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ランボルギーニの攻撃的技術アプローチをアヴェンタドールSとウラカン ペルフォルマンテに見る 【Playback GENROQ 2018】

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ランボルギーニの攻撃的技術アプローチをアヴェンタドールSとウラカン ペルフォルマンテに見る 【Playback GENROQ 2018】

Lamborghini Aventador S × Huracan Performante

ランボルギーニ アヴェンタドールS × ウラカン ペルフォルマンテ

ランボルギーニの攻撃的技術アプローチをアヴェンタドールSとウラカン ペルフォルマンテに見る 【Playback GENROQ 2018】

攻撃的技術アプローチ

危うさもその魅力の一部と認識されていたランボルギーニだが、ウラカンをアウディと共同開発する頃から完全に生まれ変わった。今や命がけで速く走ることを強いない最新レーシングカーのごときその振る舞いの源泉はどこにあるのか、秘密を明らかにしよう。

「究極のウラカンには、さまざまな新技術が搭載されている」

デビュー以来、世界のスーパースポーツ・ファンから常に熱い視線を集めているのが、ランボルギーニ ウラカンのハイエンドモデルとして追加されたペルフォルマンテだ。ニュルブルクリンクのノルトシュライフェで、6分52秒01という当時の市販量産車最速レコードを記録したウラカン ペルフォルマンテ。この究極のウラカンには、さまざまな新技術が搭載されている。

その中でも特に注目されるのが、ALA(エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ)と呼ばれる、可動式のエアロデバイスだ。フロントスポイラーとリヤウイングに内蔵されたフラップやバルブを開閉することで、ダウンフォースとドラッグを最適化。さらにリヤウイング内では左右に独立した制御も行われ、それによってエアロベクタリングの効果を生み出すことにも成功した。ニュルブルクリンクでの驚異的なラップライムは、ミッドに搭載されるV型10気筒エンジンがスタンダードなウラカンから30ps強化されていることや、さらなる軽量化が図られたことを勘案したとしても、やはりこのエアロダイナミクスが最も大きく貢献したものと評するほかはないだろう。

ペルフォルマンテのエクステリアとインテリアは、そのパフォーマンスへの期待を大きく高めてくれるもの。とりわけ軽量なアルカンターラを用いたスパルタンなインテリアは、カスタマーの闘争心を刺激するところ。エアコンの吹き出し口などには、フォージド・コンポジットが採用され、現在のランボルギーニがカーボン素材の研究開発において、世界をリードする存在であることを主張する。

「誰もが驚愕するアヴェンタドールSのパフォーマンス」

一方でランボルギーニ伝統の12気筒ミッドシップモデルも、最新世代のアヴェンタドールにおいて、さらにその魅力を高めている。アヴェンタドールは、カーボンモノコックを基本構造体に採用し、さらにカウンタッチから長年継承されてきた、独特なパワーユニットの搭載方法を改めた、まさに画期的なスーパースポーツとして誕生したが、その正常進化型たるアヴェンタドールSのパフォーマンスは、やはり誰をも驚愕させるものだった。

Sのエクステリアはそれまでのデザインを基本に、新たに独自のディティールを与えたもの。フロントのバンパースポイラーやリヤのディフューザー、3つのポジションに可変できるアクティブリヤウイングなどは、その代表的な例。ランボルギーニによれば、空力効率を50%以上向上させることに成功したという。

6.5リッターのV型12気筒エンジンはさらに10psが強化され740psの最高出力を発揮。トランスミッションはISRと呼ばれるシングルクラッチ式の7速で、駆動方式は電子制御多板クラッチを使用したAWDとなる。シャシーまわりでの大きな進化は、4WDシステムのLRS(ランボルギーニ・リヤホイール・ステアリング)。その効果は実際の走りの中でもダイレクトに感じられ、アヴェンタドールSにコーナリングマシンとしてのさらなる魅力を生み出してくれた。現在ではもはや孤高の存在となったV型12気筒自然吸気エンジンをミッドに搭載するスーパースポーツ。その独自性と存在感は、これからも変わることはないだろう。

Huracan Performante:Aero Daynamics

エアロ・ベクタリングという新技術

ペルフォルマンテに採用されたテクノロジーで、最も大きな話題を呼んだのが、イタリア語で翼を意味するALAの名が掲げられた、エアロダイナミクスの可変デバイスだ。正確にはエアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァを意味するALAは、フロントスポイラー内のフラップや、フォージドコンポジット素材で成型されたリヤウイング内のエアの経路を変化させることで、常に走行状態にベストなエアロダイナミクスを実現してくれるもの。

リヤウイングでの制御は左右独立で行われ、コーナリング時には左右のダウンフォース量に差をつけることで、エアロ・ベクタリングの効果を生み出す。ALAがどのように制御されているのかは、メーターパネル内のインジケータでもそれを確認できる。

Huracan Performante:Powertrain

5.2リッター自然給気から640psを絞り出す

ウラカン ペルフォルマンテに搭載されるエンジンは、5.2リッターV型10気筒自然吸気。基本的なスペックは、スタンダードなウラカン用のそれと変わらない。最高出力はさらに30psが強化され、640psという数字になったが、そのためにチタン製のバルブや、独自の吸排気システムを採用するなど、チューニングは広範囲に及んでいる。

