現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 意外なほどホットハッチ──新型ホンダ フィットe_HEV RS試乗記

ここから本文です

意外なほどホットハッチ──新型ホンダ フィットe_HEV RS試乗記

掲載 13
意外なほどホットハッチ──新型ホンダ フィットe_HEV RS試乗記

一部改良を受けたホンダ「フィット」に追加されたスポーティな「e_HEV RS」に小川フミオが試乗した。

“和製フォルクスワーゲン ゴルフGTI”

32歳、35年落ちコルベットを買う──Vol.21 半年間の維持費

マイナーチェンジを2022年10月に受け、パワーアップしたホンダの新しいフィット。新設されたe:HEV RSは、おとなっぽい走りが楽しめるモデルで、“和製フォルクスワーゲン ゴルフGTI”といったおもむきもある。

2019年に発売された4代目フィット。今回のマイナーチェンジで排気量が1.3リッターから1.5リッターにアップ。眼目はバリエーションの充実にあるようで、好例は「走りの質にこだわった」(ホンダ)という「e:HEV RS」(以下RS)なのだ。

e:HEVというパワートレインは、ホンダ独自のもの。エンジンと、駆動用と発電用の2基の電気モーターの組合せ。エンジンは、通常は駆動用バッテリーの充電のために動き、高速など負荷が強い(アクセルペダルの踏みこみ量が多いとか)ときのみ駆動に使われる。

RSは、シャシーこそシリーズ全体と共用であるいっぽう、ドライブモードに「スポーツ」を新設すると同時にパワーの制御ロジックを変更。あわせてサスペンション・システムに手をいれ、スプリング、ダンパー、前のスタビライザー、それにブッシュを専用とした。

「狙いはRS(ロードセーリング)の味を出すことにありました」

開発を担当したチーフデザイナーの奥山貴也氏は語ってくれた。

「やたらスポーティな走りに特化するのではなく、乗る方とクルマとの一体感を追求しました。すべての道で、全方位的に調和のとれた乗り味が持ち味だと思っています」

カーブを曲がっていくときは、めったやたらに楽しくても、乗り心地が硬くて、ふだん使いだと疲れてしまう……そういうクルマにしないよう心がけたのだそう。

試乗したe:HEV RS。前輪駆動のみの設定。操縦すると、「なるほどそのとおり!」と、思った。

トルクがたっぷりあるモーターのおかげで発進は力強く、アクセルペダルを踏み続けると、ぐんぐんと息つぎなどなしに高速まで加速していく。驚くほどのなめらかさだ。

サスペンションは専用であるものの、けっしてスポーツ性能に特化した感じはない。高速道路や一般道を流れに乗って走るときは、しなやかに動き、路面からの突き上げはていねいに吸収してくれるかんじだ。

いっぽう、カーブを曲がるときは、車体の傾きを抑え、安定した挙動を見せてくれる。前出のチーフエンジニアの言葉どおり、ステアリングはやたらクイックだとか、そういうことはないのだけれど、とくに高速道路の本線合流時にあるカーブのような中速コーナーだと、車体の反応はいいし、トルクがしっかり出るし、「なるほどこれが一体感か」と、思わせてくれる。

フィットはもっとおもしろくなりそうだRSが真価を発揮するのは、もうひとつ、高速でのクルージングだ。モーターからエンジンへのバトンタッチがされても、ほとんどわからない。山岳路で強めに踏んだときはさすがにやや耳につくこともあったけれど、ふだん使いではまったく気にならない。

加速はモタつきがいっさいなく、みるみる速度が上がっていくのは驚くばかり。高速巡航では、乗り心地もしっかりしていて、フワフワしたかんじはいっさいなし。操舵感も同様。欧州で販売するだけあって、ドイツ車と競合できるぐらい、しっかり感があると私は思った。

ベースが150万円台からあるフィット(ガソリン仕様ふくむ)なので、ドアの閉まり音など、どうしても、いまひとつ上質感が足りない部分はある。そこは残念だけれど、ふだん乗っていて飽きはこない。

同時に登場した「e:HEV LUXE」(革内装)など、従来と基本がおなじモデルも、よく走る。RSに対し、足まわりの設定がやや快適に感じられたものの、不快な揺れは抑えられていて、今回のマイナーチェンジでも「基本はほぼ変えなかった」(チーフデザイナーの奥山氏)という理由がわかる気がした。

RSは燃費がリッターあたり27.2km(WLTC)というのも、かなりなもの。価格は234万6300円となる。そのほかのフィットe:HEVは「BASIC」(199万7600円~)、「HOME」(217万5800円~)、「CROSSSTAR」(242万2200円~)、そして「LUXE」(249万9200円~)。

