ボルボの新型SUV「EX30」で京都から東京550kmの旅 実際の長距離ドライブはどうだった？ EVで走り切った“ホンネ”とは

注目の電気自動車SUV ボルボ「EX30」は京都の風景に似合う

　京都に初めて来たのは中学校の修学旅行でした。

　歴史の教科書に出てきた数々の建造物が本当に存在することに、あたりまえのことなのに妙に感銘を受けたものです。

　その後、社会人になってからも京都にはときおり来る機会があります。今回はボルボ「EX30」を駆って、東京までロングドライブするのがミッションです。

　BEV（バッテリーEV=電気自動車）で高速道路を走ると、航続距離の公表値よりもだいぶ短い距離しか走れなかったり、充電に苦労したりと、いろいろネガティブなイメージがあるのは否めません。

　ところが、EX30なら一充電で最大560kmもの距離を走れるとアナウンスされていて、多少減ったとしてもけっこう走れそうです。

　また、EX30の発売直後の試乗会でドライブしたのは20インチ仕様だったところ、新たに19インチ仕様の車両が用意されました。

　これがどんな乗り味なのか気になるところです。そこで、ぜひ乗ってみて確かめようというのが、今回のテーマです。

　EX30に乗るのは少しひさしぶりのことですが、車両は「EX30 ULTRA SINGLE MOTOR EXTENDED RANGE」で、価格は559万円となります。

　ボディサイズは4235mm×1835mm×1550mmと小さめながらパッと見るともっと大きく見えるほど存在感があり、ギュッと凝縮した印象もあります。

　クラウドブルーソリッドという明るいボディカラーが印象的で、ピクセルニット／ノルディコ・コンビネーションのシートカラーと、ブリーズ／チャコールのインテリアカラーという組み合わせがよく似合っています。

　アクセサリーのドラレコとフロアマットが装着されている以外はまったくのツルシで、それでも装備はかなり充実しています。

インフォテイメントシステムにGoogleを搭載しているので、スマホと同じように使いこなせるのもありがたいポイントです。

　また、上等なチップを使っているおかげで、カーナビの画面を動かしたいときなど、素早い操作にもちゃんとついてきてくれるのでイライラすることもありません。

　京都駅前のホテルを出発するときのバッテリーのSOC（充電率）は98％で、カーナビの目的地を東京・南青山にあるVOLVO STUDIO TOKYOに設定すると、到着予想時刻とそのときの予想SOCが表示されます（この時点では直前までの走り方が反映された数値となります）。

　奥ゆかしい京都の街並みに、先進的でオシャレなBEVの姿がやけに似合って見えました。せっかく京都に来たのだから、いかにも京都らしいところをということで、まずは近くをEX30で散策しました。

　最小回転半径が5.4mなので小回りがきくところもポイントです。本当に京都というのは、少し走れば有名な何かがあることに、あらためて感心させられます。

　京都を出て琵琶湖畔へ向かい、まずは近江神宮に立ち寄ります。赤い建造物が印象的で、ものすごく広大な敷地なのに、手入れが行き届いていて、非常にキレイにされていることに感心しました。

　インチダウンすると見映えがよくなくなるというのはよくあることですが、EX30の場合は、以前乗った20インチ仕様（235/45R20）に対して、今回の19インチ仕様（245/45R19）があまり見劣りする印象もありません。

　そもそも19インチ仕様だって十分に大径で低扁平には違いないわけですから。それでいて乗り心地はカドがとれて路面への当たりがマイルドになり、より快適に乗れるようになっているのは間違いありません。

　さらに、比叡山を目指します。滋賀県との県境付近を通る、奥比叡ドライブウェイという道は、景色もよく走って楽しい絶好のワインディングロードです。MAX272psで343Nmと、このクラスの普通のBEVとしては望外のスペックを誇るEX30は、きつめの上り勾配もものともせず駆け上がっていきます。

