2月18日に発表された日産のミドルクラスSUV、新型キャシュカイ。しかしながら、キャシュカイはこの新型も先代型と同様に欧州で発売される海外専売車となる予定。
そのほか、昨年には12月に台湾でトヨタのシエンタクロスオーバーが発表。このモデルは、その名のとおりSUVテイストの外観に仕上げたシエンタだ。
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また10月にはアメリカで同じくトヨタから、ミニバンの新型シエナが発売された。アメリカ生産で北米がメインマーケットのミニバンのため全長5m超の巨体だが、迫力のあるデザインでカッコいい。
というように、最近は海外で日本メーカーによる魅力的な新型車が続々と登場している。が、この3モデルはいずれも日本への導入は予定されていない海外専売車。
とはいえ、このキャシュカイ、シエンタクロスオーバー、シエナは、いずれも日本でも発売してほしいようなクルマだ。その可能性はあるのか?
文/渡辺陽一郎 写真/TOYOTA、NISSAN
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■海外の販売比率が圧倒的なため海外専売車も増えている
先日発表された欧州専売SUVの新型キャシュカイ。最近では海外専売の「日本で買えない日本車」が増えた
最近は海外だけで販売される「日本で買えない日本車」が増えた。この背景には、日本のメーカーの規模が大きくなり、海外の販売比率を増やしたことが挙げられる。
例えばトヨタの2020年における世界販売台数は869万2168台だったが(ダイハツや日野を除く)、この内の83%に相当する718万7947台を海外で販売した。国内比率は17%だ。
日産の2020年における世界販売台数は402万9166台で、この内の88%に相当する356万648台を海外で販売した。国内比率は12%だからトヨタよりも少ない。
このようにダイハツを除く大半の日本車メーカーは、世界販売台数の80%以上を海外で売る。日本は20%以下の市場だから、国内では購入できない海外専用車が増えた。
さらに以前のアコードやレガシィのように、日本のフルモデルチェンジが海外に比べて遅れることも多い。そうなると海外ではフルモデルチェンジされた新型車を売りながら、日本では安全装備などが劣った旧型車を販売する期間が生じてしまう。
世界同時発売は困難だから、半年程度の時間差が生じるのは仕方ないとしても、アコードでは北米と日本のフルモデルチェンジ時期に2年半の隔たりがあった。日本車でありながら、フルモデルチェンジ周期が5年で、発売時期に2年半の差がつくのはゆき過ぎだ。
このように海外中心になった日本車を象徴するのが、日本国内では売られない海外専用車だ。そこで3車種の海外専用車について、日本に導入される可能性について考えてみたい。
■キャシュカイは日本に導入する価値の高いSUV
「QASHQAI」でキャシュカイと読む。初代キャシュカイは日本国内でもデュアリスとして販売された
筆頭に挙げられるのは日産キャシュカイだ。2021年2月に新型が披露された。初代キャシュカイは、デュアリスとして日本国内でも販売され、今でも比較的コンパクトなSUVに位置付けられる。
新型キャシュカイのボディサイズは、全長が4425mm、全幅は1838mm、全高は1635mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2666mmだ。新型ローグ(次期エクストレイル)は、それぞれ4648mm×1838mm×1689mmで、ホイールベースは2700mmになる。
コンパクトSUVのキックスは、4290mm×1760mm×1610mmで、ホイールベースは2620mmだから、キャシュカイは中間的なサイズだ。
キャシュカイは北米ではローグスポーツとして売られ、前述のとおりローグよりも少しコンパクトでスポーティに仕上げている。
しかも新型キャシュカイのe-POWERでは、発電用エンジンに、圧縮比を変化させるVCターボが採用される。また12Vのマイルドハイブリッドを搭載する1.3Lターボエンジンも用意され、環境性能を向上させた。
この特徴を生かして、キャシュカイを環境性能の優れたスペシャルティ感覚のSUV、エクストレイルは実用指向のSUVに位置付けると、ユーザーも選択肢を広げられる。
従来の判断では、エクストレイルとキックス(あるいは以前のジューク)があれば、キャシュカイ(デュアリス)は不要とされたが、今はSUVが人気を高めたから導入する価値も高い。
■シエンタクロスオーバーは日本で販売してもいい!