RSは、近い将来、ガソリン・エンジンを搭載したモデルが追加になるとか。「そのさきにもっとパワフルなモデルだってあるかもしれません」

さきのチーフエンジニア、奥山氏はクルマ好きとして気になることを口にした。

フィットはこれからもっとおもしろくなりそうだ。でも、いまe:HEV  RSを買っても、損した気にはならないと思う。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

こんな記事も読まれています

ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
motorsport.com 日本版
エンジン再現準備完了!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
エンジン再現準備完了!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
「考えるクルマ」にピンクのファーまとうフィアット500も、奇才「Mr Brainwash」の車アート展が米LAで開幕
「考えるクルマ」にピンクのファーまとうフィアット500も、奇才「Mr Brainwash」の車アート展が米LAで開幕
レスポンス
『ディフェンダー』が2026年からダカールラリーにワークス参戦。2025年は車両パートナーに
『ディフェンダー』が2026年からダカールラリーにワークス参戦。2025年は車両パートナーに
AUTOSPORT web
華麗なラリーアクションの栄光を振り返る。2024年英「王立自動車クラブ・ヒストリック・アワード」の受賞者が決定
華麗なラリーアクションの栄光を振り返る。2024年英「王立自動車クラブ・ヒストリック・アワード」の受賞者が決定
LE VOLANT CARSMEET WEB
下半身不随のロバート・ウィケンスがIMSA GTDデビューへ。シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで5戦に出場
下半身不随のロバート・ウィケンスがIMSA GTDデビューへ。シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで5戦に出場
AUTOSPORT web
新型BMW X3が日本デビュー! 価格は798万円から
新型BMW X3が日本デビュー! 価格は798万円から
Webモーターマガジン
その印象的な広さと実用性が高評価に。「フォルクスワーゲンID. Buzz 7」が「Top Gearアワード」で受賞!
その印象的な広さと実用性が高評価に。「フォルクスワーゲンID. Buzz 7」が「Top Gearアワード」で受賞!
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ「セリカ」復活へ! 世界初の「画期的ユニット」&日本初の「ターボエンジン」に「斬新システム」採用! “スペシャルティカー”を支えてきた革新的技術とは?
トヨタ「セリカ」復活へ! 世界初の「画期的ユニット」&日本初の「ターボエンジン」に「斬新システム」採用! “スペシャルティカー”を支えてきた革新的技術とは?
くるまのニュース
2024年のF1もいよいよ残り2戦……今年最後のスプリント戦は、下馬表通りマクラーレン有利なのか?|F1カタールGP DAZN配信スケジュール
2024年のF1もいよいよ残り2戦……今年最後のスプリント戦は、下馬表通りマクラーレン有利なのか?|F1カタールGP DAZN配信スケジュール
motorsport.com 日本版
B+COM(SB6XR/SX1/ONE/SB6X)用の最新ソフトウェアアップデートが配信された!マイク入力感度調整が可能に!
B+COM(SB6XR/SX1/ONE/SB6X)用の最新ソフトウェアアップデートが配信された!マイク入力感度調整が可能に!
モーサイ
内燃機も電気も、モーターは冷やすことがキモ?
内燃機も電気も、モーターは冷やすことがキモ?
バイクのニュース
20種類以上の電動モビリティに乗れる! 体験施設「eモビリティパーク東京多摩」が11/29にオープン
20種類以上の電動モビリティに乗れる! 体験施設「eモビリティパーク東京多摩」が11/29にオープン
バイクブロス
中央道の「地獄渋滞ポイント」ついに「3車線拡幅」着工へ!? 大混雑の「三鷹バス停」で対策工事がスタート間近 「すぐ完成」にならない複雑な事情も!?
中央道の「地獄渋滞ポイント」ついに「3車線拡幅」着工へ!? 大混雑の「三鷹バス停」で対策工事がスタート間近 「すぐ完成」にならない複雑な事情も!?
くるまのニュース
【F1第22戦無線レビュー(1)】ガスリー、3番手から無念のリタイア「ついてなかった……」オコンもピットミスに泣く
【F1第22戦無線レビュー(1)】ガスリー、3番手から無念のリタイア「ついてなかった……」オコンもピットミスに泣く
AUTOSPORT web
プラレール号の記録簿 vol.6:主治医の存在
プラレール号の記録簿 vol.6:主治医の存在
外車王SOKEN
BMWの新車は工場内を無人で移動、自動運転技術の実用化が進む
BMWの新車は工場内を無人で移動、自動運転技術の実用化が進む
レスポンス
福島 宮城の“バイパス”本復旧にメド 国道349号「丸森の別ルート」開通見込み立つ 台風被害から5年 難所をトンネルで迂回
福島 宮城の“バイパス”本復旧にメド 国道349号「丸森の別ルート」開通見込み立つ 台風被害から5年 難所をトンネルで迂回
乗りものニュース

みんなのコメント

13件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

172.0250.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1290.0万円

中古車を検索
フィットの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

172.0250.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.1290.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村