組み合わされるトランスミッションは、デュアルクラッチ式の7速。駆動方式は電子制御多板クラッチをセンターデフに使用したAWDとなる。ドライバーはステアリングホイール上のスイッチで「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」の各ドライブモードを選択できる。そのモード選択によって、パワーユニットも明確にキャラクターを変化させる。

Huracan Performante:Chassis

スタンダードからさらに強化

サスペンション形式は前後ともダブルウィッシュボーンとなる。ダンパーのキャラクターはANIMAでのドライビングモード選択にリンクして変化し、ストラーダモードではスーパースポーツとしては驚くほどの快適性が、またスポーツやコルサでは、いかにも走るために生まれたマシンといった印象のハードテイストを味わうことができる。

20インチ径のタイヤは、ピレリによって専用開発されたものだ。ウラカンで採用された、アルミニウムとカーボンによるハイブリッド構造のプラットフォームは、このペルフォルマンテにも当然継承されている。ただし、そのディティールには補強のための対応策が見られ、スタンダードモデルに対して実に最大値では750%増(!)となる強大なダウンフォースに対応している。

Aventador S:Powertrain

出力がさらに高まったエンジン

これは10気筒モデルのウラカンにも共通する事情だが、ランボルギーニは最近車名の表記を変更し、かつてのように最高出力と駆動方式を表す数字は、車名には添えられなくなった。ちなみにアヴェンタドールSに搭載されるエンジンは、それまでのアヴェンタドールから、さらに40psを強化した740ps仕様の6.5リッター版V型12気筒自然吸気。

レブリミットも8350rpmから8500rpmへと引き上げられた。VVT(可変バルブタイミング)やVIS(可変インテーク)などの制御をさらに最適化するなど、エクストラパワーを得るために、さまざまなテクニックが講じられている。組み合わせられるトランスミッションは、シングルクラッチ式の7速ISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)。駆動方式はAWDとなる。

Aventador S:Chassis

流行の後輪操舵を装備

プッシュロッド式のサスペンションを採用しているのは、従来型のアヴェンタドールと同様だが、もちろんSにはさらに進化したサスペンションが与えられている。新たに与えられたLMS(ランボルギーニ磁気粘性サスペンション)などは、その代表的な例。ダブルウィッシュボーンを構成するアルミニウム製の上下アームやホイールキャリアなどは、それに対応してデザインが見直され、リヤのスプリングもそのセッティングが変化した。

このLMSを始め、ESCなどシャシーを構成するシステムは、すべてLDVA(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・アッティーヴォ)で統合制御される仕組みとなっている。4WSシステムのLRSが新採用されたことも大きな話題。その効果は誰もが容易に理解できるはずだ。

Aventador S:Aero Daynamics

デザインと技術の融合

シャーク=鮫のデザインを意識したという新デザインのフロントバンパースポイラー、そしてリヤの可変式ウイングやディフューザーなどが、アヴェンタドールに高い空力性能を実現している。その一方でクンタッチなど往年の名車に着想を得た、趣味性の強いディティールをエクステリアに提案してくるデザインチームのテクニックは、大いに評価されるべきものだろう。

ランボルギーニによれば、新デザインのフロントスポイラーによって、前輪側のダウンフォース量は従来型比で130%増に。また空力効率はアクティブリヤウイングが最大のダウンフォースを発生する状態で、50%の向上を果たしているという。この優秀なエアロダイナミクスは、350km/hの最高速を可能にするために大いに貢献した。

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
PHOTO/菊池貴之(Takayuki KIKUCHI)/市 健治(Kenji ICHI)/Lamborghini S.p.A
COOPERATION/ランボルギーニ麻布

【SPECIFICATIONS 】

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ

ボディサイズ:全長4506 全幅1924 全高1165mm
ホイールベース:2620mm
乾燥重量:1382kg
エンジン:V型10気筒DOHC
総排気量:5204cc
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7
最高出力:470kW(640ps)/8000rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前245/30R20(8.5J) 後305/30R20(11J)
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
環境性能(EU複合モード)
燃料消費率:13.7L/100km
CO2排出量:314g/km
車両本体価格:3416万9904円

ランボルギーニ アヴェンタドールS

ボディサイズ:全長4797 全幅2030 全高1136mm
ホイールベース:2700mm
乾燥重量:1575kg
エンジン:V型12気筒DOHC
総排気量:6498cc
ボア×ストローク:95.0×76.4mm
圧縮比:11.8
最高出力:544kW(740ps)/8400rpm
最大トルク:690Nm(70.4kgm)/5500rpm
トランスミッション:7速SCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前255/30ZR20(9J) 後355/25ZR21(13J)
最高速度:350km/h
0-100km/h加速:2.9秒
環境性能(EU複合モード)
燃料消費率:16.9L/100km
CO2排出量:394g/km
車両本体価格:4490万4433円

※GENROQ 2018年 2月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

1件
  • アウディの4駆技術が入ったのはガヤルドからじゃなかったっけ?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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