　さらには後輪駆動のおかげでハンドリングも回頭性が抜群によく、走りに一体感があって気持ちよくスイスイとつづらおりの道を走っていけるのも、EX30の特徴です。ドライブモードは選べませんが、ステアリングの重さやワンペダルにするかどうかは任意で変えることができます。

新東名・静岡SA上りで1度充電しただけで東京へ到着

　延暦寺まで出発地点から30kmあまりで、SOCは83％、航続距離は349kmと表示されていました。

　上り坂をかなり走ったのでやや減りが早かったようですが、琵琶湖畔にもどる際にはもちろん下り坂になります。大笹原神社という国宝と書かれた看板が目に入ったので、ちょっと立ち寄ったときには、比叡山から40kmほど距離がありながらも、SOCが79％、航続距離が330kmと減りが少なかったようです。

　そこから琵琶湖の東側を南下して、新名神、伊勢湾岸道、新東名を目指すことにしました。

運転を交代してリアシートに乗ると、開口面積の非常に大きなパノラマルーフによる絶大が開放感を味わえます。北欧テイストのインテリアもとても居心地がよく感じられます。欲をいうと、後席向けの空調の吹き出しがあるとなおありがたいです。

新東名をしばらく走り、新型の急速充電器がある静岡SAで充電します。

　そこまでの走行距離は366.5km、SOCは12％で、航続可能距離は50kmとの表示されていました。最近増えつつある6基あるタイプですが、30分充電している間ずっと1台しかいなかったので、フルパワーで充電できたおかげで、同64％で265kmにまで回復しました。

　クルマ側が出力の大きな急速充電に対応しているおかげで、こんなに早く充電できるわけです。静岡SAから目的地までは約180km、所要時間は約2時間で、バッテリーを21％残して到着できると表示されたので、余裕をもって帰れそうです。

　EX30の車体は比較的コンパクトながら、低重心でワイドトレッドであることも効いてか、高速巡行時にはいたって安定したドライブフィールとなります。

　レーンチェンジアシストは、車両周囲の状況を常時確認していて、可能な状態になるとディスプレイに枠が表示されるので、ウインカーを操作するとその方向に車線変更してくれます。

　人間はどうしても見落としやミスをするものなので、安全の確認をクルマにまかせられるというのは、やはり絶大なメリットがあるように思います。

　また、やや過敏な印象もあったステアリングを保持しているかどうかのセンシングがマイルドになったり、一部の車両の設定がイグニッションをOFFにするたび初期化されていたところ、次に乗るときにもちゃんと記憶してくれているようになったのもありがたいポイントです。いろいろより使いやすく改善されています。

　途中、渋滞もあったせいで、青山のVolvo Studio Tokyoについたときには、走行距離は542.3kmで、予想よりもやや減ってSOCが18％、航続距離が69kmと表示されていました。

　ですがたった1回だけ急速充電して、実際にこんなに走れるとは（しかもエコランではなく、わりと勢いよく走って）たいしたものだと思わずにいられません。

VOLVO EX30　ULTRA SINGLE MOTOR EXTENDED RANGE
ボルボEX30 ウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジ

・車両本体価格（消費税込）：559万円
・全長：4235mm
・全幅：1835mm
・全高：1550mm
・ホイールベース：2650mm
・車両重量：1790kg
・モーター最高出力：272ps（200kW）
・最大トルク：343Nm
・総電力量：69kWh
・一充電走行可能距離：560km
・交流電力量消費率（WLTC）：143Wh／km
・駆動方式：後輪駆動
・乗車定員：5名

Comments

[nah********]

性能良さげだが、それでも30分急速充電か、まだまだ自分には不向きたわ

[********]

値段といい、大きさといい、街中を走るセカンドカー。俺はi3を使ってるが、後継がないので、今のところ次はコイツかなと考えてる。

日本仕様は電池のデカいグレードだけだが、故に遠乗りにも使えなくもないが不便という微妙な感じになる。

大きさ的に長距離は初めから向いてないから、割り切った電池サイズで軽いほうがいいと思うがな。