2025年春スタートの決済サービス
JR西日本の新たなコード決済サービスWesmo!(ウェスモ)が、2025年春にスタートする。既存の交通系電子マネーのICOCAではなく新ブランドを立ち上げたことで、サービス開始の公表から注目を集めてきた。
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Wesmo!加盟店のほか、JCBが提供するQR・バーコード決済サービスSmart Code加盟店でも使用できるようになっている(一部店舗や商品を除く)。Wesmo!加盟店では、BLUEタグにタッチする、BLUEタグのQRコードを読み取る、あるいは店舗にQRコードを提示するの、いずれかの方法で決済できるように工夫されている。この自在性の高さは、PayPay、楽天ペイ、d払いなど、既にさまざまなコード決済があるなかでの出発であり、後発組ならではといったところだろう。
また、特に加盟店に向けたサービスの違いを全面に出しており、JR西日本のやる気もみてとれる。初期費用や固定費用無料に加え
・1.9%(税別)という業界最安レベルの手数料
・売上金の最短翌日での受け取り(Wesmo!が提供するBLUEタグを使用した決済のみ)
・Wesmo!の残高を仕入れ先などへ無料で送金
と手厚い。コード決済普及のカギとなっている中小の店舗を意識しているといえよう。PayPayなど既存勢力にどこまでくいこめるのか興味深々である。
JR西日本が描く決済サービスの未来
JR西日本によるコード決済サービスは、中期経営計画2025における新たな事業の創出のひとつだ。
交通系電子マネーのモバイルICOCA、クレジットカードのJ-WESTカード、Wesmo!に加え、グループ会社のポイントサービスなどが、2023年3月にスタートした新たな会員サービスWESTERでつながり、ポイントの相互利用など便利なサービスが面で広がることとなる。なお、2023年春から各ポイントサービスのID統合が進められている。
Wesmo!は、企業間取引のほか、従業員への給与支払い、自治体からの補助金給付などのキャッシュレス化も視野に入れており、営業エリアの西日本を舞台に未来型のまちづくりに挑戦するとしている。
さらには、収集したビックデータを元に、他の鉄道会社や親和性の高い産業領域へ横展開するデータインフォームドコンサルティング事業の拡大も計画。京阪神や西日本エリアの特性にマッチしたコンサルティング力のカギは、JR西日本が提供するサービスの利用者と加盟店をいかにして増やしていくかにかかっているといえよう。
WESTER会員数でいえば、2023年度末で計画600万人に対し実績811万人と上振れていた。さらには、2025年2月末時点で1000万人を突破。一度引き上げられた2027年度末の会員数目標1100万人も余裕でクリアできる勢いであり、順調な滑り出しといっていい。
JR東日本はSuicaブランドで決済サービス開始予定
もちろん、JR東日本もコード決済サービスを計画している。
今後は、2026年秋頃をめどにSuicaアプリによりコード決済サービスを開始。2027年度までにモバイルSuica、クレジットカードのビュー、えきねっと、JRE MALLなど顧客IDを統合する。2028年度からは新たにリリースする「Suicaアプリ(仮称)」を軸としたシームレスなサービスを展開するとしている。
ただ、既存のSuicaを進化させるにはセンターサーバー化による新しいプラットフォームの構築が必要であり、最終形のサービス開始が2028年度と遅くなる。とはいえ、Suica経済圏が出来上がると、その規模5000万人ともいわれており、ある意味革命的な出来事といっていいかもしれない。
JR東日本の戦略は、既存のSuicaの進化であり、将来のサービスの中心にはSuicaブランドがある。JR西日本の場合、サービスの中心は既存の交通系電子マネーのICOCAではなく会員サービスWESTERであり、この点が大きく異なるといえる。WESTER会員数の2027年度末の目標1100万人に対し、モバイルICOCAの会員数は2025年2月末で270万人を超えたばかりであり、知名度やユーザー数からしてもICOCAを中心に据えるのは難しい面もある。
また、ICOCAシステムの改修コストのほか、決済サービス開始時期の早期化を考慮すれば、コード決済サービスを新ブランドで立ち上げたのは正解だろう。
約300兆円をどこまで取り込めるか
キャッシュレス決済は、今後も成長が見込まれる分野であり、政府はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げている。
キャッシュレス決済比率は年々上昇しており、2023年の実績では、39.3%(126.7兆円)だった。数字だけみると、政府目標を上回るペースで増加しているといえる。内訳をみると、
・クレジットカード:83.5%(105.7兆円)
・デビットカード:2.9%(3.7兆円)
・電子マネー:5.1%(6.4兆円)
・コード決済:8.6%(10.9兆円)
となっている。クレジットカードが圧倒的に多く、コード決済の比率は8.6%と少ない。しかしながら、コード決済の2018年の実績0.2%(0.2兆円)からすると、わずか5年で成長を遂げていることがわかる。
クレジットカードの比率が高いのは1回あたりの決済額の大きさも関係しており、コード決済事業者も上限額の引き上げなどにより、クレジットカードの利用者を取り込む戦略をとっている。例えばPayPayは、2024年11月に、50万円/回・過去24時間から100万円/回・過去24時間に引き上げている。
ちなみに、JR西日本のWesmo!は、本人確認後であれば決済限度額が50万円/回・日、100万円/月だ。コード決済も、高額利用できる時代になったといっていい。キャッシュレス決済以外の民間最終消費支出が約200兆円、クレジットカード決済分約100兆円をあわせると約300兆円となり、コード決済が需要を掘り起こす余地は存分にある。
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みんなのコメント
自動入金ではないので手間がかかります。
JR西は既にICOCAというICカード決済が存在するのに利便性が悪化するQRコード決済には魅力を感じません。