■ジムニー女子が支えるイマドキのカスタム市場…自作アイテムも重要な要素?
スズキ「ジムニー」の現行モデルが発売されてから、丸5年が経とうとしています。
相変わらず納車まで平均1年待ちという人気車種ですが、同時に巷を走るジムニーの数がどんどん増殖していることに驚かされます。
【画像】謎のジムニー5ドア「究極 車中泊仕様」がこれ! 存在感スゴいそのカスタムを写真で見る!(25枚)
道で出会う多くのジムニーに言えることは、ノーマルのままで乗っているユーザーがほとんどいないということです。
かと言って、先代モデル(JB23型)の時のように、過激なオフロードカスタムをしている車両も少ないように感じられます。
グリルやタイヤ&ホイールなどをちょっと替えるだけの、“ユル系カスタム”が主流です。
ファクターはいろいろあると思いますが、そのひとつが現行モデルのボディデザイン。
ネオクラシックともいえる意匠は、大きくフォルムを変えずとも十分にラギッド感があり、大きく変えすぎると素の良さを失う可能性があります。
現代のデザインとしては画期的とも言える完全スクエアなフォルムは、自動車業界全体を見回しても他に類を見ません。
古典的な四輪駆動車の形状こそがジムニーの魅力であり、それを少しイジることで魅力を増幅させたいと考えるユーザーが多いようです。
第二のファクターは、「ジムニー女子」の市場参入です。
メーカーをして「ここまで女性ユーザーが増えるとは想定していなかった」と言わしめるほど、現行モデルを買い求める女性が増えました。
ジムニー女子に魅力を聞くと、多くの人が「かわいいから」と答えます。
その“かわいい”の中には、丸目であること、クラシカルなスタイル、そして積み木のようなスクエアなフォルムである、といったことが含まれています。
オラ顔のトールワゴンが多い軽自動車業界にあって、スズキ「ラパン」やダイハツ「ムーヴ・キャンバス」のように女性をおもねるような商品でもなく、道具としてのリアルを追求した結果、愛嬌が生まれたデザイン。そこが、現代の女性を魅了しているようです。
そんなジムニー女子たちが行う愛車カスタムも、新たな波をもたらしました。
SNSというツールを使い、“映える”ことを目的にしたカスタムは、男性中心だったジムニー業界の観念を大きく変えています。
彼女たちがまず着手するのが、インテリアのリニューアルです。
マイルームを住みやすく変えるように、市販の専用アクセサリーを付け、オリジナルの小物を置き、シートカバーやトリムを自作していきます。
そんなジムニーカスタムについて、ジムニーイベントに来場していた、ジムニー女子に聞いてみました。
「やはりInstagramやYouTubeを観て、とりあえずここを変えた方がいいとか影響は受けますね。
だから、アクセサリーはまず付けないとダメなんだと思い、納車前にいろいろ買ってました(笑)」
EXEAブランドでジムニー専用アクセサリーを販売している星光産業の担当者に聞いたところ、実際納車よりも先にアクセサリーを購入するユーザーが非常に多いということでした。
ちなみに、こうしたユーザーの間での売れ時筋商品は「ドリンクホルダー」、「リアデフォッガーカバー」、「ドアグリップポケットベース」、「スイッチエキステンション」、「ヘッドレストホルダー」となっているとのことです。
こうした既存商品に加えて、自作したインテリアや小物を置くことで、満足のいく車内空間を創り上げていきます。
ダッシュボード上にホビー系アイテムを置くのも、ジムニー女子の特徴のひとつです。
エクステリアでジムニー女子がこだわるのが、フロントグリルです。
ジープのセブンススリットを模したノーマルグリルは、あまり人気がありません。
DAMDやAPIO、アウトクラスカーズといったカスタムブランドのグリルの装着率が非常に高くなっています。
これらに共通して言えるのは、クラシカルデザインを採用していることです。
クラシカルと言えば、スチールホイール風、いわゆる「鉄っちん」デザインのアルミホイールも人気のアイテムです。
こうした“70・80年代デザイン”が若いジムニーファンを魅了するのは、そこに未知の価値観やゆるさがあるからだといいます。
「お父さんの時代に当たり前だったデザインは私たちには新しく見えるし、今はシャープなデザインが多いから、クラシカルな雰囲気にすれば何となく肩の力を抜いて乗れる気がするんですよね。
周りには顔付きが鋭い軽自動車が好きな子もいるんですが、それでアオられたりするらしいんです。
でも、こういったジムニーは脱力系なのか、他のクルマにイジメられることがまずありませんね(前出のジムニー女子)」
■泥臭さから一変…女子力高めなカスタムにも注目!
SNSで交流するジムニー女子はますます増えており、最近ではこうしたユーザーが主催するイベントが開かれるほどとなっています。
会場では、自作したジムニー用のアイテムが販売されるのがメインで、メーカー系の出展はほぼありません。
来場者も、昔のように悪路を走るための完成度の高いチューニングをどれだけしているのかを競うのではなく、オリジナリティ溢れるユルめの愛クルマ造りにどれだけ共感してもらうかということが会場に来る主眼となっているようです。
昨今では、少しだけリフトアップをする「チョイ上げ」もジムニー女子に広がっており、これも走行性能の向上よりも全体フォルムをかわいくするためという目的の人が多いといいます。
かつてのジムニーカスタムは、つなぎを着た泥臭い男性ユーザーのものというイメージが強かったのですが、最近ではメーカーもジムニー女子の存在を無視できなくなり、その層を意識した商品をリリースしたり、カスタムメニューを作るメーカーやショップが増えています。
ジムニーカスタムに限っていえば、男女を問わず、IKEAでラグを買って替えるような感覚で、“チョイ替え”するユーザーがますます増えていくのかもしれません。
そしてその傾向は、ファミリー層の取り込みが期待できるジムニー5ドアの登場によって、ますます加速する気がします。
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