フェアレディZ NISMOでの参加を決めるもさっそく駐車で苦戦
WEB CARTOPの編集をはじめて約半年、まだまだ未熟ではあるが、試乗会や発表会に足を運んだり、日々記事や動画を作成することで、少しずつクルマのことがわかってきた……と思う。
気がつけば日本車も衝撃的なパワフルさに! 国産ハイパワー車ランキングTOP5
運転スキルを身につけるために、さまざまなドライビングレッスンや走行会にも参加。しかしそのほとんどは愛車で挑んできた。
クルマによって特性がまったく違うことは、日々身をもって感じている。そこで今回は愛車とは別のクルマで修行を積もうと決めた。
今回相棒に選んだのは日産フェアレディZ NISMOだ。3.7リッターNAエンジンのFRで、最高出力はニスモチューンにより355馬力と、国産NA車のなかでもかなりハイパワーな怪物クン。普段私が乗る2リッターターボ4WDのインプレッサとはまったく違ったキャラクターだが、はたして上手く操れるようになるのか?
レッスンに先駆け、意気揚々とフェアレディZ NISMOを借りに行く。「よろしくね」と心の中で語りかけ、運転席に乗り込みエンジンをかけるといかにも日産のスポーツカーな音が室内に響き、気分が高まる。走り出してみると、シフトが入りやすく操るのが楽しい。このクルマのズッシリ感は高速を走るのにぴったりで、グランドツーリングにもふさわしい大人なスポーツカーといった印象だ。
料金所手前でギヤを落とすとブリッピングがこれまでにないほど上手く決まり、回転がぴったり合った。もしかしてこれまでの修行の成果が出ているのでは……と思ったらシンクロレブコントロールなるものがついていて、クルマが自動でエンジン回転数を合わせてくれていたのだ。ややガッカリするも、なにはともあれ良いクルマだ。
編集部に到着すると、駐車場の中央には上司が撮影のために借りてきたであろう、ジャガーが堂々と停まっていた。この駐車場は狭いうえ、端にはポールが立っている。よって私はポールとジャガーの間にZをお尻から収めなければならない(ポールとジャガー、決してUKロックの話をしている訳ではない)。そこで気がついたのはこのクルマ、車幅が結構ある。切り返しを繰り返しながら、動いているのかどうかもわからないほどの低速でバックし、手に汗握りながら無事駐車。やっぱり私の運転技術はまだまだだ……。
そんな私が参加を決めたのはニスモドライビングアカデミー。初心者向けの「レッスン1」、上級者向けの「レッスン2」から選択可能で、私は「レッスン1」にエントリーした。このように自分のレベルに合わせた内容を選べるのは嬉しい。
当日会場に着くと、GT-R やフェアレディZ、ノートe-powerなどのニスモロードカーがズラリと並んでいて(GT-RとフェアレディZのみ基準車も参加可)、参加者はそれぞれ準備を始めていた。受付を済ませて、まず驚いたのはゼッケンがステッカーだったこと。
通常は紙のゼッケンであることが多く、ボディにガムテープで貼り付けるのは多少抵抗があったり、綺麗に貼り付けるのは意外と難しいもの。事実、不器用な私のゼッケンはいつもぐちゃぐちゃ気味でカメラマン泣かせだった。このようなステッカーだとクォーターウインドウなどに貼ることができ、見栄えも良く、とっても楽チン。
おかげで準備も早めに終わり、時間に余裕ができたためこんなポーズを思いついた。お分かりいただけるだろうか、フェアレディZの「Z」……のつもりだ。カメラマンは「なんでシェー……?」と目が点だった。
ちなみにヘルメットとグローブさえあれば、服装は長そで長ズボン、スニーカーでOK。気軽に参加しやすいのもこのレッスンの長所といえる。
そしていよいよドライバーズミーティングが始まる。やる気だけは誰にも負けまいと一番前の席を確保。
この日の講師は柳田真孝さん、千代勝正さん、安田裕信さんだ。スーパーGTなどで活躍する日本のトップドライバーに直接教えてもらえる貴重な機会に胸が踊る。
レッスンの内容や注意点を細かく教えてもらったあとは、ドライビングポジションのチェック。座学で教わる機会はよくあるが、このレッスンでは参加者が実際にクルマのシートに座った状態で、講師がひとりひとりに指導をしてくれるのだ。
「腕を伸ばした時に手首がハンドルにあたるぐらい、ペダルもしっかり踏める位置に。もう少し後ろに下げても大丈夫ですよ」と千代さんに細かく教えてもらい、しっくりくるポジションが見つかった。
スポーツ走行では街乗りのときよりもシートを少し前に出したほうがいいとのこと。たしかに自己流で合わせた着座位置のときよりもずっと操作がしやすくなった。各々ベストなシートポジションが決まったところで、いよいよ実技に移る。
気合いのあまり超高回転でロケットスタートを切る!