昨年12月にトヨタが台湾で発表したシエンタクロスオーバー。シエンタをベースにSUV風に仕上げたモデルだ
SUVの商品開発はさまざまで、既存の車種をベースに使うことも多い。例えばスバルXVは、5ドアハッチバックのインプレッサスポーツをベースに、SUVにアレンジされた。ホンダにもSUV風のフィットクロスターやフリードクロスターがあり、トヨタアクアもクロスオーバーグラムを用意する。
その意味で導入すべきなのが、2020年12月にトヨタが台湾で発表したシエンタクロスオーバーだ。
コンパクトミニバンのシエンタをベースに、前後バンパーの下側にアンダーガード風の樹脂パーツを装着したり、ルーフレールを採用してSUV風に仕上げている。最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は、ノーマルボディに比べると20mm拡大され、悪路のデコボコも乗り越えやすい。
シエンタは人気のコンパクトミニバンだが、今では発売から5年以上を経過した。2020年の登録台数は、コロナ禍の影響もあり、前年に比べて34%減った。
シエンタクロスオーバーを導入すれば、新たな需要も獲得され、従来型のシエンタから乗り替えるユーザーも生じる。ベースグレードに比べて10万円(ルーフレールを加えると15万円)程度の価格アップで導入すれば、好調な売れゆきも見込める。
シエンタのクロスオーバーは、導入される可能性が特に高い。
■サイズはアルファード超え! 北米製ミニバンのシエナ
トヨタ シエナ。前述のシエンタ クロスオーバーと並び、シエナも国内では売られないトヨタのミニバンだ
トヨタの日本国内で売られないミニバンとしては、シエナも挙げられる。全長は5mを上まわり、全幅は2m弱だから、この2つの数値はランドクルーザー(200系)並みだ。その半面、全高は1740~1820mmだからミニバンでは少し低い。
アルファード&ヴェルファイアと比べると、全長と全幅はシエナが上まわり、全高は120~200mm下まわる。
つまりシエナは、機能的にはLサイズのワゴン風ミニバンだから、走行安定性が優れている。その代わり荷室高はアルファード&ヴェルファイアに余裕がある。そこでシエナは、2/3列目のシートが脱着可能で、荷室を拡大できるように工夫した。
アルファードが1カ月に1万台以上販売される現状では、国内にシエナを投入しても需要を確保するのは難しいと判断されそうだが、新しいミニバンのニーズを掘り起こせる可能性もある。
■魅力的な車種を日本で売らないのはとっても残念だ!
キャシュカイ内装。国内で販売する場合、ハンドルを右側にするなど意外とコストがかかるのだ
そこで開発者に、日本で買えない日本車が輸入されない理由を尋ねると、以下のように返答された。
「日本車だから海外の商品を国内へ導入するのは簡単に思えるが、法規対応などによる変更コストが意外に高い。
海外向けに開発された車種の国内販売を検討した結果、絶対に不可能と判断されたこともある。左ハンドルの国だけで売られる車種に、右ハンドル仕様を追加するのも難しい。ボディが極端に大きい場合、点検整備を行う国内販売店のサービスストールに収まらないこともある」。
さまざまな事情があるのはわかるが、シエンタクロスオーバーやキャシュカイは、ユーザーの増えているSUVだから国内へ導入すれば注目度も高まる。メーカーや販売会社が別の法人を立ち上げて輸入販売を行い、市場の反応を検証したうえで、国内へ本格導入する方法もあるだろう。
日本のメーカーが海外で魅力的な車種を売りながら、日本でそれを買えないのは悔しい。前述のように海外に比べて国内発売の遅れる車種もあるのだから、その見返りに、海外専用車を国内にも導入して選択肢を増やして欲しい。
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キャシュカイはイギリスで右ハンドル仕様でも売られているけど?