。1992年11月、初代NSXに設定されたのが元祖となる。クランクシャフトのバランス精度見直しといったエンジンチューンのほか、約120kgの軽量化、重心高の低下などが図られたトップグレードだった。その後、95年にはDC2型インテグラに設定、97年からはシビックに設定され、こちらは現在も販売中。

 またホンダのスポーツグレードというと始祖といえるのが「RS」。それも初代シビックRS。投入された1974年当時、オイルショックや大気汚染などの問題でスポーツカーの風当たりが強かったため、スポーツモデルにも関わらず、RSは「ロードセーリング」の略とし、シビック初のスポーツモデルを世に送り出したのだ。「RS」は現在もフィットやヴェゼルなどに使われており、ホンダ実用スポーツモデルの象徴となっている。

ホンダの初代シビックRS。このRSはなんの略かでクルマ好きの間では話題になった

 こちらもメジャーなグレード名であるが、「Si」もホンダにとっては重要な意味を持つ。S800以来、14年振りの復活となる1.6LツインカムのZC型エンジンを搭載した3代目のワンダーシビックおよびバラードスポーツCR-Xの搭載グレードに与えられたものだからだ。

バラードスポーツCR-XのSi

 その後、4代目のグランドシビックでは、自然吸気エンジンとして驚異的なリッター100psを可能とした可変バルブタイミングリフト機構VTEC付きのツインカムエンジンを搭載。シビックでは「SiR」、インテグラでは「XSi」や「RSi」などの付加価値を示す名称となり、その性能の高さを世にアピールした。

 そんなホンダの4輪から現在、超ド級の自然吸気エンジンは消滅。伝統の「Si」の名は封印されたようだ。

■トヨタ GTV、GT-APEX、GT-FOUR、GPターボ、ツアラーV

トヨタのトップグレードといえばやはり「GT-FOUR」

 トヨタは「GT」を軸にしたスポーツグレード名が多い。

 その中でもモータースポーツで活躍した歴代セリカには、そのキャラクターを強く主張するグレード名が多数存在した。

 初代セリカに設定されたGTVは、高性能な2T-G型エンジン搭載車を軽量化し、強化サスを組みわせたスパルタンなグレード。その名は、「ハチロク」の愛称で親しまれる4代目カローラレビンとスプリンタートレノにも受け継がれ、こちらも競技ベースの色が濃いモデルであった(レビン/トレノに設定された豪華グレードが「GT-APEX」)。

「GTV」も数多く使われたグレード名(写真はAE86のカローラレビン)

 セリカといえば、フルタイム4WD+ターボという強力な武器を手にし、4代目から6代目まで設定された「GT-FOUR」もビックネームだ。

 GT-FOURの名はのちにカルディナのトップグレードでも使われた。スポーツセダン顔負けの高性能ぶりだったレガシィツーリングワゴンのターボモデルに真っ向から勝負を挑んだもので、その知名度は低いが、トヨタが本気で本格スポーツワゴンを目指したものであった。

最終型のカルディナGT-FOUR

 ユニークな名称では「GPターボ」というのもある。これは、カローラII、ターセル、コルサの3ドアハッチバックの「リトラ」の最上級グレードに採用されたもので、なんと3ドアハッチなのに、リトラクタブルヘッドライトを備えたユニークなもの。中身は、スターレットターボなのだが、ヤンチャを感じさせるネーミングがよかった。

 またマーク2/チェイサー/クレスタの代名詞となる「ツアラーV」も忘れがたい。

8代目マーク2のツアラーV。こういうクルマがバンバン売れたんだから、いい時代だった

 1992年に登場した90系のスポーツグレードに冠された「ツアラー」シリーズは、自然吸気エンジンのツアラーS(後に、100系ではツアラーも登場)もあったが、ターボ搭載のツアラーVでは、5速MTが選べたこともポイントが高い。現在に及ぶまで高い人気を誇っている。

■マツダ ロータリー、アンフィニ、GT-X、GT-Ae

1968年11月、マツダとしては(コスモスポーツに次いで)2台目のロータリーエンジン搭載車となったファミリア。「ロータリークーペ」というグレード名(?)だった

 マツダのスポーツグレードの象徴といえば、やはりロータリーエンジンだ。

 搭載車の多くのグレードに、その存在を示すべく「ロータリー」を取り入れることで、その性能の高さを謳っていた。

 他チャンネル化で登場した「アンフィニ」も元々はグレード名。

2代目RX-7(FC3S)に登場した「∞(アンフィニ)」。これで「∞」の読み方を覚えた方も多いのではないか

 2代目サバンナRX-7(FC3S)の2シーター化した限定車としてたびたび登場したことは有名だが、6代目ファミリア(BF)と7代目ファミリア(BG)にも走りのアイテムを装着し、専用チューンを加えた「アンフィニ」が存在していた。もっとマイナーなものではカペラC2にも設定。覚えておられる方もいるだろうか。

 ファミリアといえば、6代目と7代目にフルタイム4WDとターボエンジンを組みわせた高性能モデルがあったが、特に6代目は1985年10月に1.6L、DOHC16バルブターボエンジン搭載に加えて日本初のフルタイム4WD車となる「ファミリア3ドアGT-X」を投入。WRCでも活躍し、そのベース車両として大人気となった。

6代目ファミリア。1985年1月に登場

 またその競技ベースのトップモデルとして「GT-Ae」があった。こちらは装備の簡素化と専用チューンを加えたラリーなどのモータースポーツに最適化されたスパルタングレード。普通車の高性能モデルという特別感があり、モータースポーツ好きなマツダファンにとって忘れられない1台となっている。

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