アストンマーティンが最速、最強、最良のハンドリングを持つ究極のフラッグシップSUVと謳う「DBX707」に、モータージャーナリストの小川フミオ氏がイタリアはサルディニア島で試乗。オーバー700psのパワーがもたらす走りをリポートする。
ASTON MARTIN DBX707|アストンマーティンDBX707
まさに背の高いアストンマーティン──アストンマーティンDBXに試乗|ASTON MARTIN
アストンマーティンDBX707に試乗
アストンマーティンが最速、最強、最良のハンドリングを持つ究極のフラッグシップSUVと謳う「DBX707」に、モータージャーナリストの小川フミオ氏がイタリアはサルディニア島で試乗。オーバー700psのパワーがもたらす走りをリポートする。
Text by OGAWA Fumio|Photographs by AstonMartin
ポルシェ「911GTS」より加速が速い
スピードを求める人は、スポーツカーに乗る。そんな定石が過去のものになりつつある。アストンマーティンが2022年1月に発表した「DBX707」は、707psと超ド級のパワーを誇るSUVだ。4月にサルディニア島で試乗して、その性能にシビれた。
アストンマーティンといえば、読者の方々にも、英国を代表するラグジュアリースポーツカーとして有名だ。このメーカーがタダモノでないのは、SUVを手がけても、優れたプロダクトをモノにしてしまう点にある。
DBX707は、従来のDBXと共用の4リッターV8エンジンを搭載。最高出力は405kWから520kW(707ps)に、最大トルクは700Nmから900Nmにと大きく引き上げられている。それに9段のツインクラッチ式オートマチック変速機を組み合わせる。
ローマから飛行機で30分ほどのサルディニア島は、コスタスメラルダというリゾートでも知られている。読者のなかにも、訪れたことあるヨという方、少なからずいらっしゃるのでは。山がちな地形で、標高は高くないものの、起伏が多く、私は過去に何度も、欧州の新型車のジャーナリスト向け試乗会のために出かけたことがある。
コスタスメラルダのリゾートホテルに並べられていたDBX707は、迫力満点の外観だ。5,039mmの全長に2,050mmの全幅。全高は1,680mmあって、かつ豊かなふくらみを各所で強調されたボディは筋肉質という感じ。そこにもってきて、巨大なと言いたい23インチのタイヤがはめこまれている。
アストンマーティン・ラゴンダ社のトビアス・ムアーズCEOが、「DBXのポテンシャルは高い」とかつて語っていたのを、私は記憶している。そのとき、ひょっとしたらちょっとチューンナップしたモデルでも出るのかな、と思っていたが、実際に姿を見せたのは、707psの“超”高性能版だったのには驚いた。
サルディニアの道を走らせたところ、ひとことで言って、速い。データによると、ポルシェ「911GTS」より、静止から100km/hまでの加速が速い。特にドライブモードで「スポーツ」を選んでアクセルペダルを踏み込むと、納得する。頭が後ろにのけぞりそうな加速Gが味わえるのだ。
ハンドリングもきちんとエンジンの高性能化に対応。車体は低重心化が徹底しているので、カーブでは車体が路面に張り付くように回っていく。ステアリングホイールの切り込みに合わせて車体が反応するさまは、これがSUVですか、と驚くほど。
いい意味で二面性を持つ
いい意味で二面性を持つ
アストンマーティンの自慢は、前後の重量配分。「DBX707は前52で後ろ48。競合の大型SUV(フォルクスワーゲン グループのものばかり)はフロントが60に近くノーズヘビー。これだけを見ても、DBXがドライバーズカーであることを念頭に開発されているのが分かっていただけるはず」。試乗会のとき、アストンマーティンのエンジニアが説明してくれた。
山岳路の特に上りを駆け上がっていくときに、上記の言葉を思い出した。最大トルクは6000rpmで発生と、エンジン特性もスポーツカーなみだが、900Nmもあるので低回転域からたっぷり力を発揮してくれる。
カーブに入っていくとき、強力なカーボンセラミックブレーキを操作して、少しだけ前よりに荷重をかけしっかり操舵が効くようにし、すかさずパドルシフトでギアをポンポンッと落としていき、エンジン回転が3000rpmから4000rpmあたりをキープしてカーブを回っていくと、得も言われるという感じのコーナリングフィールだ。
出口が見えたら、アクセルペダルをさらに踏み込むと、そこからは胸のすくような加速が始まる。下りは、2トンある車重のせいで、小さなコーナーではあえて少しずつ車体が外にふくらむようにして橫方向のGを殺していく。それで、同乗者に不快な思いをさせないようにするためだ。
一人のときは、面白いほどのコーナリング感覚を味わえる。つまりDBX707は、いい意味で二面性を持つ。スポーツカーのような炸裂するパワーとコーナリングが楽しめるSUV。もうひとつの面は、快適なパセンジャーカーだ。
ドライブモードで「GT」(標準)を選ぶと、路面の凹凸を丁寧に吸収して、乗員の体が揺れないような快適性を発揮する。疲れず、どこまでも走っていけそうだ。サルディニア島でのドライブは一日400kmを超えたが、私はほとんどGTモードを選んでいた。
いま、ハイブリッドのハイパスポーツ「バルハラ」を間もなくローンチする予定のアストンマーティンでは、他のメーカー同様、環境適合性の高いパワートレインを鋭意手がけている。そこにあって、超ド級のガソリンエンジンを持つDBX707を送り出したのだから、自動車好きとしてはちょっとうれしい。
Spec
ASTON MARTIN DBX707|アストン マーティン DBX707
ボディサイズ|全長5,039×全幅2,050×全高1,680mm
エンジン|3,982ccV型8気筒
最高出力|520kW(707ps) / 4,500rpm
最大トルク900Nm / 6,000rpm
駆動方式|AWD
価格|3119万円
アストンマーティン
https://www.astonmartin.com/ja
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