現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 電動化で車の「顔」変化? フロントグリルは消滅するのか

ここから本文です

電動化で車の「顔」変化? フロントグリルは消滅するのか

掲載 更新 75
電動化で車の「顔」変化? フロントグリルは消滅するのか

 ご存じのとおり、クルマのフロントグリルは、エンジンを冷やすための「風穴」。フロントグリルから空気を取り入れることで、ラジエーターへ風を導き、この風によって、エンジンの熱で温まった冷却水を冷やしている。内燃機関を持つクルマとっては、大切な装備だ。

 しかし、モーター駆動であるBEV(=Battery Electric Vehicle=バッテリー動力のみで駆動するEV)の場合、エンジンを冷やす必要がない(というかエンジンがない)ため、フロントグリルは必要がない。

パワー競争は止まらない!? 国産スポーツカーから輸入車まで!!! カテゴリー別「馬力王」選手権

 では、EV化が進むと、フロントグリルは消滅してしまうのだろうか。

文/吉川賢一 写真/TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI

【画像ギャラリー】本文未掲載車も 個性的なフロントグリルで特徴ある『顔』になったクルマたち

■フロントグリルの役割は「風穴」だけじゃない

BMW伝統のキドニーグリルは今やここまで巨大化している。写真は4ドアセダンの「M3」

 そもそも「グリル(Gril)」とは、肉や魚を焼くときに使う「焼き網」のこと。クルマのフロントグリルは、クルマの正面についている網や格子上の部分のことを指し、バンパー側にあいている開口部とは分けて考えられることが多い。

 例えば、BMWのキドニーグリル、アルファロメオの盾型グリル、国産車だと、日産のVモーショングリル、レクサスのスピンドルグリルなどは有名だ。

 フロントグリルの役割のひとつは、冒頭でも触れたように、エンジンを冷やすための空気の取り入れ口、ということ。ちなみに、グリルよりも下側にあるフロントバンパーの穴は、ラジエーターの冷却以外にも、空気抵抗を抑えるための空気の抜け穴として存在する。

 最新トレンドの技術では、このフロントバンパーの穴から取り入れた気流をフロントタイヤの直前から、タイヤの横を通るように吹き出して「エアカーテン」をつくり、フロントタイヤ横で発生する渦をコントロールすることで、空気抵抗を低減させている。

 そして、もうひとつ重要な役割がフロントグリルにはある。クルマの顔に表情を作る、というデザイン要件だ。

■クルマの「表情」作りに欠かせないフロントグリル

マイナーチェンジでのフロントグリル変更によって「やりすぎた」ベルファイアは売れ行きを大きく下げた。人によっては「どちらもやりすぎ」と思われるかもしれないが、アルファードは売れ行きを大きく上げている

 クルマの「顔」の一部であるフロントグリルは、ちょっとしたデザインの違いで、売り上げが天と地ほども差がつくことがある。その典型例が、いま絶賛爆売れ中の「アルファード」、そしてその兄弟車である「ヴェルファイア」だ。

 以前はヴェルファイアのほうが人気だった2台だが、2017年のマイナーチェンジで状況が一変する。このマイナーチェンジでは新開発の直噴エンジンとダイレクトシフト8ATの組み合わせが搭載されたほか、内外装の変更と、クオリティアップがおこなわれた。

 マイチェンによって、フロントグリルがブラック基調にメッキの縦ラインとなり、高雅な雰囲気となったアルファードに対し、ヴェルファイアは、メッキエリアがグリルだけでなく、サイドまで拡大、ギラギラ感が増すフェイスとなった。

 ヴェルファイアは若者や女性をターゲットとしたネッツ店(当時)の顧客に合わせて、艶やかで派手なフロントフェイスとしたわけだが、これがどうやら「やりすぎ」だったようで、現在は、アルファードがヴェルファイアの10倍も売れている状況だ。

アルファロメオ伝統の盾型グリルを採用したアルファロメオジュリアGTA。公道走行可能な史上最強のGTAの価格は、なんと2064万円

 冒頭で触れたように、BEVはフロントグリルから冷却用の空気を取り入れる必要はない。BEVで冷やすべきなのは、床下に敷き詰めた駆動用バッテリーだ(高速走行直後に急速充電をすると、バッテリー加熱保護のための充電速度抑制がおこなわれてしまうことがある)。

 機能的にはフロント部にグリルを装備する必要のないBEVではあるが、現在販売されている多くのBEVでは、エンジン車のグリルのようなデザインをもっている。これは、メーカー各社がフロントフェイスに個性や表情をつくるためにグリル(のようなもの)は必要だ、と考えているからであろう。

■グリルレスに違和感がなくなれば消滅の可能性も

グリルレスで登場した初代リーフ。薬屋の軒先にたたずむキャラクターのような親しみやすさはあるが、正直自動車っぽい顔ではない

 量産電気自動車の先駆けとなった初代リーフはグリルレスであった。初代リーフといえば、デザインが酷評されたことで名高い。特にフェイスに関しては、「昆虫っぽい」と揶揄されていた。

 これが影響したかどうかは定かではないが、2代目リーフではグリルのようなデザインを取り入れている(他の日産車とVモーショングリルの雰囲気を統一するため、ということも当然あるだろうが)。

フロントグリル(グリル風デザイン)が復活した2代目リーフ

 テスラのモデル3、モデルY、サイバートラックは、清々しいほどに「グリルレスデザイン」を採用しているが、モデルS、モデルXについては、小さいながらもフロントグリルのようなものがある。デザイン要件として、クルマによっては取り入れる、ということなのであろう。

 初代リーフが揶揄されたように、これまでのクルマを見慣れたユーザーは、のっぺらぼうのフロントフェイスに、「強い違和感」を感じるため、しばらくは、グリルのようなデザインは残っていくだろう。

 しかし将来、「グリルレスがかっこいい」となる可能性は大いにある。グリルの代わりにどこで個性を表現するのか、がカギとなるだろう。

【画像ギャラリー】本文未掲載車も 個性的なフロントグリルで特徴ある『顔』になったクルマたち

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
motorsport.com 日本版
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
くるまのニュース
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
くるまのニュース
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
バイクのニュース
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
レスポンス
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
モーサイ
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
カー・アンド・ドライバー
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
AutoBild Japan
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
くるまのニュース
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
レスポンス
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
VAGUE
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
motorsport.com 日本版
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
モーサイ
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

75件
  • インバーターやモーター、ギヤボックスの発熱がある。高地じゃ冷却追いつかないし、坂道だと登らないから発熱が増える。無知にも程がある
  • ベストカーが消滅する。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.0890.0万円

中古車を検索
クラウンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509.9575.9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.0890.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村