まずはじめに行ったのは急制動。コースやブレーキを踏むタイミングの説明を受けたあと、柳田さんが良い例と悪い例を見せてくれた。ブレーキングに躊躇して制動距離が伸びてしまうといったものと、思い切りブレーキを踏みABSを効かせて停車するといったものだ。しっかりブレーキを踏む大切さを理解し、いよいよ実践!
気合いのあまり、レースのスタンディングスタートのごとく高回転まで吹かしてロケットスタートを切ってしまい若干恥ずかしくなるも、グッとブレーキを踏む。
「発進はOK。ブレーキはもっとしっかり踏んで、レブに当たってるから2速にシフトアップしてみて」と柳田さん。
この日はひとり3回の急制動を行うことができたが、このように1回終わるごとに講師からフィードバックがもらえるのだ。
3回目が終わると、「すごく良くなった。制動距離もこんなに縮んでる!」と言ってもらうことができ、後ろを振り返るとブレーキングポイントから停車位置までの距離があきらかに縮んでいた。1回目から全力でブレーキを踏んでいたつもりだったが、そうではなかったのだ。フル加速から思いきりブレーキを踏むといった動作は普段なかなか行う機会がなく慣れていないが、いざという時には必要。これをマスターしておくことはサーキットなどではもちろん、街乗りにも活きるだろう。
続いて行うのは定常円旋回だ。ここではアンダーステアやオーバーステアの動きを感じて欲しいとのこと。
最初は緊張と恐れからアクセルがまったく踏めなかった。オーバーステアもクソもない。2回目は思い切ってスピードを出してみる。おお、もはや愛車のように馴染んできたZからスキール音が鳴り響いている!
「1回目よりアクセルが踏めていて良いですよ。でもクルマがラインからはみ出しては戻しすぎての繰り返しになっているので、ペダルワークで細かく調整してみてください」とアドバイスを受ける。
旋回時のFRの挙動はわかってきたものの、アクセルを踏み込めておらず、オーバーステアはまだ出ていないようだ。「最後はタイヤがグリップした状態でアクセルを踏んでオーバーを出すことに挑戦してみて下さい」と千代さん。
なるほど、これが憧れのドリフトというものか……よし、やったろ! 気合いを入れ直して最後の走行に挑む。全4回の定常円旋回のなかでもっとも思い切りアクセルを踏んだつもりだが、リヤが流れない。憧れのドリフト成功ならず。くっ、くやしい。私にはまだドリフトができない。ドリキンならぬドリクイーンへの道のりは険しそうだ……。
ドリフトこそできなかったものの、ハイスピードでハンドルを切ったときのクルマの動きや、アクセルの加減でクルマの向きを変える感覚を掴むことができた。
そして午前のプログラムの最後はJターン。直線からターンして戻ってきたあと、ブレーキング、停止という、ここまでで学んだ急制動と定常円旋回をおさらいできるような内容だ。
安田さんのデモンストレーションを見たあと、ひとりずつ講師の運転するデモカーに同乗。実際にプロの運転を助手席から見ながら、ペダルワークやハンドリング、シフトチェンジのタイミングなどを教わる。これほどわかりやすい指導方法はほかにない。
全3回の走行で、安田さんから加速とブレーキングにメリハリをつけることやブレーキを踏むタイミングなどのアドバイスを受け、最後はベストな走行を行うことができた。
これで午前のプログラムが終了。昼休憩中には講師からサインをもらったり一緒に記念撮影ができるコミュニケーションタイムが設けられていた。日産車を駆使するニスモドライバーたちとの撮影に、仕事を忘れてはしゃいでしまった私であった。
ショートサーキットでの走行でついに限界に達した私
午後はこのレッスンのメインともいえる、ショートサーキットでの走行から。まず座学でコースについてやアウトインアウト、フラッグの意味等サーキット走行の基本を学んだあと、同乗走行へ。コースへの入り方など基本的なことから教えてもらえるため、サーキット未経験者や初心者でも安心だ。
