STレースに加えてST&GTレースでもツーリングカーの絶対王者に
メーカー対決の激しいバトルを繰り返したのち、1972年シーズンの後半には「スカイラインGT-R」からツーリングカーレースの王座を奪い取った「サバンナRX-3」。それ以降1970年代の終盤にかけて、耐久からスプリントまで国内のさまざまなレースにおいてツーリングカーの絶対的王者として活躍を続けながら、1978年の3月に登場した後継モデル、「サバンナRX-7」に主役の座を譲ることになりました。
ショッキングピンクのマツダ「サバンナRX−7 254」が富士を走った! ボディキットはマツダスピード製でした
1979年にサバンナRX-7はGTUクラスへ参戦
RX-3の主戦場は、主に国内レースでしたが、RX-7は海外での活躍も大きくクローズアップされていきました。最初にターゲットとなったのは北米を転戦して戦われていたIMSA GTシリーズでした。これはIMSA(International Motor Sports Association=国際モータースポーツ協会)が主催するレースシリーズで、1971年に始まった当初はツーリングカー(グループ1&2)とGTカー(グループ3&4)。それぞれ排気量によってTO、TUとGTO、GTUの都合4クラスに分けてレースが行われていました。
当初、排気量による区分は2.5L上下でしたが、後に3L上下による分轄となりました。なおGTO/TOのOはOver 2.5Lを意味しており、GTU/TUのUはUnder 2.5Lを意味するとされていますが、一部資料にはUp to 2.5Lの意味を持っている、ともされています。
いずれにしても12Aエンジンを搭載したサバンナRX-7はGTUクラスへの参戦となっていて、1979年シーズンのシリーズ開幕戦となっていたデイトナ24時間レースで実戦デビューを果たしています。じつはその前年、1978年シーズンのシリーズ開幕戦となったデイトナ24時間レースにはサバンナRX-3が出場していました。
マツダオート東京モータースポーツ課(のちのマツダスピード)から2台のRX-3がエントリーされていましたが、外国人ドライバーがドライブしたゼッケン53号車がGTUクラス11位/総合29位で完走したものの#52号車の片山義美/寺田陽次郎/ロジャー・マンデビル組はリタイアに終わっていました。
IMSAデビューのデイトナ24時間では見事な1-2フィニッシュ
残念ながら2台のうち1台が完走したものの着外に終わり、もう1台はリタイアと残念な結果に終わりましたが、RX-3でデイトナ24時間を戦ったことで多くのデータを蓄積できていたのでしょうか。サバンナRX-7がデビューした1979年のデイトナ24時間では甲高いロータリーサウンドが、24時間レースの最初から最後まで、快調に響き渡ることになりました。
マツダオート東京はIMSA-GTU仕様のRX-7を3台持ち込み、ゼッケン7号車を片山義美/寺田陽次郎/従野孝司選手の日本人トリオに、ゼッケン77号車をウォルト・ボーレン/エイモス・ジョンソン/ロジャー・マンデビルの米国人トリオに託す体制とし、残る1台をスペアカーに充てる慎重策をとっていました。
なおエントリーはマツダの現地サービスの総本山たるマツダ・テクニカル・センターでした。GTU仕様へのチューニングは、エンジンを12A型ながらペリフェラルポートで255psを絞り出す仕様に変更。さらに前年のRX-3での経験から、エントラントを苦しめる砂の対策としてエアクリーナーを装備するなどデイトナ24時間ならではの対策にも抜かりはありませんでした。
予選ではゼッケン7号車の片山選手が、コースレコードにわずか0.001秒差の2分05秒955をマークして総合32番手でGTUクラストップ。GTOクラスのポルシェを挟んでゼッケン77号車のボーレン組が総合34番手でクラス2番手につけていました。決勝でも2台のRX-7は快調に周回を重ねていったのです。途中ゼッケン7号車が従野選手のドライブ中に、クラッシュしたマシンの破片を拾ったか左後輪をバーストさせ、また幾つかのマイナートラブルもありましたが大きく順位を下げることなく周回を続けていきます。
これに反してGTXクラスやGTOクラスのポルシェがターボチャージャーのトラブルなどで次々と後退し、結果的に2台のRX-7は総合でも順位を上げて上位に進出していきました。そして24時間を走り切った2台のRX-7はゼッケン7号車、ゼッケン77号車の順に総合5、6位でチェッカーを受け、デビューレースにして見事なクラス1-2フィニッシュを飾ることになりました。
RX-7は引き続いてIMSAシリーズを戦うことになり、翌1980年にはウォルト・ボーレン選手が、見事チャンピオンに輝いています。そしてデイトナ24時間では1979年から1986年まで8年連続でGTUクラスを制し、1980年から5年連続してIMSA-GTUチャンピオンに輝いています。
一方デビュー戦のデイトナ24時間で見事1-2フィニッシュを飾ったことでRX-7のパフォーマンスを確認したマツダオート東京は、同年のル・マン24時間へのチャレンジに、自信を深めていきました。そしてサバンナRX-3で始まった25xシリーズ、グループ5のシルエットフォーミュラのプロジェクトを発展させ1982年のル・マンではRX-7 254で国産車として初めて14位完走を果たすことになりますが、これについてはまた別の機会に紹介します。
今回「箱車の祭典2023」に登場したゼッケン77号車は、1979年のデイトナ24時間で快走し、ゼッケン7号車の片山組に続いて総合6位/GTUクラス2位に輝いたボーレン組のゼッケン77号車を再現したレプリカモデル。後期型がベースのためにテールライトが一体型となっているのは致し方ないのですが、フロントビューはノーズを初期型のものに変更するなど、手作りながら忠実に再現した1台です。
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