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【海外試乗】フォルクスワーゲンT-クロスは、快適な乗り心地と優れたスペースユーティリティを提供するコンパクトSUV

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【海外試乗】フォルクスワーゲンT-クロスは、快適な乗り心地と優れたスペースユーティリティを提供するコンパクトSUV

SUVの人気が高いことは、続々と登場するニューモデルからもわかる。今後、さらに市場が拡大するであろうコンパクトSUVの注目モデルに試乗した。(Motor Magazine 2019年5月号より)

ボディサイズはポロとほぼ同等
目下、急激に拡大中のコンパクトSUV市場だが、フォルクスワーゲンは今後10年で、その規模がさらに2倍にまで膨らむと見ているという。T-クロスは、そうした最重要市場に切り込むニューモデルである。

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ポロと共通のモジュラーユニット“MQB A0”を使った車体は全長4108×全幅1782×全高1584mmと、ポロより全方位に少しずつ大きいが、それでも十分に扱いやすいサイズに収まっている。ホイールベースは2551mm。地上高が上がった分、微妙に変化しているが実質的にはポロと一緒だ。

室内に乗り込んで、ポロからのサイズアップ分以上に広く感じられるのは、やはり室内高が格段に大きいからだろう。アップライトなドライビングポジションは気持ち良く、視界も開けている。前席よりヒップポイントを15cmも高くした後席は14cmの前後スライドも可能で、想像以上にリラックスして過ごせる空間だといえる。

ラゲッジルーム容量もポロより広く、385-455Lを確保。60:40分割の後席バックレストを倒せばそのフラットなスペースに最大1281Lを飲み込む。前方に折り畳める助手席バックレストもオプションで用意され、長尺物を室内に積みたいというニーズにも応えるなど、SUVとしての使い勝手の追求にも抜かりはない。 

パワートレーンは、これもポロと同じく1L直列3気筒ガソリンターボが主力。2種類のスペックが用意されるうち、日本向けは最高出力115psの仕様に7速DCTの組み合わせとなるだろう。駆動方式はFFのみ。日本では4WDが欲しいところだが、設定される可能性は低そうだ。

FFモデルで優れた快適性。存在感もしっかりと演出
驚いたのが、その走りっぷりだ。単なる“背の高いポロ”ではなく、独自の個性と魅力がしっかり宿っている。動力性能はまさに十分で、充実した低中速トルクと7速DCTのダイレクトなレスポンスのおかげで小気味良く走る。

3名乗車でも市街地から高速道路までストレスを感じることはなかったし、ワインディングロードでもSPORTモードに切り替えて、アクセルペダル操作の反応を敏感にするだけで活発な走りが楽しめた。

しかも嬉しいことに、室内がとても静かなのだ。エンジンのカプセル化や騒音の侵入経路を徹底的に防ぐなどの徹底した対策が功を奏して、クラスの水準を凌駕する静粛性を獲得しているのである。 

ライドコンフォートにも目を見張った。ポロより地上高が40mm高いサスペンションは柔らかめにセットされていて、豊かなストロークを感じさせる。試乗車は18インチタイヤを履いていたが、それでも乗り心地は上々。

決してフワフワしているわけではなくタイヤの接地感は常に失われないし、むしろ穏やかな姿勢変化のおかげでクルマの挙動が掴みやすいからコーナーの連続を駆け抜けるのだって想像以上に愉しめるのだ。

運転支援システムも充実。歩行者検知機能付きの衝突回避・支援システムや車線逸脱警告などは全車に標準装備。オプションでアダプティブクルーズコントロールや駐車アシスト機能も設定される。

サイズは小さいものの大型のラジエターグリルや分厚い下半身のボリューム、ショルダーラインが強調されたサイドビューに左右を繋いだテールランプ等々の造形の力もあり、見た目には結構な存在感がある。しかもユーティリティに優れ、走り良く、装備も充実しているのだからこのTクロス、激戦のコンパクトSUV市場において相当なアピール力を持った1台に仕上がっていると言える。

日本上陸は本年末から来年初頭を目指しているという。もしも200万円台後半の値付けが実現できれば、日本勢に対する有力な対抗馬となることは間違いない。(文:島下泰久)

■フォルクスワーゲンT-クロス1.0TSI主要諸元
●全長×全幅×全高=4108×1782×1584mm
●ホイールベース=2551mm
●エンジン= 直3DOHCターボ
●排気量=999cc
●駆動方式=FF
●トランスミッション=5速MT/6速MT/7速DCT

[ アルバム : フォルクスワーゲンT-クロスの世界 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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