続いて低速での先導走行。講師が先頭を走り、その後ろを2~3台の参加者が追従して走るといったものだ。ドライビングレッスンの先導走行というと台数が多すぎて最後尾は先頭とはまったく違うラインを走っている……なんてことも少なくないが、このレッスンは少数で行うため、ラインはもちろん、ブレーキを踏むタイミングから離すタイミングまでプロのものをそっくり真似して走ることが可能。走行時間も10分程とコースに慣れるには十分な設定だ。
その後ハイスピードでの同乗走行が行われた。プロが見せる本気の走りは圧巻で、その助手席に乗れるのはじつに貴重な機会。しかもラインやクリッピングポイントなどの解説つきという贅沢な体験だ。
続いて中~高速での先導走行へとステップアップ! 速いといってもそこまでではないだろう、先導車と同じように走ればいいし……と完全に油断していた私。しかし周回ごとに徐々にペースが上がっていく。あれ、結構速いぞ? 後半はついていくのがやっとの速さに。
初心者向けのレッスンではあるが、参加者がいい意味で「限界ギリギリ」まで実力を出しきり、手応えのある走行ができるものとなっていたのだ。そうはいっても講師はしっかり後ろを確認しながら、参加者のレベルに合わせてスピードを調整してくれるため、無理をする必要はない。
いまだに自宅から会社までの道のりもカーナビがないと怪しいほど方向音痴な私。無論、初めて走るサーキットのコースを覚えるのには人一倍時間がかかる。加えてビビりな私は、自分で参加する走行会などではコーナー手前でどこまでアクセルを踏めるかわからず、かなり手前でブレーキを踏んでしまい、徐々に制動距離を縮めていくもクルマの性能を出しきれないまま終了ということがしばしば。
しかしこの先導走行ではプロに続いて走ることで、いつもより早くコースを覚えることができ、適切なラインやブレーキのタイミングも習得。さらに徐々にスピードアップしていくといった方法のおかげで、自分のいま持てる実力のなかでは最大限クルマの性能を出しきることができた。通常であれば5、6回は走らないと身につかない技術が1日で習得できてしまったといった印象だ。
そしてこのレッスンの締めくくりは、スーパーGTやスーパーフォーミュラが行われるレーシングコースの体験走行。この日は3周することができた。初心者向けなのにいきなり広い本コースに出るの? と不安に感じるかもしれないが、心配は無用。先導つきなうえ、ヘルメットの着用も必要ないほどのスピードでゆっくり走るといったものだからだ。このレッスンでクルマの運転やサーキット走行の楽しさを知り、次は本コースで思いっきり走ってみたい! と考える人にピッタリの内容だろう。
これで無事に1日のプログラムが終了。最後はひとりずつ修了証をもらい、講師と熱い握手を交わすのがお約束……らしいのだがこの日はなぜかグータッチに! 終始和気あいあいとした雰囲気であった。
ニスモドライビングアカデミーは、講師の解説つきの同乗走行や、少人数での先導走行の機会が多く設けられるなどプロの運転のしかたを間近で見られるため、上達しやすいという印象を受けた。
そして私が参加した「レッスン1」 は「走る・曲がる・止まる」といったクルマの基礎を学んだうえで、それを活かしながらショートサーキットを走行し、最後にはレーシングコースに出るといったプログラムのなかで、プロからひとつひとつの動作を手厚く教えてもらえる。このようなカリキュラムによって、初心者がいま持てる力を出しきり、本気でスキルアップを目指すことが可能となっていた。
ニスモドライビングアカデミーで1日指導を受けることで、フェアレディZ NISMOの特性を理解することができ、初めと比べるとかなり思い通りに操れるようになった。このクルマとは親友になれたと思っている。ただドリフトができなかったことには未だ悔いが残る……。「またいつか一緒に走ろうね。もっともっと修行を積んで、今度キミに乗るときはドリドリするから!」すっかりこのクルマの虜になってしまった私であった。
ちなみにこのレッスンは今後も各地での開催が決定している。詳しくは公式ホームページをチェックしてみてほしい!(https://www.nismo.co.jp/nda/)
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