■モーター走行による加速と静かさが高評価となり大ヒット
現行モデルの日産「ノート」は2012年に登場し、発売から8年近く経過していますが、2019年1月から12月の新車販売台数では11万8472台を記録。登録車ではトヨタ「プリウス」に次いでランキング第2位となり、好調な販売を続けています。
日産が「e-POWER」に続く技術名称を発表! その名も「e-4ORCE」ってなんて読む?
ノートが売れている大きな要因としては、2016年より追加されたシリーズ式ハイブリッドの電動パワーユニット、「e-POWER」搭載グレードの人気が挙げられます。
日産によると、e-POWER追加後は約3週間で月間販売目標の2倍となる2万台を受注。そのうちの78%がe-POWERモデルと、登場と同時の大ヒットだったそうです。
また、2016年11月の月間販売台数でノートは1万5784台を記録し、軽自動車を含めた月間新車販売台数で1位に輝きます。
同社が月間新車販売台数で首位となったのは、6代目「サニー」以来、30年ぶりの快挙でした。
e-POWERというネーミングも新しい感覚で、その販売推進に貢献したようです。
また、2018年には「セレナ」にe-POWERモデルが追加され、年間9万9865台を販売。国内のミニバン販売台数第1位となりました。
ノートとセレナを一躍ヒット車種へ押し上げた日産独自のe-POWERシステムには、他社のハイブリッドシステムとどんな違いがあるのでしょうか。
まず、プリウスに代表される従来型のハイブリッドカーは、発進時や低速走行時はモーターだけで走行し、高速走行時などはエンジンをモーターがアシストする仕組みで、燃費を向上させています。
一方で、e-POWERのエンジンは発電に徹し、基本的にはモーターのみで走行します。
発電用のエンジンは、従来型ノートの1.2リッター直列3気筒エンジンを改良したものが採用されており、燃料はあくまでガソリンで、電気自動車のように外部から駆動用バッテリーへ充電する必要はありません。
また、定速走行時の発電ではエンジンがもっとも効率よく稼働する回転数に制御され、燃料消費を抑えています。
そして、モーターによる走行には「加速性能」と「静粛性」が高いという、大きな特徴があります。
エンジン走行の場合、回転が上がるにつれて出力・トルクも上がっていきますが、モーターの場合は発進時から最大トルクを発揮します。
そのため、アクセル操作に対する反応が良く、高速道路の合流時や追い越し時の急な加速がスムーズです。
また、トランスミッションを搭載していないため、ギアが変わるタイミングでの減速や
変速ショックもありません。
さらにノートを例に挙げると、e-POWER駆動用モーターの最大出力は80kWで、これは同社の電気自動車「リーフ」と同出力ですが、リーフは車両重量が1490kgから1680kgなのに対し、ノートe-POWERは1190kgから1310kgと、300kg近く軽量です。
リーフもその加速性能で高い評価を得ましたが、ノートe-POWERでは軽量化によってさらなる加速力を手に入れています。
■静粛性の高さで家族ユースに人気
e-POWERモデルのもうひとつの特徴である静粛性について、日産の販売店スタッフは以下のように話します。
「とくに、アクセルを踏み込んでエンジンが高回転となっても静かという点は評判が高く、クルマにそこまで詳しくないという女性の方でも気が付いてくださることが多いです。
ノートやセレナを選ぶお客様は、小さなお子さまがいるご家族も多いので、子どものために静かなクルマが良いという方にピッタリだと思います」
エンジン音が好きというユーザーはいるものの、ノートの購買層には静粛性の高さはウケが良いようです。
また、登場から現在まで続くe-POWERの人気について、前述とは別の日産販売店スタッフは以下のように話します。
「ガソリン車ではなかなか実現の難しい『加速力』と『低燃費』の両立というのが、人気の理由だと思います。
ノートやセレナは圧倒的にファミリーユースが多いのですが、走りを楽しみたいご主人と低燃費を好む奥さま、両方に納得頂けるのが強みです。
ニスモモデルであれば、サーキット走行でも遜色ないパワーを発揮しますので、走り好きな方からの評価も高いです。
また、電気自動車に興味はあるけど給電方法など実際の使い勝手が不安という方は多いのですが、従来通りガソリンを給油すれば良いため、使い勝手がイメージできるという評価も多くいただきます」
ちなみに、ノートe-POWER車の燃費はJC08モードで28.8km/Lから37.2km/L、セレナe-POWERはJC08モードで23.4km/Lから26.2km/Lと、かなり優秀な値です。
また、乗ってすぐにわかる上級車のような静かさや、スポーツモデルに匹敵する力強い加速感と走り、発進から停止までアクセルペダルのみでおこなえる先進性、そして実用燃費の良さなど、既存モデルながら新世代感覚の乗り味を楽しめるところがユーザーからの高い支持を受けています。
加えて、EVにとってネックとなる充電インフラを気にしなくていいことも、大きなポイントとなっているようです。
※ ※ ※
人気コンパクトカーとして君臨するノートe-POWERですが、2020年2月にはトヨタから新型「ヤリス」、ホンダから新型「フィット」が発売されており、ノートがいままでのような好調をキープするのは難しいでしょう。
とくに燃費では、ヤリスは世界トップクラスを誇り、より実燃費に近い測定方法であるWLTCモードでも最大36.0km/Lを発揮します。
また、セレナの2019年の販売台数は9万2956台と好調を維持していますが、ミニバンではトヨタ「シエンタ」にリードを許しています。
日産によると今後、e-POWER搭載車は増えていくとのことですが、販売台数ランキング上位のほとんどをトヨタ車が占めているなかで、日産はどこまで立ち向かえるのでしょうか。
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みんなのコメント
高度な技術とか、究極の効率性の追求とか、買う人には実はあまり関係なかった事を示してる。